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イタ告から始まる恋を信じてもいいのか?  作者: 二狐
青空ランチたいむ!
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青空ランチたいむ! 4/6

一通りそんな会話を交わしていると、コミュ障の皆様方ならご経験がお有りであろう。

急に訪れる沈黙の時間だ。

俺は経験値不足からどうして良いやら分からず、遠く校庭の向こうの校舎に目をやった。

校舎の前に並ぶいくつかのベンチには、カップルどもが座りイチャイチャしやがっておられる。

しかしその中の一つに、一人しか座っていないベンチがあった。

見ると、女子生徒が一人下を向いて弁当を食べている様子。

こんな時に、俺の唯一の長所である視力が本領を発揮した。

視力だけはA判定の俺は、その座っている女子生徒が誰なのかはっきりと分かった。

俺はその女子生徒に気が付くと、千野にこう尋ねた。


「なぁ千野ちゃん。席移動しない?」


千野もそんな俺の言葉の真意には気付いておらず、不思議そうにしていたが、俺のそんな提案には何一つ嫌そうな顔せずに「はい」と答え、席を立った。


今度は俺が先を行き、千野ちゃんが後ろを付いてくる形で歩いていく。

校庭でバスケやサッカーを楽しむ男子生徒たちを避けるように、校庭を大回りで迂回してそのベンチまで歩いた。

そこに辿り着くと、そのベンチで俯きながら弁当を食べる女子生徒に俺は声を掛けた。


「深瀬さん、そこ空いてるかな?」


らしくもない声の掛け方だったなと後になって思ったりもしたが、おそらく今日一日のコミュ力をフル活用して、めちゃくちゃ緊張しながら声を掛けた。

手汗すげぇかいてるし、正直ダサいと思った。

そんな俺の呼びかけに驚いて顔を上げ、目をパチパチと瞬きさせながら俺ら二人を見上げていた。

状況が呑み込めない様子なのか、反応には少々タイムラグがあった。

ワンテンポ遅れて返事をする深瀬さん。


「…あ、あぁ、どうぞ」


そう言ってベンチの端にズれ、席を譲ってくれた。

ベンチに座ると、早速コミュ力おばけ第二号の千野が深瀬さんに話しかけた。


「初めまして! 今年から浅葱野に入りました、一年の千野美沙です! 美沙って呼んでください!」


そんな千野に圧倒される深瀬さんだったが、彼女も懸命に自己紹介を始めた。


「…は、初めまして…。ふ…深瀬瑞希ですっ…。二年で、か、春日くんと同じクラスで…」


なんかやっぱりぎこちない。

俺も大概だったと思うが、やっぱり同じような境遇を経るとこうなるのか…?

如何にもコミュ障って感じだった。

ってか、改めて俺って周りからこんな風に見られてたんだろうなって思った…。

道理で丸一年友達もいなかったわけだよ。


「先輩と同じクラスなんですね! 普段先輩ってどんな感じなんですか?」


千野は凄いな。

よくもまぁそれだけ話題が出てくるわ。

深瀬さんもそれに呼応するように会話のキャッチボールを楽しみ始めていた。


「春日くんは…、普段寝てばっかりかな。あんまり活動的じゃない」


「うっ…事実だけど胸に刺さるな、それ」


「先輩ももっとアクティブにいきましょう! 華の高校生ですよ! 楽しまないと損です!」


まさか接点も無いような千野と深瀬さんの二人が、こんなにも打ち解けるとは思っていなかった。

正直何の計算も打算も無く深瀬さんと千野を合わせただけだったから、こうも上手くいくなんて予想外だった。

そうこうしている内にもう休憩時間も残り僅かというタイミングで、千野が提案した。


「そうだ! 深瀬先輩も私と連絡先交換しましょうよ!」


それにキョトンとした顔で理解が追い付いていない様子の深瀬さん。

千野が携帯を取り出し始めて、やっと深瀬さんも状況を呑み込んだらしく、携帯を取り出した。

そしてQRコードを読み取り、ラインを交換する。

先程俺と千野が行ったように、二人の連絡先が交換された。

すると千野が言った。


「あと先輩も深瀬先輩と交換しましょ! それでグループを作るんですよ!」


グループという響き、なんか高校生っぽいな。

ライングループなんて家族ラインくらいしか入ってなかったし、まさか同級生や後輩とライングループで今後会話が出来るなんて、数日前じゃ考えられない出来事だ。

こうして深瀬さんと俺のラインも無事交換され、ライングループが発足した。


「グループ名、何にしましょうかね~?」


そう言って携帯画面とにらめっこしながら考える千野。


「千野さんの好きな名前にしたらいいんじゃない?」


深瀬さんがそう言った途端、千野が「決めました!」と大きな声で言った。


「グループ名は『青空ランチたいむ!』です!!」


絶妙にダサい…。

俺もここで意見した。


「…なんかダサくない?」


「いいじゃない、青空ランチたいむ」


「ですよね~! 絶対良いですよこのグループ名!」


「なんか楽し気な名前で、私は良いと思うよ」


「決まりです! グループ名は『青空ランチたいむ!』ですっ!!」


「…ねぇやっぱダサくない?」


「…先輩、うるさいです。黙ってください」


「…え、こわ。そんな声出るの千野ちゃん…」


まぁ完全に直接民主主義によってグループ名は決定してしまったものの、俺がここで初めてオンライン上でのコミュニティに参加を果たしたのだ。

結果的に見れば、俺は今日かなりの収穫を得たはずだ。


昨日に引き続いて、今日もまたこんな関係が深まるような出来事があるだなんて予想してなかったもんだから、目まぐるしい変化の日々に俺はずっと驚き続けていた。

変にときめいてしまったり、喜んでしまったり、笑ってしまったり、泣いてしまったり、今までモノクロ写真のように真っ黒だった景色に、次第に彩が足されていくかのような感覚。

墨汁で塗りたくったかのような黒が、このグループ名に呼応するように青く変化していった。

読んで頂きありがとうございました!


次回投稿までしばらくお待ちください!

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