表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/318

1-33 精霊談議

 その後も精霊がつきまとって、もうそれは煩いこと煩いこと。

 前に見た時は無口そうだったのに、実は物凄くお喋りな奴だった。


「ねー、その甘そうなお菓子、何か一つちょうだい」


「駄目だ、こいつは後で増やすんだ。

 貴重品なんだからな。

 お前、俺がスキルを使ってあれこれ増やしていたのを見てただろ。

 やってもいいが、それはちゃんと増やしてからだ」


「えー、じゃあ今すぐ増やそう」


「今日はもうスキルが使えないから駄目だ。

 それに明日は金貨を増やさないといけないからな」


「チェっ。

 だったら増やしたら絶対ちょうだいよ。

 あんたのスキルかあ、あれはちょっと便利よねえ。


 いやあ、それにしてもあの魔物穴は傑作だったな。

 マジで超爆裂してたよねー。

 よっ、この穴狩り師」


「おい、R18作品っぽいような変な称号で呼ぶな!

 いやアレは確かにマジでヤバかったけどさ。

 なあ、あの元魔物穴ってもう魔物は出てこないよな」


「うん、大丈夫だよ。

 ああいう地上に現れた【ネスト】は、思いっきり崩して破壊すると消滅するんだ。


 かなりの力で破壊しないといけないけど、あそこまで削り取ってあれだけ爆発させたら、さすがのあの大型ネストも一溜まりもないよ。


 あれでまだ機能が残っていたら、もう誰にも滅ぼせないよね。

 やれるのは魔王くらいかなあ。


 でも魔王は仲間を増やしてくれる便利な穴を自分で壊すなんてしないだろうから、やっぱり無理だね。

 それよりさ、そっちの今お店で買ったお菓子は?」


 そいつはよかった事だ。

 あんな物があそこに生じた原因はわかっているんだから、当面は安心できそうだ。


「お前な。

 これこそ最後の二個だろうが。

 これも後でスキルを使って増やすから今は駄目だ」


「ふうん。

 じゃあ、そこにあるお菓子はみんな予約だからねー」


「まあいいけど、お前はその対価に何をくれるんだよ」


「ふふん。

 もうありがたい精霊の加護をつけてあげたよ」


「おいおい、それって何か危ない物じゃあないんだろうな」


「いやいや、ありがたい精霊の加護なんだよ?

 何があったって、あんたの爆裂スキルほど危なくはないさ。


 これは人畜無害だけど、それが無い人には通れない不思議な場所に入れたり、それがあると他の精霊がいろいろと協力してくれたりする場合もあるよ。


 その他も特典山盛りなのさ。

 君のそのお菓子は精霊にとっては魅力だし、そいつはスキルでいくらでも増やせるしねー。

 他の精霊の子から見ても、君という人間は絶対にポイント高いよ。


 それに君は悪い人間じゃない、むしろ精霊から見ても好ましい人間なのは十分に見させてもらったからね。

 そうでなかったら精霊の加護なんて特別ないい物はあげないさ」


「そうなのか。

 まあいいけど、お菓子はちょっとだけ待ってくれよ。

 ところで、お前の名前は?」


「本来なら精霊に名前なんかないんだけど、子供に名前を付けてもらった事があるよ。

 エレっていうのさ」


 エレか、エレメンタルを略したものかな?

 こいつのお仲間の精霊なるものが勇者パーティにもついていったらしいが、誰か加護はもらえたのかね。


 あの俺の事を見下していた、あのゴミのような若い連中はどうでもいいが、勇者の小僧と宗篤姉妹には精霊の加護がつくといいな。


 頑張れよ、へっぽこ勇者。

 勇者の仕事はお前に任せたんだからよ。


 まあ少なくともスキルは本物なんだろうから大丈夫だろう。

 基本的にその場にいるだけで、自分は護衛してくれている国護のおっさん達に守られていればいいんだから。



 あと、村で幼女様方の洋服も何着か買い込んでみた。

 子供服はゆったりしているし、多分手直し無しで着られるのではないだろうか。

 駄目だったら、また買いに来るか。


 あとありがたい事に酒があった。

 銀貨五枚の酒はなかなか良さげだったので、その他あれこれと見繕って十本ほど買い込んでみた。


 こういう物って辺境でも不思議と種類があるんだ。

 袋に詰めておけば、まとめて増やせるのは確認済みなので、そうする事にしよう。


 カイザの酒をだいぶ飲ませてもらったから、こいつはお返しだ。


「そういや、お前って服を着ていないんだな。

 さすがにお前の服はどこにも売っていないなあ。

 日本なら人形の服が着れそうだけど、着るのに邪魔な羽根があるからどうかな」


「別に精霊は服なんか着ていなくても困りませんが?」


「まあそうなんだけどな。

 俺達の国じゃ、お前みたいなタイプの妖精や精霊には服を着せる暗黙のルールがあるんだよ」


「へえ」


 そう目の前で堂々と裸でいられるとなんだな。

 しかもこいつ、俺と話す時は目の前で飛んでやがるので。


 お話をする時は、本来相手の眼を見て話すのが礼儀なので、それも決して間違っちゃいないわけなのだが、服くらいは着ていてほしい。


 なんやかやで、こいつと話をしていたら夕飯の時間になったようだ。


 同じような重力の星でも月が二個もある世界は微妙に一日が二十四時間ではないようで、時計も完全に狂ってしまったので、何かを地球の単位時間で測る必要がある時だけ時計を使用している。


 外に出しておくと電池が無くなるので収納に仕舞ってある。

 ああ、電池が残っているうちにスキルで増やしておけばいいのか。


 もう、スマホもかなり電池が減ってしまっているのだ。

 くー、バッテリーが十分あるうちに、この万倍スキルか収納スキルに目覚めていれば!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ