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4-2 アイクル家新家屋

「よおし、ここに本宮を建設するとしようか」


 俺は作業する眷属達に命じて、木を伐採して土地を平坦に均させ、カイザ家の土地を広げていた。

 この土地は赴任するにあたり、村長に頼んで拡張余地のある場所をもらったものらしい。


 元々、ここは王家直轄地なので王の命令書の通り、普通に土地の取得が認められたようだ。


 別に農民をするわけではないから畑はいらないので、少し山間の、村では特に使っていないが普通に住むにはゆったりとした良い場所をもらったのだ。


 王から資金が出ていたため、村総出で騎士様の舘を作ったので、広めのロフトがあるだけのほぼ平屋の丸太小屋だが、カイザの家は村の中ではなかなかよい堅牢で立派な建物なのだった。

 道理でフォミオが悠々と入れるような大きさがあるはずだ。


 そして離れというか、俺とフォミオが住むように別邸(丸太小屋)を作り、真ん中にマルータ号が楽々発着できるスペースを残してある。


 そして今回、新しく山肌に沿う感じに新しいカイザの家族を迎えるための、大きく立派な家を作る予定なのだ。


 王様が建築技師を寄越してくれたので、その指示に従い王都から持たされた資材を用いて、俺の命令で眷属共が突貫工事で建設しているのだ。


 王都のような華やかな色の土地もよいものだが、やはりこの辺境らしく丸太素材を利用した家がいいと思って提案したが、本人達もそれがいいと言ってくれた。


 まあ周りから浮いちゃうような建物はよくないよな。

 王都でもこんな会話をしていたのだ。


「ああ、そのあたりはお前に任そう。

 頼むから村の景観をぶち壊すような、おかしな宮殿なんかを建てないでくれよ」


「当り前だ。

 世界一丸太を愛する、このハズレ勇者を舐めるでないぞ」


「ふふふ、楽しみだわ。

 王族貴族でも別荘地ではそういう造りにするものなのよ」


「へえ、そういう事は何処も同じなんだなあ」


 そして今、新カイザ家の建築に携わる建築技師達も感心して、その眷属どもの働きぶりを眺めていた。


 今は、この村ではやられていないような王都の建物に使われている、まるでコンクリートのような人工石材のような物で基礎工事が始まっている。


 これは生コンとは異なり、錬金術ですぐに固めてしまうようなのだが。


「これは凄い。

 物凄く力がいい人夫が大勢いますので、実に作業が順調に進みますな」


「ええ、木を切った斜面に沿って建てますので、崖崩れなどが無いように念のためにここの地下には大型地中魔獣の魔核を埋めてあり、何があろうとこの区画は崩れないように踏ん張らせてありますから安心です」


 そして文字通りの地の底から、ミール1001の低い声が響いてくる。


「任されよ、主。

 いかなる侵略からも災害からも、この家々は我が未来永劫護り抜く所存だ」


「はあ、人柱ならぬ魔獣柱ですか。

 さすが勇者様はやる事のスケールが違う」


「ああ、王都で大暴れした巨大地底魔獣ミール。

 逆にその魔核を家の守り神として埋めておけば最強ってものさ」


 どんな耐震構造とても、こいつ一体には敵わないさ。

 マグニチュード11あたりの大地震でも多分ビクともしないんじゃないのかな。

 この世界は地震ってどうなのかね。


 大気圏突入もやったので、かなり上からも丸い大地の姿は拝んだし、衛星たる月があるところを見ると、ここも普通に惑星っぽいから地震なんかもありそうなもんだが、今までその手の揺れは感じた事はないな。


 プレートの具合とかはどうなっているものやら。

 ここは大陸の端じゃないし、島国のようになってはいないので、その辺はよくわからないな。


 この世界は地震なんかよりも、ミールやマーグのような地中魔獣の方がヤバイからなあ。


 日本にもこいつらを大量に埋めて置けば、国土全体で耐震が凄い事になるかもしれないな。

 だが俺の眷属も魔素がないと機能しないと思うので、それも難しいかもしれない。


 丸太もその辺の村の建物とは異なり、なんというかログハウスっぽい感じに加工されていて、高級感のある造りになりそうだ。


 素材を生かしつつ、錬金術の産物である丸太専用の塗装も行う。

 ここは小さな子供達が集まる場所なので、極力明るい色に仕上げてもらった。


 これに関しては貴族の間でもそこは意見が別れるものらしい。

 やはり、年配の人などは濃い落ち着いた色合いを好むと言うし、若い人は明るめの色を好むもののようだ。


 そのあたりは日本のマンションの床材の、色のチョイスなんかも感覚は同じようだ。


 丸太に浸透させて、素材自体を強化する高価な特殊魔法素材もあるようで、俺も分けてもらった。


 建築中のあれこれと処理済みの丸太というか各パーツも纏めて借りて万倍化しておいたし、またこれを用いて例のノームの湖に別荘を建てて、みんなで楽しく遊びに行くとしよう。


 他にも防災関係として、村にはゲンダスにより構成される『アルフェイム消防署』が存在する。


 今はアルフ村だけなのだが、やがては東へ広がっていくはずのアイクル家の領地へとその管轄は広がっていくだろう。


 こっち方面は隣国との境界線に大河があり、それが国境とされているので、そこまで開拓してしまえばこっちのものだ。


 開拓した者勝ちで物凄く広い領地が手に入る事になる。

 そこに住んでいる人を領民にし、あるいは他の地域から人を移住させるなども可能だ。


 税も初期優遇できるし、家や道具に初期の開墾作業も全部サービスするぜ。

 この手の仕事であるならば、スキル一粒万倍日に死角なし!


 ベンリ村まではビトーの管轄なのだろうが、それ以東はカイザの領域だからな。

 先に道を開いてしまえば、隣国との貿易さえも視野に入るだろう。


 街道整備ならば、この土木勇者に任せておくがいい。

 今度、一回そこまで見に行くかな。


 もしかすると誰か住んでいる人がいるかもしれないので、そっちでも新農業なんかを推進する事も可能だ。


 大河の近くだから農業には向いているはずだ。

 水害対策もしないといけないが。


 もし可能なら、そこで稲作を始めさせることさえ視野にあるのだ。

 ゲンダスどもに土を踏み踏みさせれば、短期間でもさぞかし良い田んぼができるのではないだろうか。


 生憎な事に肝心の稲がまだ見つかっていないのだが。


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