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それでも娘に恋をする。  作者: 紅葉長助
1/3

事件

義理の父と義理の娘のラブストーリー的なの書きたくて載せました。

まだまだ未完で、拙い文章力ではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

まずは、私についての自己紹介から。

私、川島良介と申し、バツイチで自営業を営む、慰謝料貧乏の30代である。。。





当時22歳で、とある飲み会で出会ったギャル…の連れてた娘に私は心を奪われた。ロリコンというわけではなく、小さくて優しいその笑顔に癒された。私はその子の父親になりたかった。そして、そのギャルにそそのかされ、付き合ってしまい、結婚まで強引に持っていかれてしまい、多額の慰謝料請求される始末。。。

唯一の救いは娘である。血の繋がりは無いが、可愛くて誰にでも優しく出来る、非常に出来た子だ。

そして、現在。。。







娘「パパ、久しぶりぃー。」

私「どーしたんだ、レイ?」

レイ「高校生になったんだよ?大人っぽくなった??」

私「大人っぽくなったか、分からんが可愛いよ。」

微笑ましく私が答えると娘は言った。

レイ「は?当たり前じゃん。」

私「ん???」

娘はどうやら母親の影響を受けて、昔の面影が見た目だけに偏っていた様に思えた。。。

レイ「それより、パパ。バイトさせてよ。お小遣いだけじゃ遊園地にも行けない。」

小遣いをせびりに来た訳では無く、バイトをさせて欲しいお願いだったのか、と安堵した。

私「構わないけど、他の学生と同じ扱いするよ?特別扱いは、一切しない。」

私は仕事をする時、身内には一層厳しくしてしまう節がある。娘は分かってくれるだろうか。。。

レイ「パパだったらちゃんと怒ってくれるから、パパの所で働きたいの。」

私は、涙目になり娘をハグした。

レイ「キモい、パパ。」

最近の若い子は、すぐキモいだのキショイだの暴言を吐く。心の中でそんな事を思いながら軽く咳払いして言った。

私「いつから働きたいんだ、時給900円だけど、働きによっては上がったり下がったりする。」

私を嫌々な態度で引き離し、娘は言った。

レイ「すぐにでも働きたい、時給そんな貰えるなら明日からでも。」

私「制服の用意とか、写真付き名札の作成もあるから。二週間後からだね。とりあえず写真撮るよー。」

私はケータイを取り出し、白地の壁の前に娘を立たせ、写真を二枚取った。

私「どっちの写真がいい?」

娘に尋ねると、

レイ「どっちも同じじゃん。どっちでもいいよ?」

見た目に自信あるからなのか、特にこだわりは無くあっさり決めてくれた。

私「じゃ、二週間後の日曜日、朝9時に来てくれる?あっ、これマニュアル、あと時間帯別作業割り当て。なるべく頭に入れといてね。」

スマイルでそう言うと、面倒くさそうな顔で答えた。

レイ「うっ、わ、わかった。」

私「あと、挨拶は必ずする事、新人なんだから。知らない顔見たら、自己紹介ね、あとパパでも仕事中は敬語で話すんだよ?」

レイ「はいはい、分かりましたよー。」

嫌々返事をして娘は出て行った。。。

私の仕事は某フランチャイズ系小売業であり、最近は外国人労働者も雇用している。

駐車場は広く、店舗もそこそこ広い。

品揃えは普通で、サービス業務は数え切れない程ある。(覚え切れないまである)

客数は一日千人程度、レジは二台、従業員数は20人程。

店長一人、副店長一人、社員一人、それに加えてバイトパートが17人いる。

今のシフトは私含めて3人、朝シフト、昼シフト、夜シフト、深夜シフトとあり、現在は昼シフトであり、

パートの桜田さん、林さんと私でシフトを回す。

桜田さんは背は低めで少しポッチャリ、林さんは背は普通でお相撲体系。。。

ガッツリ系女性しかいないのかとお客に言われるまである。昼の勤務を終えて二人がシフトをあがる、次のメンバーは夜組で学生である。20代にして髪が干上がった残念な安倍君、20代には決して見えないロリ可愛い本城さん、社員として働いてくれている浅田君。

私もそろそろ仕事をあがろう。

家に着き、彼女に連絡をする。彼女の名前は久美、30代前半の同じくバツイチ女性である。

私「もしもし、お疲れ様。仕事終わったよー、ご飯どーする?」

久美「りょーちゃん、お疲れ様ぁー。今日お母さんいないからご飯作らなきゃいけないの、ごめんね、明日は一緒に食べよ?」

私「んー、分かった。んじゃ適当に作るか」

珍しいかもしれないけども、私は自炊する、そして永き結婚生活で染み付いたスキルでもある。

元嫁は、文字通り何もしないでゴロゴロしているだけの役立たずだった。

掃除、洗濯、料理を仕事後も、家でも仕事するストレスに負けて離婚したわけである。

私「明日は一緒にご飯作ろう、んーじゃあね。さて掃除しよ。」

こんな感じで毎日を過ごしている。

二週間後、娘がアルバイトにやって来た。

レイ「おはようございます。本日からバイトに来ました、綾坂です。よろしくお願いします。」

私「ちゃんと挨拶出来るじゃんか、林さん、桜田さん、私からもよろしくお願いします。」

林「レイちゃんよろしくねー。」

桜田「最初は、分からない事だらけだと思うから遠慮無く聞いてね?」

どうやら初印象は、悪くなかったようだ。

レジ、品出し、掃除と呑み込み速度は分からないけど手際は悪くない、センスもある、愛想がもうちょっと欲しいところだが、初日にしては上出来だ。

私「もうあがっていいよ、お疲れ様。」

レイ「お疲れ様でした、お先に失礼します。」

おぉ、目から鱗が。む、娘がこの様な成長をしているとは。

ダメな母親を反面教師にしたのか、立派に成長した娘に感動してしまった。。。

娘が帰った後、AINで連絡が来た。メールの様なアプリで、しかも無料で使用できる沢山の企業や学生など幅広く使われる現代における最も需要の多い万能ツールである。

内容は、、、

「疲れたー、パパ仕事終わったらご飯奢って。」

返信内容に困った、今日は彼女とディナーの日だった、しかし娘とご飯は久しぶりに行きたい。

んんんーーー。

どーしよー。困った。

とりあえず彼女に連絡かな。

私「娘が久しぶりにご飯行きたいって言ってるんだけど、一緒に連れてっていい?」

久美「えー、りょーちゃんの娘ちゃんいるの?会いたーい。」

私「んじゃ、7時にビストロガーデンの前で。」

久美「分かったよー。」

さて、AINするか、

「彼女と一緒だけどいいか?」

返信が来た、

「パパ、彼女いるんだ。じゃいいや、二人で楽しみなよ。」

「気を遣う事無いぞ?彼女も会いたいってさ。」

「ご飯食べたらすぐ帰るからね?」

「分かった、7時にビストロガーデン来て。」

「うん、分かった」

さて、とりあえず家に帰って着替えよう。





待ち合わせ場所に先に着いたのは久美だった。

久美「りょーちゃんお疲れ様ぁ、娘ちゃんは一緒じゃないの?」

私「着替えもあったからここ集合にしたんだ。おっ、来た来た。レーイ。」

レイ「初めまして、綾坂レイです。パパがいつもお世話になってます。」

久美「ご丁寧にありがとう、永田久美です。此方こそいつもお世話になってます。ふふ。」

私「あー、んじゃ、入ろっか。」

受付の人に、3人です。

と伝え席に案内される。

久美「レイちゃん歳いくつ?すごい礼儀正しいね。」

レイ「高校一年になったばかりです、永田さんはいつからパパと付き合ってるんですか?」

少しブスッとしてる娘に気づいた。

私「1年くらい前からだよ。」

遮る様に娘は言った、

レイ「パパに聞いてないけど。」

がーん、やはりショックだったのかな、父親に彼女いたの。などと思いながら久美が答える。

久美「1年二ヶ月前に、元旦那からDV受けていたの相談して、それが始まりで、りょーちゃん優しいからすぐに好きになっちゃった。」

レイ「見た目で寄ってきたバカな女じゃなくて良かったです。パパ人がいいからすぐ騙されそうで。」

久美「見た目も好きだよ、優しくてセクシーな目とか、少し膨らんだお腹とか。ふふふっ。」

私「恥ずかしいから、やめてね。」

レイ「惚気だ、良かったね。パパ。こんなスタイルいい綺麗な人が彼女で。…本当は誰とも付き合って欲しくなかったけどね。」

娘はファザコンなのか、父親思いなのか、とりあえずはホッとした。

嫌われたくない、どちらにも。

久美「レイちゃん、久美って呼んで?あと、綺麗って言ってくれてありがとう。これからもよろしくね?」

レイ「こちらこそよろしくお願いします。」




…なんか外が騒がしい、っていうか悲鳴まで聞こえるが…

視線を窓の外に向けると、入り口付近にキャップ帽をかぶって、マスクをしている不審な男が、血まみれの刃物を持って歩いている。。。

入り口から入って来て止めに来た店員に刃物を突き立てた。

刃物は腹部を貫き、血まみれで店員は床に倒れた。店内がざわつく。

男性客「誰か、110番だ、はやくしろ〜」

男性の向かいに座っていた女性が携帯電話を取り出す。

女性「と、通り魔です。場所は…」

女性が通報している間に入り口付近の客が切りつけられている。

たくさんの悲鳴と、逃げ惑う人で店内がパニック状態になる。

私「非常口は遠いし、入り口も遠い、二人ともテーブルの下に隠れてろ。」

すぐさまテーブルの下に潜るとテーブルクロスの中で娘は、小声で囁いた。

レイ「パパ、気をつけてね。」

娘は知っていた、私が柔道の有段者である事を。

そして、無駄にお人好しであり、正義感の塊である事を。

久美「無茶しないでね」

私は革靴で床を二回叩いて返事をした。

もう、二メートル手前には刃物男がいた、次のターゲットは私らしい。

参った、刃物相手に喧嘩したことは無かった。額と背中を冷たい汗が肌を伝う。

男が凄い勢いで刃物を突きつけて来た。

私は構えた、刃物との距離30センチのところで、上に蹴り上げた。

どうやら成功したらしい、そのまま勢いを利用して巴投げをかました。

男は窓ガラスを突き破りアスファルトに叩きつけられた。娘が駆け寄ってくる。何か口を開けているが聞き取れない。あれ、声が出ない。あれ、体から離れていく、何故だ、おかしい、ん?私の体がある、後頭部に刃物が突き刺さっている、運悪く巴投げした直後、弾いた刃物が客のカバンに挟まり、クッション代わりにしたカバンに殺されたのか。



私の川島良介としての人生は、ここで幕を閉じる。

まさかこんな事で死ぬとは、世の中何が起きるか分からないな。

幽体ってやつかな、それとも幽霊なのか?と自問自答していると何かに惹きつけられたように私の魂とも言えるこの身が一人の少年に吸い込まれた。どうやら路地裏で暴力を受けていたらしい。意識を失ったところに私が入ってしまったようだ。

不良「出すもん出せば痛い目にあう事も無かったんだぜ。」

空になった財布を投げて不良達は去っていった。

少年「何が起きたんだ、痛みは全くないが。この身体傷だらけだな。そしてやはり私は死んだのか。」

でこの少年に憑依してしまったという訳か。

参った、まず名前と住所だな。

んんん???

ポケットに学生証がある、む、娘の同級生かーーーー。

さて、住所も名前も分かったが、どーしたものか。少年を家まで送って寝たら体から抜けるかな。



翌日。


ええーっと、朝だが抜けてないようだ。

この少年の意識はどこに行ったんだ??

家族になんて言えばいい、くそ、こんな話誰も信じてはくれないだろう。まさか高校生活を味わえるとは。[全く嬉しくない]

とりあえず学校へ行くか、、、娘の様子も気になるし。

自転車20分の距離で、そこそこ偏差値も高く、進学率も高い。進学クラスは…

この少年は進学クラスで、娘はどうやら普通科らしい。

部活には入ってなくて帰宅部、名前は高島龍之介、名前の割に随分弱そうな外見の、ヒョロイもやしっ子である。

授業が終わるとすぐさま娘を探しに行った。C組へ。この学校は、進学クラスがA組で、普通科はBからFまで、特殊クラスはG組と別れている。

テストの成績でクラス分けされ、進学クラスと呼ばれるのは、入試での倍率も高く合格できた20名程だ。そのため他クラスの僻みや妬みの対象になっており、G組、F組の不良たちから、ちょっかいを出される事も多いらしい。

とりあえずは学校にレイは来てなかった。私はこのモヤシボディを、鍛えることにしようと思った。






数週間がたったある日、C組の教室を覗いたらレイが机に腰をかけ下を向いていた。

話しかけるか、ちょうど一人だし。

龍之介「はじめまして、僕はA組の龍之介、浮かない顔してるけど何かあったの?」

レイ「話しかけてくれたのにごめんなさい、一人にしてくれないかな?今は誰とも関わりたくないの。」

龍之介「僕で良かったら話聞くよ?話せばスッキリする事もあると思う。明日も来るょ。君に興味があるんだ。」

らしくない台詞と、何、この高校生の演技、めっちゃ疲れるわ。

レイ「ありがとう。ごめんね、私はレイ。でも今は誰にも興味持てないと思う。」

龍之介「明日も来る、明後日も。君が僕と仲良くなるまで。」

レイ「あっそ、じゃーね。もう帰るし、早くパパの所行きたいし。」

んんん?パパとな、じゃあ、私は誰だ???

確かめなきゃな。

龍之介「僕も行っていいかな?」

レイ「は?何で、よく知りもしない人の父親に会いに行けるわけ?こわいよ、ちょっと。あとキモい。」

当然のリアクションが帰ってきた。。。

ですよねー、キモいですよねー。

龍之介「じゃ、仲良くなったら会わせてよ。」


沈黙の後に娘は笑った。

レイ「あははっ、君、たくましいね。うちのパパみたい。んーいいよ、仲良くなったらね。バイバイ。」

娘は笑いながら答えてくれた。

後をつけたら仲良くなれなそうなので止めておこう。とりあえず家に帰るかと、廊下をとぼとぼ歩いているとチャラチャラした外見の二人組に声をかけられた。

チャラ男1「今日の分のお小遣いは?ねー、リューちゃん。」

チャラ男2「今日のご飯代は?ねー、リューちゃん。」

ん?カツアゲか、今時でもあるのか、こいつ弱そうだからな。。。

とりあえず人目につかない所で…

あらあら、胸ぐら掴んできたょ、教師黙認かな?それともこの時間には先生来ないのかな?

指、折っとくか。ポキっ、とした音と共にチャラ男一号の小指と薬指はへんな方向に向いた。

チャラ男1「いったぁー、な、何すんだよ?このモヤシ。」

チャラ男2「歯向かう気だな、やっちまおうぜ。」

龍之介「ごめん、手、滑っちゃったある。弱い者いじめ良くないある。」

片言で答えるとイラついたのかチャラ男二号が殴りかかってきた。

ここで柔道技で投げると大変だな、合気道にしよう。小手返しだな。

龍之介「えいっ。」

チャラ男二号の体は回転して床に転がった。

チャラ男1「覚えてろよ、モヤシ、行くぞ。」

チャラ男1号2号は逃げ出した。

この体じゃ打撃戦無理だな、プロテイン買って帰ろう。ひ弱過ぎるこの身体。

家に着くと腕立てと腹筋、背筋を限界までやってみた。腕立て20回腹筋60回背筋70回か、弱いなやっぱり。

全部100目標でやろう、一週間で。。。

あれ、なんか、趣旨変わってきてるかな。

あと授業の復習とまとめ、宿題をして、ランニング2、3キロして寝よう。幸い家の近くには大きな公園があり人気がなく、じーさんばーさんの良き運動場になっている。

次の日の放課後、

メッチャ体が痛い、何だこの痛みは、筋肉痛か??とりあえずレイのところへ行くか。


廊下を歩いていると昨日のチャラ男1号2号が仲間を連れて待っていた。

まじかーーー。

お礼参りなんて、今時あるのかよ。心の声が出ちゃっていた。

チャラ男1「昨日はよくもやってくれたな?あん?指二本折れてたかんな?」

チャラ男2「昨日はよくもやってくれたな?背中いてーぞこら、もやしが。」

チャラ男3「で、何でここ集合なの?」

チャラ男4「お前らの報復とかのつもりか?わりーけど俺ら帰るわ。」

チャラ男1「ちょっと待てって、何で手を貸してくれねーんだよ。」

チャラ男2「そーだよ、こんな奴にやられたんだぞ?」

チャラ男3「二対一でだろ?」

チャラ男4「ワリーけどそんなダセー真似したくねーわ。報復なら一対一でやれよ。友達だからあえてきついこと言うわ。じゃーな。」

チャラ男4号3号は名前を覚えてもいいかもしれん。

龍之介「んで、どーする?また骨折やアザが増えるんじゃないか?」

チャラ男1号2号は、またもや逃げ出した。

C組に行くとレイは、すでにもう帰っていたらしい。

教室にはクラスメイトの女子が3人ダベっていた。

龍之介「君たち、レイはもう帰ったのかな?」

女子A「ミサ聞いてる?」

ミサ「知らない。マオは?」

マオ「確か、お義父さんが危篤で早退したよ。エミん家の近くの医療センターだと思う。」

エミ「え、あそこ?確か意識不明とか植物状態とかそんな人たちばかり運ばれるところだったと思うけど。」

龍之介「その病院の場所を詳しく教えてくれないか?頼む。」

エミから病院の場所を教えてもらい、全速力で自転車を漕いだ。

筋肉痛の身体がきしむが、自分の体を心配しないわけが無い、それどころか、自分は生きていた、と言う事は、今の意識は幽体で、体に戻ればいいのだなと思ってしまった。安易だった。戻る手段が全く分からない。

病院に着くと、受付の人に聞いて自分の病室を調べた。が、家族以外の面会謝絶。

龍之介「は、母の従兄弟なんです。」

ちょっと血縁遠すぎるけども、一応家族扱いで面会許可をもらった。お見舞い用のパスを受け取り名前、時間を記入して病室へ向かった。

病室には、たくさんの管に繋がれて、ギリギリ生きているかどうかの自分がいた。そして、今にも泣き出しそうな娘の姿があった。どんな言葉をかけていいのか分からず、ベッドの手前で足を止める。娘は龍之介に気づいた。

レイ「なんで、あなたがここにいるの?」

私は言葉に詰まり、ありふれた言い訳を口からつむぐ。

龍之介「知人の見舞いに来たら、君がいた。その人は僕にとって、恩人なんだ。まさか、君も知り合いだったとは。」

レイ「知り合いっていうか、義理のパパだった人。世界で一番好きな、世界一カッコいい人。」

私は言葉に出せない感動で涙管が決壊寸前だった。

龍之介「カッコイイ人なんだね、義理の父って事は他人じゃないの?」

私はどーしたものか、こんな質問しか思いつかなかった。

レイ「未婚でママは私を生んでパパと結婚して育ててくれたの。私はこの人の他にパパを知らない。それにママより本気で私を愛してくれたから。。。」

娘は気づいていたようだ、私の愛情に。

レイ「何で泣くの?」

しまった、と思った。涙腺が緩んでしまっていた。

レイ「まだ生きてるし、やめてよ、そういうの。出てって。」

龍之介「ごめん。不安にさせて。」

怒らせてしまった。。。どーしよう。とりあえず一旦帰るか。。。

レイはそのままベッドで意識を失っている私の体にすがり、泣き始めてしまった。

後ろを振り返らずそのまま病室を出ると、嗚咽とともに鳴き声が聞こえてきた。。。

私を思ってくれている娘に、嬉しく思う気持ち半分、申し訳ない気持ちで半分な状態だった。

泣かせてすまない。そう思いながら、自転車を漕いで家に帰った。

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