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『こんな世界』の生き方  作者: スズサイケイ・チュウ
1/1

開戦の誓い。

129年。

私たちの平和は突如壊れた。


いや、壊された。



悪魔達によって。




▲▼



「アヴィ、ここにいた。」



「メル、ジーニャ...、どうした?」



「探してたんだ。この前の話の続きをしようと思って。」



ジーニャが話し、メルが頷いているだけだった。

ジーニャが俺を探す途中にメルと会ったらしい。



メルは一見いつもと変わらない無表情だが、その目は少しキラキラしていた。


「親に聞いたんだけど、この前も話したその巨大な透明ホールだけど、あの中にはある生物が住んでいるらしい。」



ジーニャは深い青の、男にしては少し長め髪が目にかかるのを気にもしないで話し続ける。



「その生物の名は、『悪魔あくま』。僕達人間がいくら足掻いても到底かなわないほどの強力な魔法を使うらしい。...僕らのようなひ弱なバリアじゃ、かなわないらしい。」



ジーニャは己の蒼眼を少し伏せて話す。

しかし、すぐに見開く。



「だから!!!...メル!!アヴィ!!一緒に、魔法憲兵になろうよ!!!...僕は見てみたいんだ!!悪魔がどんな魔法を使って、どんな生体をしているのかを!!」



アヴィとメルは目を見開いた。

ジーニャの言葉に心惹かれたのだ。



「ジーニャ、本気で言ってるの?」


メルはあまり感情に流されない。



「人類がいくら足掻いても勝てないほどの魔法を使うのよ?.....危険すぎるわ。」



俺らの姉のような存在のメルは反対みたいだ。



「俺は、魔法憲兵に興味はあるかな。」



ギロり、と効果音のつきそうな目でメルに睨まれたが見なければ怖くはない。




「.....まぁ、アヴィもジーニャもなるなら、私も行くわ。」



最後にメルが折れるのは、いつもの事だった。




────カンッカンッカンッカンッ!!!!!!




突然非常事態を知らせる鐘が街全体に鳴り響いた。



「なんだなんだっ!!」




「おい!!そこのガキども!!!逃げろ!!!」



見知らぬ街人が逃げながら叫んでいた。



「一体何が!!!!」



アヴィが叫んで状況を聞いた。



「悪魔が、...悪魔がこっちに向かっている!!!」



「あ、悪魔が!?...一体なんで!?」



「そんなこと知るか!!!とっとと逃げろ!!!」



その時、メルがなにかに気づいた。



「アヴィ!!!ジーニャ!!!」



『ヴヴヴァアアアアヴヴヴ!!』



メルが咄嗟に悪魔からバリアで守ってくれた。



しかし、ずば抜けた魔法のセンスを持つメルのバリアでさえ悪魔は簡単に破り除けた。



「レージング!!!」



メルは動揺せず、続けて鉄鎖で悪魔を拘束した。



思いに反して、悪魔に物理的魔法が効いた。



「ジーニャ、今のうちにアヴィと...!!」



「アヴィ!!どこに行くんだ!!!」




アヴィは走り出した。


方角的に家の方向に。



「メル!!」



「くっ!!ジーニャ、いくよ!!」



メルとジーニャもアヴィに続いた。



▲▼




「父さん!!母さん!!ミーシャ!!」



アヴィはひたすら走り続けた。



村はずれのあの家にはまだ悪魔はいないと。


しかし、その思いこそがハズレだった。




「アヴィ!!そっちは悪魔が来た方向だ!!!」



ジーニャの言葉は届いていた。

だが、心には届かなかった。




家が見えた。


しかしそこに居たのは、悪魔二体と規格外の大きさの犬型悪魔と妹のミーシャだけだった。



「ミーシャ!!!!」



「お兄ちゃん!!!」



ミーシャはアヴィに駆け寄ろうとする。



しかしそれを悪魔が許すだろうか。



「ミーシャァァァァアアアアア!!!!」



悪魔の体長は3m、それに対しミーシャは1m25cm。



一瞬でミーシャはのまれた。

そして、悪魔が口から吐き出した時には、ミーシャは少し小さな悪魔となっていた。



アヴィと同じ金色の髪がまだ少し残っていた。



アヴィは膝をついた。



顎が外れそうなくらい開いた口が塞がらない。



「アヴィ!!」


またメルがアヴィと悪魔の間に入った。




「プロテクト!!!!」



一瞬だけの守り。

メルのバリアは儚く割れていった。



しかしそれで怯むメルではなかった。



「バリアウォール!!」



少しぶ厚めの守りの壁を作り出した。


やはりメルの魔法の才能はすごい。



「ジーニャ!!」



メルがアヴィを引きずりながら走ってきた。



「一旦、この国の中心部へ行こう。」



アヴィは余程のショックだったようで気を失っている。



「私は後から追う。奴らを足止めをしてから行く。」



「.....わかった。必ず落ち合おう。」



僕はアヴィを背負って国の中心へと走った。



▲▼



僕らの国の中心部──王都──から少し離れた避難場所とされる広場へついた。



アヴィはまだ気を失ったままだった。



「ジーニャ!!」


「母さん!!」


「よかった、...無事だったのね、...。」



僕は魔法剣士の母さんと合流できた。



「アヴィも無事で...、メルは?」


「僕らを逃がすために足止めを引き受けてくれた。後から追うって、...母さん、メルを.....」


「わかったわ。あとは、母さんたちに任せなさい。」



母さんたち魔法兵・魔法攻撃団は刀のマークのついたマントを羽織り広場をあとにした。



それからしばらくして、アヴィが目を覚ました。



「...ん、...ここは、」


「アヴィ、目が覚めたかい?」


「...ジー、ニャ...?」


「そうだよ。ここは王都から少し離れたマルト区の人のために用意された避難場所。」


「そうか、...メルは?」



アヴィは僕が言いづらいことを聞いてきた。


「メルは...」


「アヴィ、ジーニャ。」



呼ばれた声はよく聞きなれたものだった。



「メル!!無事でよかった!!」



僕はメルに抱きついた。



「ジーニャ、私は平気。」


メルはところどころ擦り切れていたが、大きな怪我はないようだった。



「メル・ルーシュはいるか。」



ほっとしていたところにメルを探す声が聞こえた。



「はい、私ですが…」



「魔法兵・魔法団団長、レオニ・グレイだ。」



魔法兵・魔法団は調査、戦術指揮、戦闘...なんでも卒なくこなすことの出来る言わばエリート団。


僕の母さんのいる魔法攻撃団は名前からわかるように特殊魔法攻撃や物理魔法攻撃に特化した人の集団。

簡単なバリアなどは使えるが、それ以外は不得意なのである。


逆に魔法守護団はありとあらゆる攻撃に耐えられるバリアなどの守護魔法を得意とし、治癒魔法まで操れ、攻撃団と連携して守る役目を果たす。



つまり、魔法兵とは指揮系統の魔法団、魔法団の刀となる攻撃団、すべての守りを受け持つ守護団...三つの団から一人ずつ選抜し3人でひとつのグループとしている。



だから、レオニ団長の隣にいるのは、攻撃団団長のエルヴィアと守護団団長のイムだ。



イム団長は人類で稀に見る女団長である。

三人とも攻撃も守護も操れるため、三人で行動するのは珍しいのだ。



「メル・ルーシュ。君を我が魔法団へ来て欲しく、その知らせと返事を聞きに来た。」



メルは目を見開いていた。



「ジーニャとアヴィが、一緒なら、...考えます。」



「三人ペアがいいと?」



アヴィは上半身を起こし、話に聞き入っていた。



「わかった。...じゃあ、三人とも訓練兵として召集しよう。団決めの時にそれぞれ別の団に入ればグループとして認めよう。いいね?」



「「「はい。」」」



「うん、いい返事だ。」



レオニ団長はニコリと笑うとエルヴィア団長とイム団長を連れて去っていった。



「なぁ、ジーニャ。お前は...どこの団に入る?」



アヴィが俯きながら、声を低くして聞いてきた。



「俺は、家族を殺した悪魔を狩りたい。だから、...攻撃団に入りたい!!!」



殺意のこもった目で夕焼け空を睨むアヴィ。


アヴィがそう言うなら

「僕は、みんなの頼れる守りになりたい。守護団にするよ。」



「私はあなた達どちらも守れて、死なないように指揮してあげる。魔法団に行くわ。」



「約束だ。お前ら。」



アヴィが拳を差し出す。



僕らもそれに合わせるように拳を突き出す。




「「「辛くても笑え!!」」」



アヴィは涙しながら笑い、

メルは心配そうに笑い、

僕はできる限り笑った。




はじめまして。スズサイケイ・チュウです。

あ、名前長いなぁ〜.....。って思っている作者です。


頑張って書きたいと思いますが、更新日はバラバラなんで、そこだけは勘弁してくださいまし。


これからもよろしくお願い致します。

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