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年上の君  作者: ウタ
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side 榎本慎


「何読んでるんですか?」


大学の講義室で、1人本を片手に読みふけっていた俺に掛けられた言葉に顔をあげると、そこには1年の全員が名前を覚えているだろう男がいた。


「…レポートの本、です」

「あ、もしかして木曜の?」

「はい」

「俺もやんなきゃだー」


心底嫌そうに顔を歪ませながらも、笑顔と取れる表情。

「ゆうー」と彼の友達が彼を呼んだ。


「頑張ってくださいね」


にこっと微笑んで、去っていく彼。

……何がしたかったんだろう。

あれか、一人でいる俺に気を使ってくれたのか。

彼は、そういう人。


彼の名は上野優真ウエノユウマ。ニックネームは「ユウ」


18歳の高卒だと思った彼の実年齢は25歳で、短大を卒業して就職したけれどもっと勉強したいと思って入学したらしい。


童顔だが、整って愛嬌のあるかっこいい(一部女子は可愛い)顔に、性格は優しく穏やかで人見知りもしない明るいタイプ。バスケ部に入っている彼は運動神経もよく、最初の飲み会後のカラオケではその美声で皆を魅了した。その上、自分も楽しみながら他人にも気を使えるときた。


つまり、男女問わず学年1の人気者。



一方の俺は中々卒業できない専門学校を中退し、この大学に入学した21歳。

…顔はいい方だと思う。中学ではバスケ、高校はラグビーをやっていたから体格はいい。

性格は穏やかで優しい。酒が入ると煩くなるけど。


人見知りが激しいせいか、中々友達ができない。何人かアドレスを交換した人はいるが、もうグループができつつあるのに、俺はどこにも入っていない。もう、5月も終わるのに。


あ、俺は榎木慎エノキシン

大学生活に、少し夢見る男。




※※※

事あるごとに話しかけてくれる彼は、本当に優しいと思う。


「おはようございます槙さん」


俺のが年下なのに敬語とか。他の人にも、結構敬語。仲が良い友達には、タメ語。

…俺にもタメ語でいいのになぁとか思うのに、言えない。


「おはようございます」

「慎さんて何かサークルやってます?」

「え?いえ、やってないです」

「バスケ!やりませんか!?」


目をキラキラさせながら勧誘する優真君。チワワみたいで可愛いな。


「バスケは好きです、けど」


サークル。人付き合いが苦手な俺には、苦痛でしかないんだよな。


「無理ですか?」

「すみません」


ショボンと落ち込んでも、すぐ浮上する優真君。


「じゃあ、今度ラウワン行きましょーね」


何故!?

だが、にっこりと微笑まれると………


「はい」


そう頷くしかない。

今日も優しくていい人だな。


願わくは、明日もその笑顔を見せて。




まずは1人目終了です。

彼は今後も結構出てきます。

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