目的
誤字脱字や意味不明な言葉があるかもしれません。あと多分次で最後です。別視点でやっていこうと思っていましたが、話の軸がかなりずれそうなのでやめます。どこかに長くなるとか書いてすいません。次で最後です。
1
シロとウシの間にできた子は一人っ子で、テツという名前だ。私を姉ちゃんと呼び、やたらとなついている。そのせいか、シロは私のことを嫌うようになった。そんな日々を過ごしていると、テツの誕生日がやってきた。
今家にいるのはシロと私で、ウシは仕事に、テツは学校に行っている。テツの誕生会には、テツの友達が数人くる予定だ。私はその友達と仲良くなりたいが、今のシロはどう思うだろう。誰かがインターホンを鳴らす。私は考えるのをやめ、急いで玄関に出る。
「どなたでしょうか」
目には見覚えがあるような男の子が映る。私より少し大きい。
「ビンゴ!嬢ちゃん、俺だよ、俺。永井は知ってるだろ?」誰だか分からないしやたら怪しい。
「永井って、研究施設の?」何だか嫌な予感がするが、聞いてみる。
「そうだよ。あの時は殴ったり食ったりして悪かった。ちょっとイライラしてたんだ」
誰だか分かってしまった。確か永井が殺したと言っていたはずだが。
「あ、そう」
テツの友達を期待していたのもあり、何だか萎えた。
「とにかくお前の親殺しとく。どけ」
私は頭を押され、尻餅をつく。
「え?」
背筋が凍る感じがした。
「今日はその用で来た。感謝しろよ。お前を3年間虐待してたんだよな」
私を見下ろして言う。
「違う、今いるのは妹と幼なじみで、父さんと母さんはもう、」
私はその男の子の足を掴んで言う。すると、目の前に一瞬靴の裏が見えた。思わず足を掴む手を離した。
「そうだ、俺があの3人殺したんだった。忘れてた。父親の方はなかなか面白かったなー」
私の腹を蹴りながらそう言う。
「本当の名前も知らないくせに、アイツにベタベタしてさ。異性だからって図に乗るなよ」
蹴るのをやめてからそう言う。アイツとは恐らく永井のことだろう。
「何かあったの?テツ!」
シロが急ぎ足でこちらに向かってくる。途端に、男の子が刃物を取り出しシロ目掛けて走る。私は立ち上がったもののそのまま立ち尽くすしかなかった。シロが倒れる。
「ヒナだっけ?そいつが家族を殺して欲しいって俺に頼んだんだ。昔の馴染みがある奴の頼みだし、悪く思うなよ」
男の子が刃物をシロの腹から抜き取る。
「姉、さん、あな、た、は、」
シロが私を睨みながら弱々しい声を出す。
「わた、し、の、しあ、わせ、と、いの、ち、を、奪、った、って、こと、?」
這い寄り、そして私の足を強く掴む。私は体が震えて何も言えない。シロの涙が足の親指に滴る。
「恨んでやる、ずっと」
そう声を上げて、シロは動かなくなった。
「これはいい。すごく」
男の子がそう言う。私はその場から逃げたかったが、体は動かなかった。
インターホンが鳴る。ウシとテツが一緒に帰ってきたようだ。男の子が刃物をシロの腹から抜き取る。「おい、ドアを開けてくれないか?鍵忘れて出たんだ」
ウシがそう言う。男の子がドアの鍵をかけていたらしい。男の子は刃物を持ったままドアの鍵をあける。ウシのうめき声が聞こえた。大きな黒い影が沈んでいく。次に叫び声が聞こえ、小さな影が遠ざかっていった。すぐに、男の子がウシの体を引き摺りながら家に入ってくる。テツを追わなかったらしい。
「まさか子供がいたなんてな、参った。予定にない、殺せないか。えーと、ヒナちゃんだっけ。運びやすいように、どこを切ろう。でも早くしないとあのガキが救急車呼んだりしたら面倒なんだよな。おぶってこうか」
男の子が独り言のように呟く。私は震えが止まらないままの体で、おんぶで連れて行かれた。
2
男の子が急いで進んでいく道では、人とはすれ違わなかった。そのせいもあってか、逃げるのが無駄に思えた。暗くならない間に海辺に着いた。不自然なところに船が一隻停まっていて、男の子はそれに乗り込む。私は狭い船の中に降ろされた。まだ体が震えている。船にエンジンがかかる。男の子が私の目の前に座る。船には他に人がいるらしい。それが分かってほんの少し安心した。
「今のうちに解体しとくか」
そう言ってシロ達に刺したものと別の刃物を取り出す。私は相変わらず自分の力で動くことも声を出すこともできない。いっそ、解体された方が楽なのかもしれない。
「もう出るし止めとけ。危ない」
懐かしい声が聞こえる。
「分かったよ、くそっ」
男の子がそういって私を押し飛ばす。私は壁にぶつかる。男の子が私の腹を何度も蹴る。
「なんでお前は死なないんだよ、くそがっ。これで壊れなかったらどうする気だよ、おい」
「逃がすかそのまま沈める、飛ばすをするかだ。死なないから壊れるなら壊しとかないと組織が崩壊に繋がりかねない。で、俺もお前に質問があるんだけど」
男の子が蹴るのを止める。
「なんだ」
私の方とは別の方を向く。
「誰も殺してないよな?」
懐かしい声が男の子に向かって言う。
「勿論だ」
男の子が答える。
「お前とはもう会えないな」
残念そうに言う。
「やっぱバレるか。でも俺を殺しはしないだろ?」
悪いことをした自覚はあるらしい。
「さよなら」
不機嫌そうな声が船に響く。
「頼りにしてたのに、残念」
男の子はそういって首筋に刃物を振り、血を吹き出しながら倒れた。私は心が疼く感じがした。訳が分からない。私は自分の頭を押さえこんで、そのまま眠った。
3
目が覚めた。でも何か不快で、昨日あったことがぼんやりとなって明確に思い出せない。ここは前に来た施設の部屋らしいが、前にいた部屋とは広さが違う。今いる部屋の方が断然狭い。ドアが開く。永井の悔しそうな顔が見える。
「おはよう、俺はヒナちゃんに色々説明しないといけないことがある。目がしっかり覚めたら出ておいで、すぐ近くで待ってるから」
永井はそう言って部屋から出た。恐らく、私が疑問に思っていることはほぼ話してくれるんだろう。そんな期待を持って、ドアを開けた。
「早いな、まぁいいか。他に聞かれるとまずいしやっぱ部屋で話そう。」
永井に手をひかれながら私は部屋に戻った。
「まず、俺は自殺してないから。あれは俺が頑張って撮った写真で、姉はいない。あれは俺がずっと女装してた。ごめんな。ヒナちゃんの家族については御愁傷様だけど、なんでわざわざ嘘ついたかっていうのは、上の命令だ。本当にごめんな」
そう言って私の頭を撫でる。
「殺したのも、。私の家族を殺したのも命令?」
出た声があまりに小さかったので言い直した。
「そうだ。妹さんとかは違うけど、ヒナちゃんの両親は」
永井は撫でるのをやめ、そう言った。
「そうなんだ。あの男の子が殺したの?」
自分の声が震えていることに気が付いた。
「いや、違う。また上からの命令が関係するけど、ヒナちゃんの兄さんに頼んで殺させた。結末は良くなかったけどな。遺書は無かったが妹さんが事情を知ってるみたいだった」
下を見ながらそう言った。
もしかしたらシロが一番苦労していたのかもしれない。
「もう聞きたくないかもしれないが続けるぞ。研究の結果は、前に心臓がどうとか俺は言ったけど、ヒナちゃんが死んでも絶対に生き返って、成長も老化もしないことしか分からなかった。それでなぜ連れ戻したかっていうと、ヒナちゃんを殺せるであろうものができた」
私の目を見ながらそう言った。
「といっても精神を壊すものなんだ。これはヒナちゃんと同じ性質を持った子に効いた。1ヶ月元に戻らなかった」
少し目を反らして言った。
「この会社は、ミュータントを研究するだけして棄てるところだ。倫理がどうとかで、死なないヒナちゃんなんかは特に危ぶまれてる。だから、俺はここの研究員として一度聞くけど、まだ生きていたい?」
私の目をまた見て言う。
「分からないよ、そんなの」
私は耳をふさいだ。永井がそれを妨げる。
「あと3ヶ月余裕がある。一緒に考えよう。それとこの際だから言うけど、俺の本当の名前はシロウな。そう呼んでくれてもいい」
永井はそう言った。
キャラの説明を私の中のイメージが明白じゃないので消したいです。今回キャラの説明なしです。次回は最後です。次回で一番最初に買いた説明文と繋がってない!と思う方はごめんなさい。本当ごめんなさい。下手な文で心残りがありますが最後まで見てくださるのはありがたいですとても。だから最後回見る方には改めてごめんなさい。