表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死  作者:
2/5

ある数日

ロリコンが出てきます。今回は下ネタが一番多いかも。この作品のキーストーリーです。


私の存在が家族を狂わせたのか。それとも他のなにかが狂わせたのか。この狂った日々からは、幼なじみの子が家に来たことで逃れることができた。だが今は窮屈でなにもない場所に閉じ込められている。昔私を拐ったのと同じ人達に引き取られ、実験動物のような扱いを受けている。それでも、私にとってはまともな環境だ。まだここに来てから1週間程だが、結構快適に過ごさせて貰っている。

あの誘拐犯の仲間だろうか。この部屋を毎日数回出入りする男が一人いた。永井と呼ばれている男だ。

「ヒナちゃん、家ではどんなことをされてた?」

無口な奴と思っていたが、急に話かけてきた。初めて声を聞いた。

「別に、何もされてない」

辛く苦しかったあの日々を、思い出したくもない。そもそも誰だろうと話す気はない。

「ってことは、性的暴行を受けたとか?」

興奮した様子で言ってくる。あの時の父とは違う恐怖を感じる。

「そんなこと、全然されてないよ」

考えてみれば、過度な暴力と思い出すだけで嫌になるような発言以外は受けていない。あの人たちは私のことを人と思ってくれていたのかもしれない。

「ま、今日はヒナちゃんには全裸になってもらうから分かるんだけどね」

服をじろじろ見ながら言う。

「賭けごとでもするの?」

もしそうなら不真面目な研究班と見えるが、見た目はそんな感じだ。

「俺はヒナちゃんに興味があって聞いたけど、賭けごとか。


いいかもね」

そう言って、監視カメラを見る。

「興味って」

卑猥な言葉に聞こえた。そもそも視線が私の体に向き続けていて、気分が悪い。

「もしバージンだったら貰っちゃおうかな」

私の方に向き、笑顔で言う。

「バージンって何」

本当は知っているしそうなのだが、この手の話はやりたくない。

「ヒナちゃんってもう18年生きてるのにそんなことも知らないのかー。今度優しく教えてあげるよ」

よだれを垂らしはじめる。

「そんなことより、あの日なんで私の首を」

痛め付けの発端でもあるあの事件がひっかかる。興味本位だが。

「あれはねー、奇病を持つヒナちゃんを試すべく、ギロチンに猛毒を塗って首を切ったらしいよ。

でもって今は不老不死の薬の開発のためにヒナちゃんの研究をしてる訳さ」

よだれを袖で拭いてから話す。

「あ、そう」

おおよその検討はついていた。今思えば聞くまでもなかったか。

「そうそう、ヒナちゃんについて調べさせて貰ってるけど、少し分かったことがあるんだ。ヒナちゃんは普通の人間と体の構造は全く変わらない。でも、性的な機能はないし、心臓に小さい塊みたいなのがへばりついてる。それが奇病の鍵だと思うんだよね」

熱が入ったのか、急に語り出す。

「へーそうなんだ」

あまり興味はないが、重要なことが聞けるかもしれないし、相づちだけ打っておく。

「それでね、俺はその小さい塊は遺伝子の異常で生まれたもので、生まれつきある障害。また、肉体の再生と抑制をする機能がある上、壊すことができないものだと思ってる。」

仮説らしい。やはりそう簡単に良いことが聞ける訳がなかった。

「それが証明できたら、私は自由?」

出たところで行くあてもないが、こんな窮屈なところにいてもつまらない。

「場合による」

どや顔で言う。

「そういうのキライ」

好き嫌いを言い出す癖がつい出てしまう。相手は当然のことを言っているだけなのに。

「そういや、ここでの生活はどうかな」

微笑みながら言う。

「窮屈。風呂に入りたい。あと、外出できたら不満は無いよ」

遠慮したところで憂鬱な気分が続くだけだろう。この際わがままを言っておく。

「そうか。じゃあヒナちゃんにとって良い環境づくりのために一肌脱いであげるよ」

そう言って私の頭を撫で、「じゃあまた後で」と言い、永井は部屋を出た。



裸にすると言っていたが本当だった。

死ぬほど恥ずかしい思いをしたのはこれが初めてだ。しばらく経って、また永井が部屋に入ってくる。

「ヒナちゃんって胸全然ないんだな。少し驚いた」

目を丸くしながら言う。

「そんなこと言いに来たの」

だとしたら失礼な奴だ。

「いや、違う。入浴と外に出ることの許可が降りたのを伝えに来た」

微笑みながらそう言う。

「3年ぶりの外、」


中学卒業後は家から出られなかった。妹を人質に取られたからだ。

「無論、条件はいくつかある。一つ目は施設内の移動時に目隠しをする、二つ目は入浴時間と外出時間はそれぞれ一時間まで。あと、外出って言っても範囲はこの島にある施設の周辺まで。俺も付き添うから心配しなくていいぞ。風呂は同様にあまり期待しないでくれ。そして、守れなかったら俺はクビになってヒナちゃんが外に出られるのは研究が終わってから。もし俺がクビになったら目隠ししたヒナちゃんをトイレに連れてって、」

またよだれを垂らしている。

「永井さんって私を性的な目で見てるの?やめてよ」

とても不快だ。

「初めて名前を呼んでくれたね。俺はそういう性癖があるだけだよ」

どことなくうれしそうだ。

「私、永井さんのこと嫌い」

その性癖も受け付けない。

「照れちゃって。可愛いなー」

笑いをこらえている。

「今すぐ外出したいんだけど、いいかな」

こういう時は話を切り替えるに限る。それに、施設周辺だとしても楽しみだ。

「じゃあ早速行こうか」

そう言って永井は、アイマスクと手錠をポケットから取り出す。



永井の趣向だろうが、足首に手錠を付けられ、抱っこされ移動した。移動する時の音は足音だけで、静かだった。

「外に出た。降ろすぞ」


そう言って私を地面に置く。

永井は足にかけた手錠を外す。私は自分でアイマスクをとった。

「はぁ、凄いな」

この島で人為的なのは施設だけのようだ。木々や空気の新鮮さが身に染みる。

「ちょうど晴天だな。春にはいい日だ」

初めて、普通のことを言う。

「なにかして遊ぼうよ」

外で遊ぶというのも、当然ご無沙汰していた。

「おおっとお誘いか。それならできる限り人目のつかないところに、」

懲りずに言ってくる。

「私、やりたいことは容姿に伴ってるみたいで。考えが幼過ぎるかな」

この人に対してはこういう返しが正解か。

「ぶっちゃけ知らないけど、遊んでやっていいぞ」

少し落ち着いて言う。

「じゃあ虫取りしよう」

ゴキブリはあまり好きじゃないが、クワガタとか蝶々とか好きだ。

「いいぞーやろう」

少しやる気がなさそうだ。

「よーし、行こう」

木のある方へと歩く。



虫取りはなかなか楽しかった。永井の目は終始死んでいた。いやいやでも一緒に遊んでくれたのはうれしいが、やはり好きにはなれそうにない。虫取りを終えて、二人で木陰に座っている。

「虫取りのどこがいいのか」

解放感に満ちた笑みを浮かべながら言う。

「動き回ってるのを捕まえるのが楽しいの」

その動きを予測して捕まえるのもいい。とても楽しい。

「分からないなー。虫なんてばっちいだけだろう。カブトムシなんてダニが沢山付いてるらしいぞ」

微笑んでいる。

「汚いかもしれないけど、私は好き」

カブトムシはツノがよく分からないからあまり好きではないが。

「虫が好きなんて、変な子だな」

頭を撫でながら言う。

「なんで何回も頭撫でるの」

どうも下に見られているようで気分が悪い。

「ヒナちゃん可愛いから、つい」

意味ありげに言う。

「妹さんか娘さんでもいる?」

私に対する執着からしても、少し気になった。

「いないよ」悲しそうに言う。

「変なこと聞いてごめん」

妹か娘かは分からないが死んだらしい。

「妹欲しかったな」

上を見上げて言う。

「私に妹いるからあげようか」

勘違いして心配した自分が恥ずかしい。

「ヒナちゃんで充分だよ」

急に私を抱き倒してくる。

「頭打った、痛い」

この危ない状況を打破する為の嘘だ。

「大丈夫か」

そう言って立ち上がる。

「ごめん、嘘ついた」

とにかく施設の方に逃げる。

「ヒナちゃん、えっちなこと想像し過ぎ。可愛いなー」

走ってくる。

「自己防衛本能だよ」

このままじゃ追い付かれる。

「捕まえたー」

後ろから私を押し倒し、乗る。

「誰か助けてー」


施設の方に声をあげる。乗られているので少し変な声になった。

「誰も助けになんて来ないよ。きつく言っといたから」

よだれだろうか、私の服に落ちる。

「お願いだからやめて」

もう助かりそうにないが一応言ってみる。

「嫌だ」

ファスナーを開ける音がする。

「私の唯一の宝がぁ」

じたばたしても降りてくれそうにない。

「急で悪いが、心臓を貰う」

そう言い私にアイマスクを付ける。

「えっ。あぁ、あ、いいよ」

心臓になんかへばり付いてるとか言ってたし、抉り出して不老不死の薬でも作る気だろう。

「ヒナちゃん、死ぬかもしれないぞ」

麻酔剤だろうか、私に注射して降りる。

「それでもいいよ」


短かい間ではあったが、最後に遊んたことは忘れられそうにない。そういえば、幼なじみの子や友達は元気にしているだろうか。

「仰向けになれ」

機嫌悪そうに言う。私は命令に従う。

「最後かもしれないし、ヒナちゃんのバージン欲しかったな」そう言って溜め息をつく。

「それは嫌だ」

だんだん意識が薄れていく感じがする。

「バージンの意味分かってたのか。やっぱりそういうの嫌い?」

質問をしてくる。

「嫌い」

そう答えてあとは眠った。


目が覚めた。心拍数を表示する機械が音を出している。部屋は窮屈なところとは違い、病院のようになっている。私はベッドの上で眠っていたようだ。

「結果は検討違いだった。また一からやり直しだ」

永井の声が聞こえる。

「どこにいるの?」

返事が返ってこない。この部屋には私の他はいないようだ。私はベッドから起き上がり、カーテンをあけ、扉に付いたドアノブを回すと開いた。ルール違反ではないし、施設内の探索でもようかなと思いながら、廊下を歩く。他の誰かが廊下を歩く音がしたので、急いで目の前の扉を開けて入る。この部屋には、私と同じぐらいの背の男の子が一人、しゃがみ込んでいた。

「お前、何しにきた」

男の子が聞く。

「施設を探索してて、何かしには来てないよ」

この男の子はなぜここにいるのだろうか。

急に男の子からタックルされる。転げた私は急いで立ち上がり、



部屋から出ようとするが扉が開かない。

「お前、研究者の娘だろ。殺す」

そう言って近づいてくる。

「違う、私はここで実験に使われてる」危ない人だ。とにかくありのままを言う。

「本当か?もしそれが本当なら、僕と同じだ」

目を丸くして言う。

「君も奇病でここに来たの?」

同じ背だけに少しは興味がある。

「違う。実験で作られた。機械から産まれたんだ」

そう言って変な笑い声をあげる。

「そ、そうなんだ」

出生はともあれ、本当に変な子だ。これ以上はあまり関わりたくない。

「同胞かと思ったけど、同じ場所にいるし教えてあげた。だからさ、殺させて」

母と同じ、狂った目を私に向ける。

「嫌だ」

そう答えて再びドアを開けようとするが、相変わらず開かない。そうこうしてるうちに男の子が私の右肩に噛み付く。

「痛っ」

噛み千切ろうとしているようで、かなり痛む。ドアに押さえ付けられ、動けない。

「なんでこんなことを」

私がそう言った瞬間、肩の肉を千切られる。

「うっ」

私は痛みを堪えるためにしゃがむ。

「好きなんだよ。こういうことが」

噛み千切った肉を食べているようで、クチャクチャと音がする。

「ひどい。やめてよ」

言っても無駄だろうが一応言ってみる。

「嫌だ」

そう言って私の顔を殴る。私は床の上に倒れる。

「私の父さんと母さんと兄さんはもっとひどいことをした。そんなこと私にしたって」

立ち上がろうとすると、今度は脇腹を蹴られる。私はその場にうずくまる。

「知るか。強がりやがって」

そう言って私の首を掴む。私は息ができず、ただじたばたする。



気が付くとまたベッドの上にいた。また気を失っていたようだ。誰かが入ってくる。

「ヒナちゃん、目が覚めた?」

永井の声が聞こえる。

「永井、あの男の子なに」

こいつに聞けば少しでも分かるだろう。カーテンが開く。

「ヒナちゃんに噛み付いて殴って首を絞めたあいつか」

笑いながら言う。

「あの時、カメラを見てたりして」

もしそうなら悪趣味な奴だが。

「いや、後で見た。あいつはヒナちゃんを気絶させたあと、ヒナちゃんの肉を食ってた。俺が来た頃は右腕は骨だけだったよ」

残念そうに言う。

「どうなったの、あの子」

少し兄に似ている気がして気になる。

「あいつは俺が殺した。話せる奴と思ったけど、あんな行動されちゃな」

苦笑いしながら言う。

「私が部屋に入らならければ、死ななかった?」

少しの事故はあったとはいえ、この顛末を飲み込めない。

「俺が殺した。勝手に入ったからあいつは死んだって訳じゃない。勝手に入ったヒナちゃんは仮死状態にされて、あいつは俺に殺された。でももう勝手な行動するなよ」

少し怒っているようだ。私は父さんを怒らせて、ああなったのかもしれない。

「分かった。もう勝手なことはしない」

こういう気分はどうも嫌だ。それを味わいたくないというのもある。

「頼んだぞ。俺だって、あまり殺したくはない」

悲しそうに言う。

「そういえば、永井ってここで何やってる人?」

湿っぽいのは嫌いなので、別の話題を出す。

「たった一人でヒナちゃんとかを管理してる。そういや自己紹介してなかったから、この際させてくれ。医療関係は少しかじってるが、免許を持ってる訳じゃない。ただここは家賃取らないし、飯が食える。ただで生活させてもらってるようなもんだ」

どや顔で言う。

「ここには永井だけ?」

無論、興味本意だ。

「いいや、俺を含め35人いる。20人が警備の奴だけどな」

ニヤニヤしながら言う。

「口が軽いよ。言っちゃって大丈夫?」


ここから逃げ出す気はもとからないが、聞いてみる。

「心配してくれるか。嫌いは口先だけだったりして」

そう言ってクスクス笑う。

「生理的に嫌い。からかわないで」

本心のまま言う。

「大人げなかったか?悪い」

そう言って吹き出す。

「私のことを馬鹿にして何が楽しいんだか」

ため息が出る。

「本当に可愛いな、ヒナちゃんは」

笑いながら言う。

「それはそうと、外出していいかな。あとお風呂も」

そういえばあの後、風呂に入ってない。そう考えると、はやく風呂に入りたい。

「今は夜だし外出は駄目だ。風呂ならいいぞ。俺も一緒に入るけどな」

よだれを垂らしている。

「一緒に入るの嫌だ。でも、はぁ。まぁいいよ」

嫌な予感しかしないがどうしても風呂に入りたい。

「じゃあ行こうか」

そう言って私にアイマスクを付ける。



風呂場には湯船が一つあり、温泉のように広い。シャンプー&リンスとボディーソープも完備されている。外出同様、風呂も久しぶりだ。

「あまり期待してなかったけど、凄いや」

せいぜいユニットバスかどうかという所までしか想像は至らなかった。

「温泉同様、マナー守れよ」

声が響いて少し聞こえづらい。

「分かってるよ」

結局永井も入るらしい。とても残念だ。

「温泉でヒナちゃんと同じ年頃の女の子は沢山見てきたから、恥ずかしがることないぞ」

私の体をガン見しながら言う。

「永井がいなかったら、満喫できただろうな」

からかうような変なことばかり言ってくるし、既に気分が悪い。

「目が覚めてから俺のこと呼び捨てだな。そんなに嫌いか」

ニヤニヤしながら言う。

「うん、嫌い」

毎度だが目線を逸らして言う。睨み付けながら言うのは、気が乗らない。だから永井のことを好きと勘違いされているのだろう。

「ヒナちゃんってよく、寂しそうな顔するよね。あの時の話で少し聞いたけど、ここに来る前に何があったのかな?」

まともな質問をしてくる。

「永井、それは流石に引く」

不意にあるものが目に入った。今までのあの発言は嘘じゃなかったらしい。

「これはだな。ヒナちゃんのことが好きだからだ。仕方ない。そんなことより、心配なんだ」

よだれを垂らしながら近づいてくる。

「始まりはあなたたちに首を切られたことから。それまで母さんから暴行を受けてたけど、あの後から兄さんも私に暴力をふるうようになって。終いには唯一優しくしてくれた父さんもおかしくなった。今は妹がいるから、それが心配で」

スムーズには言えなかったが、ありのままの内容だ。

「あまり言えないが、妹ちゃんは無事だ。ヒナちゃんとはどこかで会えたらいいなと言ってた。幸せそうだったよ」

私の頭を撫で、微笑みながら言う。

「会いに行ったんだ、あの人たちに」

自然と体が震える。

「一応、あそこからヒナちゃんを預かってるからね。研究が終わったら、妹ちゃんの望み通り、俺とヒナちゃんの二人旅だ」

鼻血が垂れはじめる。永井はとっさに手で鼻を隠す。

「妹がそんなことを」

陰ながら理解してくれていたらしい。無邪気なままだと思っていたが、心配させてしまっていたようだ。

「姉さんは研究が終わったら家に帰ってくるよ、って言ったらダメって言われてね。いい妹ちゃんを持ったね」

永井の声がいつにも増して優しく聞こえる。

「私は。あぁ嫌な気分。お風呂入ろう」

永井の手を掴み、湯船に駆け寄る。

「ちゃんと体流してから入れ」

私に手でお湯を飛ばしてそう言う。

「ごめん」

私は湯船に飛び込む。風呂はやっぱり気持ちがいい。

「まぁ、いいか」

永井はそう呟いて、シャワーを取り付けてあるところに行く。

私は体を洗ってからまた入ろうと思い、湯船から上がり、永井の隣に座る。

「ヒナちゃんははっきりしない子だな」

ニヤニヤしながら言う。

「気まずくなるの嫌だもん。」

そう言ってシャンプーの液を手に取り、頭をしっかり洗う。家で髪の毛を切られていたので、洗うのにさほど時間はかからなかった。次に、ボディソープの液を手に取り、素手で体に塗りたくる。アカは不思議と出なかった。奇病のもたらしたものだろうか。

「匂いが良くなったな」

いつの間に移動したのか、湯船で笑いながら言う。

「やっぱり永井のこと嫌い」

いつも笑顔なので少しは好感を持ったが、どうも嫌に感じる。

「ってことは好きだった時があったのかなーヒナちゃん可愛い」

湯船の中によだれを垂らす。

「好感持とうとしたけどダメだったよ」

ため息が出る。この後はしばらく沈黙が続いた。十分入ったので、風呂場から出る。そういえばタオルも着替えもない。

「タオルと着替えなら俺が持ってきてる。新品だぞ」

永井が風呂からあがり、コインロッカーのようなロッカーから篭を出す。篭の中にはタオルと着替えが入っていた。

「ありがとう」

私はタオルを取り、体を拭く。やっぱりアカは出ないみたいだ。次に髪の毛を拭いて、服を着る。変にシンプルな服だ。どこから買ってきたのだろうか。永井のハンドメイドと思うと寒気がした。そして、鏡の前に置かれたドライヤーで髪を乾かす。この流れを私は覚えていたが、今度はずっと風呂に入らなかったら、忘れてしまうだろうか。もし寿命を迎えられなかったら。そんな変なことを考えた。

「ヒナちゃん、目隠しするよ」

永井が指を変に動かしながら言う。それを無視して「いいよ」私は言う。永井はアイマスクを取り出し、私の目につけた。



最初に外出してから、5年後のことだ。永井との生活も定着して、私としては充実した毎日だった。そんなある日、永井が部屋に来なくなった。代わりに女の人が来るようになった。私は永井の行方を聞いたら、「自殺した」と言われた。写真を見せられた。永井が椅子に座り、長机に倒れ込んでいる写真だ。右手に大きめのナイフを持って、

左腕が途中から切れていた。遺書はなかったらしい。信じたくない。でも、もう会えない気がしていた。



今回は永井が何か隠しているというのと、研究所に預けられている人物がどういう人たちかを大まかに把握して貰えば十分です。


↓見ない方がいいかも

キャラクター紹介


名前.永井

性別.男

性格.ロリコン

備考.目はオッドアイ。強いコンプレックスを抱いているが、赤のカラーコンタクトを付けたり緑のカラーコンタクトを付けたりしている。髪の色は銀色。髪型はかっこいい。肌は少し白い。身長180cm程。体重70kg程。初登場時の年齢は21歳。性的な目で女性を見ることができないが、口では性的なことを言う。イタズラ好きで、周りからはあまり好かれる人ではない。責任感が強い。子供は嫌いだが、ヒナに対しては関心を抱く。


名前.男の子

性別.男

性格.残忍

備考.目の色は赤色。髪の色は焦げ茶色。髪は長くないが、ウェーブがかかっている。身長140cm程。体重45kg程。年齢は11歳。復讐のことばかり考える。永井に対してのみ心を許すが、他に容赦はない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ