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dream boy  作者: BAKORU
4/6

はじめまして

授業の途中に僕は、先生に一言言って席を立ちトイレに向かった。


なぜかと言うと、授業が始まってすぐに右腕に違和感感じ、そのすぐ後に強烈な頭痛と吐き気を催したからだ。


 「ウェー、ボウェー…」


トイレの戸も閉めずに勢いよく出てしまった。


 「ウォェー、ボーー、ハァハァ…」


しばらく終わりそうもない、このまま死んでしまうんじゃ、と弱気になってしまう。何か変な物でも食べたのだろうか。


 「ヴッ!!まただ。」


 「バタンッ!」


誰かが入ってきたのを感じ、戸を閉めようとしたが、体か吐き気に負けてしまい、本日三回目を出してしまった。


 「ウェェー、ウボォー」


三回目を出し終えて、恐る恐る顔を上げてみた。するとそこには、一番見られたくない奴が立っていた。遠藤だった…。


 「よ、よっ!!」


思わず声が裏返ってしまった。


 「あー!何でドアを閉めなかったんだろう」


自分でやった事なのに、すごく恥ずかしかったし、腹が立った。

だが遠藤は一瞬だけ僕を見てそのままトイレから出ていってしまった。

僕は恥ずかしいのと、悲しいのとで、すごくみじめな気持ちになってしまった。


 「今日はもう早退しよう。」


僕はそう心の中で決心した。だがしばらくはトイレから出られそうもなかった。


吐き気もだいぶ治まり僕はトイレから出た。

僕は教室には向かわず、そのまま保健室へと向かった。

本当なら最初に教室に行って、先生に一言言ってから保健室に行くのが普通だろうが、15分ぐらいトイレに居たのでシンジの奴に何を言われるか分からない。

今はそんな元気もないので保健室に行くようにした。


保健室に着くと白衣を着た自分の母親ぐらいの年の先生が椅子に座っている。


よく男子の想像の中では、若くて美人な保健の先生を想像するが、そんな先生がいる学校なんて、見た事も聞いた事もない。大抵がうちの先生のような人だろう。


その先生に自分の体の状況と早退したいと、いう事を話すと、体温計を使わずに僕のおでこに、手をあてて


 「う〜ん…ちょっと熱ががあたるみたいね。じゃあ担任の先生には私から言っておくから、帰っていわよ。」


との事だった。

保健の先生は具合が悪いといえば大抵は早退させてくれるので、そういうところが好きだった。


今は授業中なので休み時間になるまでは保健室のベットで休むことにした。


 「キーンコーンカーンコーン…‥」


一時限目の終了のベルが鳴り休み時間になった。

僕はベットから起き上がりダルい体をひきずりながら教室へと向かった。

3階にある自分の教室がいつもとは比べ物にならないくらい遠く感じた。教室に着くとシンジはまた違う女子達に捕まっていた。がすぐに僕に気付き意地悪そうな笑みを浮かべて近づいてきた。


 「どこ行ってたんだよ!?」


と僕の肩を叩いて、そう言った。


そんなに、強く叩いた訳じゃないのに、僕は力なくよろめいた。

時間が経つにつれて吐き気は無くなったが、調子はどんどん悪くなっている気がする。

ホントに僕の体はどうなってしまったんだろう。すごく不安になった。

そんな僕の異変に気付いたのかシンジは心配そうな顔していた。


 「おい、大丈夫か?」


 「ああ、早退する事にしたんだ。」


僕がそう言うと、シンジは僕の机まで行って荷物を取ってきてくれた。


 「これ食べて元気出せよ。」


荷物と一緒にリンから貰ったチョコを手渡してくれた。


 「うん。ありがとう。助かったよ。」


シンジに別れを言い、教室を後にした。

シンジは普段はふざけているが、人が困っていたり何か変わった所があるとすぐに気付いたり気遣ってくれる。

時々男の僕でもドキッ!!とする時があるぐらいだ。そこがみんなから好かれる理由かもしれない。


そんな事を考えていたらもう校門の所まで来ていた。

そこでふと校舎の方に振り返ると、新校舎と旧校舎の間に架かる渡り廊下にリンが立っていた。

僕は立ち止まり渡り廊下の方を向いた。


するとリンはある男の方へ向かいある物を渡して、自分のクラスの方へ走って帰っていった。

僕はその光景を見てまた気分が落ち込んでしまった。

ある物とは、もちろんチョコであろう。そしてある男というのは、あの遠藤だった…。


僕はガックリと肩を落としたまま家の方へと歩いていった。

こんな状況であんな光景を見るのはたまらなくきつかった。


 「何でよりによってあいつなんだよ。あいつもこっちが話し掛けてるんだから返事ぐらいしろよ。」


トイレでの事や、渡り廊下の件でなんだか腹が立って、気が付けば独り言を言っていた。


 「#$%$&¥@」


下を向いて歩いていた僕の耳に何か聞こえた気がした


 「@‥&@¥☆*」


 「あ〜うるさい!!こっちは考え事してるんだ、今度は幻聴か!!」


僕はこの耳障りな音にイライラして大きな声で叫んで顔を上げた。

するとそこには黒っぽくて小さな人形が宙に浮いていた。


 「わっ!!!」


僕はビックリしてその人形のような物体をもう一度見た。

そう例えるなら形は何かのアニメに出てくるような、小さな小人のようで、ずんぐりむっくりしている。

姿は黒っぽく、サーカスに出てくるピエロのようだった。


 「はじめまして。」


人形はうっすらと笑みを浮かべてそう言った。

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