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dream boy  作者: BAKORU
3/6

違和感

僕は教室に着き、クラスメート達に軽く朝の挨拶をし自分の席に着いた。そして朝の事を思い出して一人で表情を緩ましていた。


周りの奴らからしたら、さぞ気色悪いだろう。

さらに妄想は膨らみ、もし付き合ったら最初のデートはどこに行こうかとか、結婚とかしちゃうのかな?などと、どんどんエスカレートしていった。


そんな幸せな時間をブチ壊すようにある男が現れた。そうシンジだ。


 「なに気持ち悪い顔してんだよ。」


シンジの言葉で一瞬にして夢から覚めたようだった。


 「あー!!さてわリンちゃんからチョコ貰ったんだろ?」


こういう時のシンジの勘は怖いほどによく当たる。

僕は照れ臭そうに、でもどこか自慢気にその時の事を話し始めた。


 「お前にもとうとう春が来たなぁ。それでその後は?」


シンジは僕の話をホントに嬉しそうに聞くので、僕も続きを話そうとしたが、担任の教師が入ってきたのでみんな席に戻っていった。


 「何だよ!!いいとこだったのに…。じゃあ後で続き聞かせろよ。」


シンジもそう言って自分の席に戻っていった。


僕らのクラスの担任は、長谷川という四十歳独身の男の人だ。男子には厳しく、女子にはいやらしい感じなので、旧校の全生徒から嫌われている。信頼も薄ければ髪も薄い人だ。

この人が話している時は誰もよくは聞いていない。隣の席の奴と話したり、こっそりと机の下で携帯をいじったりしている。

僕も話などそっちのけで、またぼんやりと妄想をし始めた。


 「ドスーン!!ガシャーン…」


話も終盤に差し掛かった頃に何かが割れたような破壊音が学校中に響いた。


クラスのみんながザワつき始めたのを、長谷川が一括して鎮めると廊下へと出て行った。

長谷川が少し離れた事を確認した後、窓際の奴が、外を見にベランダから顔を出した。


 「遠藤だっ!遠藤とゲン高の奴らだ!」


それを聞くとクラスのみんなが一斉にベランダへと急いだ。


 「うわっ!!本当だ!」


 「すげぇー!!!」


 「やべぇじゃん!やばくねっ!?」


みんなが騒ぐのも無理はない、下には『西原高校』通称ゲン高の生徒が五、六人と、うちの生徒の遠藤が何やら喧嘩をしているらしい。


ゲン高というのは地元イチのヤンキー高校である。全校生徒全員が、ヤンキーだと言ってもいいほどのヤンキー密集地帯だ。すぐ切れて、すぐ暴れるとても恐ろしい奴らだ。

こいつらが町で暴れているのはよく見るが、(うちの高校の奴らも少なからず、被害を受けた奴がいるだろう)うちの高校に来る事なんて初めてである。


だが、押しているのはゲン高の奴らではなく、遠藤の方だった。


ゲン高の一人は腹を抑えてのたうち回っている。もう一人は頭を地面につけ、うずくまっている。そう、いわゆる土下座のような形だ。

そしてもうは、さきほどの音から推測すると、校舎の窓ガラスを突き破って中でたおれているに違いない。

残りの奴らはまだ無傷で立っているが、時間の問題だろう。

ここからでも奴らがビビッて、逃げ出したがっているのが分かる。


なぜこんなに遠藤が強いかというと、剣道の全日本チャンピオンで父親が空手の世界チャンピオンで、小さい時から教わっていたり、町にあるボクシングジムを一人で潰したりと、言い出したらキリがない程の伝説をもった男であるからだ。

影では 「破壊王」だとか

「核爆弾」などの、あだ名が付けられている。

そして、僕とリンとの写真にに写っていた、もう一人というのはこいつの事だ。


下を見ていると、シンジが話し掛けてきた。


 「さすが、我が校が誇る破壊王だな。あんなの食らったら死んじまうぜ。」


楽しそうに話すシンジに、少しムッとした。


 「ああ。」


今では違うが、昔は本当に仲が良かった。いつも三人、どこでも一緒だった。

だが中学に上がる時に僕とリンは同じ学校に、あいつだけ家の事情で違う学校に行ってしまった。その間に何があったかは知らないが、高校でまた一緒になった時には、あいつは変わってしまっていた。

それが何だか少し悲しかった。しばらくすると、下に先生達が集まって喧嘩を止めに入った。

遠藤は先生達につれられて、校舎の中に。ゲン高の奴らは、散り散りに逃げていった。


 「すごかったねぇー!!」


 「やっぱ格好いいね、遠藤君。」


 「うん!強くて、クールなとこがいいよね。」


クラスの女たちの会話に、気分が悪くなった。

長谷川が戻って来ると、何事も無かったかのように授業が始まった。


授業の内容を、ノートに写そうとペンを取った。その時、右腕に何かに引っ張られるような、奇妙な違和感をかんじた。

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