第4話 俺と二人のキス
あの穂香を守る宣言をしてから3日が経った。あのあとすぐ紬と雷火が自分の武器を見つけた。紬は二双の槍と軽めの防具、雷火はまさに勇者と言った感じの防具、剣、盾だった。
その日は、武器を選んだだけで終わった。
次の日は、それぞれの武器を使って、騎士達と模擬戦とその後に魔法がどういうモノかを教えてもらった。
そして三日目、今現在。俺は、今騎士の中でトップクラスの実力を持つ女と相対している。しかも相手の女が俺の事を物凄く睨んでいる状態だ。
一体俺が何をしたーーーーーっ!!
俺は空を仰ぎながら、心の中でそんな悲鳴を上げていた。
そもそも、何故こうなったのだろうか?少し回想をしてみよう。
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~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~
「(穂香さん。兄さんにキスをしても大丈夫だよね?)」
俺は誰かの話し声が聞こえてきたので目が覚めてきた。体は少しずつ起き出して来ている。(ちなみに、この時にはもう何時でも戦うことが出来る)しかし意識はぼんやりしていてまだ完璧には起きていない。(しかしそれでも戦うことが出来る)だから、誰が何の話をしているのとか、どんな内容なのかは分からない。
このときしっかりと起きていればあんなことには……………っ。
「(大丈夫ですよ、紬ちゃん。それより、あの事は本当なんですよね?)」
「(本当ですよ、この世界は一夫多妻制が認められています。)」
「(安心しました。これで心置きなくヤれますね♪それでは、誰が先にキスをしますか?)」
「(ジャンケンで決めますか?それとも一緒にしますか?私は兄さんと出来ればいいんですけどね♪でもやっぱり兄さんの初めてを奪いたい。)」
「(そうですよね。やっぱり一緒にキスをしますか。その方が私にとっても紬ちゃんにとってもいいみたいですしね。)」
「(そうですよね。兄さんとキスできるなんて夢みたい。)」
「(それでは)」
俺は何となく目を開けた。本当に何となく。開けて最初に写ったのは穂香と紬が目を瞑ってこちらに近づいて何かをしようとしている姿だった。だから俺がすることは……………
「何をやろうとしているんだ、お前らは?」
「「えっ!!」」
「二人揃って、えっ、とはなんだよ。だから何をしようとしていたんだよ?」
「あ、兄さんを起こそうとお思っただけですよ。ねぇ、穂香さん?」
「そうですよ!!別に深い意味はないんです!!」
「そうか。ありがとな、二人とも。」
そう言って俺は二人の頭を撫でた。俺の事を起こそうとしてくれたことに感謝しての事だ。だってそうだろ?理由はともあれ起こしに来てくれたのだから。撫でていると二人とも風邪を引いたかのように、顔を赤くした。そして二人は
「ああありがたく思ってよね!!」
「たたたたまたまです。気分が向いたから起こしに来ただけです!!」
上から、紬、穂香の順だ。俺はそれを聞いて
「そうか…………………でもありがとな。俺みたいな奴を起こすのは嫌なのに起こしてくれて。でも、もう起こしに来なくていいよ。二人にも好きな人がいるだろ?ソイツに勘違いされるかもしれないからな。それに二人は美人だから、俺みたいな不細工は傍に居ちゃいけないんだと思うんだ。」
俺は二人に対して、自分の本音を言った。紛れもない本音だ。
俺のその言葉に対して二人は俯き出した。俺は二人に何かあったのかと思い、二人に、どうしたんだ?と言おうとしたが言えなかった。
何故なら、二人に押し倒されたからだ。幸い、後ろはベットだったので怪我はなかった。怪我は無かったけど危ないので、俺は二人を怒ろうとしたが
「そんなに自分を無下にしないでください…………………グスっ………」
泣きながらそんなことを言われれば何も言えないじゃないか。だから俺は
「……………………ごめんな。」
そう言って二人を抱き締めた。泣かせてしまったから落ち着かせるために。
とそこで、扉が開いて
「遅いぞ、穂香、紬!!これから、私と戦う………話………だろ?」
俺は突然入ってきたそいつを見て嫌な汗がだらだらと流れるのを感じた。見たことがない奴だが、今の状態を見られているのはヤバイ!!勘違いしてしまう!!
「貴様っ!!何をやっている!!二人をどうするきだ!!」
ほら、こんな風に。ちなみに、今俺たちの状態は、俺に抱きついて泣いている二人、俺は抱き締めている。しかも不細工の俺が。
だから、俺は必死に弁解した。
「ち、違う!!と言うか誰だお前!?何でノックをしないんだよ!?何でここにいるんだよ!?」
「な、何が違うと言うんだ!!それに私は、王族騎士団騎士長フィルナ・A・ストラートと言う者だ!!ここに来た理由は、その二人と決闘するためだ!!そして扉を開けたらこのような状態になっているとは!!は、破廉恥な!!今からお前を成敗してやる!!決闘だ!!」
「…………どうせ、何を言っても決闘されるんだろ。分かったよ、決闘をすればいいんだろ?それで何時殺るんだ?」
俺は今イラついている。勝手に勘違いして、決闘を申し込んだ女に対して。