第37話 登場
「俺が死んだぐらいでそんなに驚くなよ。」
俺が突然起き上がりそう発すると全員の動きが止まり、何度も俺の事を見た。とりあえず今俺がやらなければならないことが1つあるからするために立って動き出した。
「穂香、死ぬなんて悲しいことはやめてくれ。俺が死んでも死のうと思わないでくれ。俺はお前達の枷になりたくないんだっ。頼むから生きてくれ!
今回は勝手に死んでごめん。俺は油断していたんだと思う。いや、慢心してたんだ。俺は強いからとそう自分で決めつけて納得していたんだ。だから本当にごめん。」
動こうとしない穂香の頭を撫でながら謝る。これで半分は終わった。次に向かうのは紬の所だ。歩いていくのは少し時間がかかるから魔法を使って移動する。時間、空間の魔法を使って紬の隣に現れる。穂香は突然自分の元から消えて紬のところに現れて驚いていた。紬は驚いていたようだけど俺が蘇ったことに驚いているようで移動のことはそんなに驚いていなかった。まあ、俺が隣に現れるまで口を大きく開けていたけど。とりあえず穂香のように紬の頭を撫でる。突然のことでビクッとなったけどそのまま受け入れてくれた。
「紬もごめんな。俺が慢心なんかしなければこんな事にはならなかった。だけど死のうとするのはやめてくれ。悲しむことをしないでくれ。紬、一度死んで迷惑かけてこんな事を言うのもあれだけど言わせてくれ。
俺は死なない。お前を、お前らを守ると決めたあの時から。それが俺の全てなんだ。何も残ってない俺の唯一のものなんだ。」
紬はその場で泣き出した。俺に抱きつくことはせずに地面に座り込んで。体は震えていた。死ぬのは誰だって怖い。ましてや年端も行かぬ少女が望んでできるものじゃない。
だから俺は創る。こいつらをこんなにしたアイツを倒すために。素材はここにあるのだから。
「…後悔させてやるよ、フェイ。俺に喧嘩を売ってきた事を後悔させてやるっ!」
「後悔させてみろよ、ブラック!俺はお前を絶対に殺してやるよ!」
黒斗は突然左手で右目を、右手で左目をえぐり出し、そのまま両方の腕を根元から見えない斬撃で切り落とした。
「我が身を喰らい、創造しろ」
そう黒斗が言うと落ちた腕が突然黒斗に張り付き薄く伸びていって、そのまま黒斗を覆った。中から何かを砕く音や食べる音が気こえてくる。
「俺にそんな隙を見せていいのかよ、ブラック。俺からはどうぞ狙ってくださいとしか思えないなっ!」
フェイは黒斗に向かって持っていた鎌を振りおろした。これで殺せる!と思っているのかフェイは笑みを浮かべていた。
だけどそれは叶わなかった。突然黒斗を覆っていた薄く伸びる皮から腕が飛びたしてきて手で鎌を止めた。驚くフェイだったがすぐさま離れようと鎌を戻そうとするが掴まれた鎌は微動だにしなかった。
「残念だったな、フェイ。お前は俺が腕を切り落とす前に止めるべきだったんだよ。はっきり言おう。お前では俺を殺せない。」
中から聞こえてくるその声は黒斗のものではなかった。全く別の他人の声だった。
そしてついに覆っていた全ての皮がその誰かから剥がれ落ちた。
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それでは