第29話 ボクと勇者神と魔王神
あのギルドカードの見せ合いから、5日ほどが経った。
もちろん、ボクの事やルナたちの事を全てでは無いにしろ、ボクが勇者だったって事や、オーディーナやルナたちの事だけは話した。
「…………ねぇ…………黒斗…………?ここの…………人たちって…………優しいんだね…………。」
「そうだね、ルシファー。ここの人たちはとっても優しいよね?
あとね、ルシファー?」
ボクは一旦言葉を切る。
「…………なに…………?」
そんな事を言っているルシファーにボクは
「何度も言うけど、ボクは今、黒斗って言う名前じゃないんだよ?ボクはシルバーって言う名前なんだよ、今は。分かってる?」
ボクが言うと、ルシファーは
「…………分かってるよ………黒斗…………そんな事は…………。」
「分かってないよ~!ボクは黒斗じゃなくてシルバー!良い!?」
何だか泣きたくなってきたよ……。この会話、何回目なんだろう?10回ぐらいはしたと思うよ………。
「…………泣きたければ…………私の胸で…………泣けばいいよ…………シルバーちゃん…………。」
何でボクが考えてることが分かるんだろう?真剣にアイツ等と話し合いたい気分だよ………。
「ルシファー。お願いだから、ボクの心の中を読まないでよ………。」
ボクは真面目な顔をして、ルシファーに言った。すると
「…………嫌っ…………!」
と物凄い否定が返ってきたよ。すると、扉が開き、一人の白色の髪をした美女が入ってきた。
「何をやっていますの?ルシファーさん、シルバー様?」
「いやールシファーがボクの事を黒斗って呼んだり、心の中を読んでくるんだよ。」
とボクが言うと、白色の髪をした美女、ソフィアは
「ダメですわよ、ルシファーさん。シルバー様の事を黒斗様って呼んでは。」
もっと言ってやってくれ、ソフィア!
「…………分かった…………ソフィア…………。」
「分かってくれて、嬉しいですわ。これからは気を付けましょうね♪」
やっとボクの事を黒斗って呼ぶように無くなるかもしれないな。
「って、心の中を読むことにはなにも言わないの!?」
ボクが言うと、ソフィアは
「何を言っておりますの、シルバー様!!シルバー様の心の中を読むことはとっても大事な事ではないですか!!」
「何で!?」
「それは言わないのですの。ねぇ、ソフィアさん?」
「…………そう…………」
「何なの本当に!?」
とボクとソフィアたちが話し合っている時
「皆さま、もうすぐ我々の国、ベルセルク帝国に着きます。」
とフィユノの声が聞こえてきた。
「やっと着いたんだね?楽しみだよ、ボク。」
「そうですわね。」
「…………うん…………。」