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第24話 俺と悲しき神

「地獄のさらに奥深くにいる、最強にして最凶の存在。かつて神々に敗れ、その身を封印されているその神。その力は等しく死を振り撒く。それが自らの意思を曲げてまでも。総てに嫌われた、悲しき神の名は、」


そこで一旦黒斗は言葉を切った。周りの敵は何を言ってるんだ?と疑問に思いながらも、黒斗に向かっていく。

そして黒斗は


「その名は、タルタロス…………」


その瞬間


「あんなに嫌っていたのに、どうして喚んだのかな、(あるじ)よ。」


そこには一人の少女が居た。その少女の容姿は分からない。何故分からないのかと言うと、少女の長い黒髪によって覆い隠されているからだ。

その少女は黒斗に向かって


「質問に答えてくれるかな?主がだんまりしてるんじゃ、話が進まないじゃないか。」


「ああ。確かに俺はお前のことは好きじゃない。

だけど、お前の事をいつまでも嫌っていては前に進めない。

だから今この場にお前を喚んだ。タルタロス。」


黒斗の答えを聞いた、その少女、否、タルタロスは


「ふふ、ふははは!!やっぱり主は面白いよ。前に進むために僕を受け入れるなんて。だから僕は主が好きなんだよ。

フハハハハハハハ──────っ!?」


(わら)いながらに黒斗に向かって言う、タルタロス。だけどその嗤いも途中で終わってしまった。


「そんな悲しい顔をするな。もうタルタロスに役目を押し付ける者はいない。だからタルタロス。君は自由なんだ。さっきは嘘をついたけど、ここに君を喚んだ理由は、君に自由を与えるためなんだよ、タルタロス。

だからタルタロス。君と俺との契約を俺は廃棄する!!」


タルタロスの嗤いを止めたのはタルタロスを抱き締めた黒斗だった。

黒斗は自分とタルタロスとの契約を廃棄した。そして同時に黒斗はタルタロスを縛っていた鎖を壊した。その瞬間、タルタロスは世界から解き放たれた。


「これでタルタロス。君は自由だよ。もう少し早くやりたかったけど、魔力が無かったから今日までかかってしまったよ。

さぁ、君は何者にも縛ることは出来ないよ。」


「あ……主。ぼ……僕………僕は……自由……なの…………?もうあんなことをしなくていいの……………?」


「これからは君の信じる道を進むと良いよ、タルタロス。」


それからしばらく、黒斗は泣いているタルタロスを抱き締めた続けた。

魔人たちを殲滅しながら。

一応、黒斗はあの魔人だけを残しながら。ちなみにフィユノは黒斗から少し離れたところで、自分の世界に入っている。そして、「私の騎士様……………えへへ…………」と言っている。これだけを聞くと唯の危ない人だ。


「結構片付いたな。あんだけ居たのに、もう十人も居ないなんてな。

だけど、あの攻撃を受ければ当然か。寧ろ誉めるべきか。これだけ生き残れたんだと。」


「……………っく!!……………やはり我々だけでは勝てないか……………。だが、全ては魔王様のため。この四天王の一人モラージュ。ここで死んだとしても敵の手の内を少しでも暴いて魔王様にお知らせしなければ………!!」


黒斗はこの時、「コイツ四天王の一人なの!?そう言うのって、もっとあとで出ない!?これ絶対おかしいよ!!魔王の時もそうだよ!!ラスボスが最初の村らへんに来るって頭イカれてるよ!!」と考えていた。


「もうめんどくさいので、即効で決めさせてもらいます。…………………『──────』!!」


その瞬間、魔人たちはこの世から消え去った。欠片も残らずに、綺麗サッパリと。


ちなみにフィユノは未だに自分の世界にいるため気が付かなかったし、タルタロスは黒斗に抱き締められているため、何があったのかよく見ていなかった。


黒斗はフィユノに向かって


「いい加減、正気に戻れっ。」


と言ってフィユノの目の前で猫だましをした。

するとフィユノは


「にょわぁ!!び、ビックした。」


そしてタルタロスには、抱き締めていた腕を解いた。

するとタルタロスは


「………………」


と悲しそうな目で見てきた。

ポンポンと頭を軽く叩いた。するとタルタロスは顔が赤くなり、俯いてしまった。

黒斗は何だろうと思いながらも何もしなかった。あとが怖くなりそうだったから。


「あっ!もうすぐ解けちゃうな。タルタロス。お願いがあるんだが、俺がルナたちの所に送ったあとに、フィユノの事宜しく頼むわ。それが終わったら、あとは好きに生きてくれ。」


そう言って黒斗は、フィユノとタルタロスから少し離れ、二人を転移させた。


「あ~あ。時間が来ちゃったか。あとは任せたよ。もう一人の俺。」


そう言って黒斗は気を失った。





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