第21話 ボクと王様たち
「それで、あなた方の名前を聞かせてくれませんか?」
とボクが三人に話しかけた。
「……………………………」
だけど、返ってきたのは、無言だけだった。それでもボクは諦めずに三人に話しかけた。
「それじゃあ、話を変えましょうか。?」
とボクが言うと、三人の内の一人、ダンディーな男性が
「……………………ベルセルク帝国にだ」
と少々、間があったが、答えてくれた。
ボクは
「そうですか。実はボクたちもベルセルク帝国に行こうと思っていまして。それで向かっている最中なのですよ」
ボクの計画を悟った、オーディーナとルナは、目の前の三人にバレないように肩を竦めていた。
それに気づかずに、男性は
「そうなのか、それはすまなかった。それとありがとう。私たちを助けてくれて…………」
「いえいえ。当然の事をしただけです。それでは」
そう言って、ボクたち三人に背を向けて自分の馬車に戻ろうとした。
すると、後ろの三人は慌てたように、ボクたちに話しかけてきた。
ちなみに話しかけてきたのは、ダンディーな男性だ。
「すまないが、私たちも君たちの馬車に乗せてくれないか?」
ボクはその言葉を聞いて、密かに笑った。そして隠したまま
「嫌ですね、ボクは単なる護衛にすぎませんよ?どうしてボクに聞くんですか?」
そう言って、ボクはオーディーナとルナを三人の前に出す。
男性は
「この子に言ったように、私たちを乗せてくれないかな?」
それを聞いたオーディーナとルナは三人に向かって言った。
ちなみにルナが言っている。
「そうですか。でもすいませんが、乗せることは出来ないですね……………」
断られると思っていなかったのか、三人は固まってしまった。
早く硬直状態から復帰した、ダンディーな男性は
「……………どうしてダメなのかね?ワケを聞かせてくれないかな?」
「それはですね、あなた方の名前も知らない、どんな人物かも知らないのに乗せる訳無いじゃないですか。そう思わないですか?あなた方も」
「────────っ!?」
「それとも、あなた方の名前などを教えてくれるのですか?」
「………………………………………」
ルナが言った言葉に三人は黙るだけだった。
それから五分ぐらい経った。そしてその沈黙を男性が破った。
「……………分かった。私の名前は、ヘルソーム・アルソード・ベルセルクと言う。そして、私の隣に居るのが妻の「ソフィーア・アルソード・ベルセルクと申します」で、その妻の隣に居るの「お父様!!このような平民にお願いなど!!お父様は王様なのですよ!!命令してしまえばいいじゃないですか!!それと、お母様も何故こんな平民に頭を下げるのですか!?私は絶対に名前を言いませんよ!!」しかしだな。私たちだけでは、ここを抜けられないのだよ。「それでも、私はイヤです!!」しかし」
「分かりました。それではさようなら」
そう言ってボクたちは馬車に乗る。乗ったあと、ボクは親切に
「ここら辺は魔獣がたくさん出てくるので、気を付けてくださいね?」
と教えてあげた。すると、こちらに魔獣の群れが来ているのを、サーチの魔法により分かった。
「ちなみにですけど、今ここに魔獣の群れが来ていますよ?数は40ぐらいですかね。頑張って下さい」
そう言って、ユニコーンに走り出すように言おうとしたが、止められて出来なかった。
「娘がすまないことを言ってしまったが、許してくれ!!私たちはどうしても、ベルセルク帝国に行かなければ行けないんだ!!」
止めたのは、ヘルソームさんだった。
ヘルソームさんは、ボクたちの馬車の出入り口に経って頭を下げながら言ってきた。
後ろで騒いでいるやつを無視して、ボクはルナたちにアイコンタクトをした。
『もういいかな?聞けることは聞いたし。それにあの娘無理してるしね。まったく。』
『そうね、この二人は大丈夫ね。黒斗の言う通りね。』
『私もそう思う。』
ヘルソームさんにボクは
「いいですよ。だから、頭を上げてください、ヘルソームさん。
馬車に乗ってください」
そう言ったら、ヘルソームさんとソフィーアさんに感謝された。
そして、馬車に乗った。ボクは
「君はここに居ていいよ。だって、ボクたちみたいな平民と一緒に居たくないと思うからね。だから、次にこの場所に来る貴族の人たちに乗せてもらってね?」
ボクは
「ちなみに、この馬車に乗れる人数なんだけど、六人なんだ。だから誰か一人が乗れないんだよ。だから、頑張ってね?……………………二人は安全な所にやっとくからね。」
「────────っ!?」
まだ、呆然としている名前を知らない女に言い放った。
そして、ユニコーンに向かって走るように指示をした。
そしてその少女一人だけが草原に立っていた。