第16話 女体化
「う、う~ん」
あれ~?誰か居るのか?何で女性の声がするのかな~?
気のせいだろ、うん!!
「んーー、よく寝た!!」
俺はそう言ってベットから出た。
「今何時なんだ?と言うかどうして俺はベットに寝ていたんだ?」
と俺の質問に答えてくれる人がいた。
「元気、黒斗?元気だよね。
それと何でベットで寝てるかは、黒斗が魔王との戦いで気絶したのを、あの二人が助けたから。
それにしても、黒斗可愛いわよね。女の私から嫉妬するぐらいに。」
「そう言えばそうだったな。あの二人には後で感謝しないとな。
と言うか可愛いって何だ?俺は男だぞ?女じゃあるまいし。」
本当に何言ってるんだよ、ルナは。男の俺が可愛いって。あり得ないだろうが!
俺の質問に答えてくれたのは、そうルナだった。
ルナたちは俺たちが旅に出たときに見てみたいところがあるから、とそれぞれが言ってどっかに行っていた。
全く何処に行ってたんだか。
とそれはさておき、とりあえず俺が気絶した後の話を聞くかな。
「なあ、ルナ。あの後どうなったんだ?………それと俺が可愛いなんてあり得ないだろうが!!」
聞いてみたのだが、俺がついついキレてしまった。
仕方無いことだと思う。だって何度も何度もルナが俺に向かって「可愛いよ、黒斗!」と繰り返し繰り返し俺を抱き締めて耳元で言ってくるんだ。
だから、キレても仕方無いだろ?
「もう!!黒斗は今の自分の姿を見た方が良いわよ。ほら!姿を照らす水、鏡!!」
そう言ってルナは鏡を魔法で造って俺の前に出してきた。取り合えず鏡の前に立ってみた。
そして鏡は俺を映した。そう俺を………
…………………………………………………誰?この鏡に映ってる女性は誰?
その女性はとても美しかった。腰まで届きそうな長さの黒髪にタレ目。顔はかなり整っていて、10人中10人が振り返ると断言できる程の容姿をしていた。
俺を映すはずの鏡は俺を映していなかった。
俺が鏡に向かって手を振ると、鏡に映る女性も手を振ってくる。俺が鏡に向かって自分の頬をつねると、鏡に映る女性も自分の頬をつねる。
「なぁ、ルナ。この女性は誰だ?」
「これが今の黒斗よ。凄い可愛いでしょう?」
「嘘だろ?さっさと本当の鏡を出してくれよ、ルナ。」
「黒斗………。嘘かもしれないけどそれが今の姿なのよ。」
「これが本当に俺なのか?」
俺はそう言いながら鏡の自分(?)に指を指しながらルナに確認した。
「そうよ、黒斗。さっさと現実を認めなさい」
「どうして俺は女性になっているんだ!?」
と俺が絶叫して言うとルナがどうしてなのかを説明してくれた。
「黒斗、結構前に言ったわよね?魔力は男性より女性の方が多く持てるって。ここまではいい?」
「あ、ああ」
「黒斗は魔王との戦いで魔力を全部使い果たしちゃったの。それでそれを回復させるために魔力の総量が多くてなおかつ、魔力の回復量も高い女性の体になったのよ。分かった、黒斗?」
「と、取り合えず、分かった。分かりたくもないけど分かった。それで俺はどのぐらいに戻るんだ?」
と俺が言うとルナは申し訳なさそうに
「あー。それは、ね。何て言うか。私たちをこの世界に留めておくための魔力と黒斗の回復魔力とが同じなのよ。だからこのままかな~~?」
俺はそれを聞いた瞬間、
「嘘だーーーー!!!!」
と悲鳴みたいな絶叫を挙げた。