第12話 俺と心を詠む二人
俺は今次の街に向かって歩いている。と言っても歩きのスピードはたかが知れてるから、何処かの村に泊まる予定だ。それに俺と言っても俺の他に二人いるが。
最初は俺一人で旅に出る予定がこの二人に見つかり一緒に旅に出ることになった。
ちなみに次に向かう街は『城塞都市ミトール』と言う街だ。それにしても城塞都市って………………………
「ミトールは、昔から戦争が起こりやすい場所だからな。それで自分たちの身を守るために街を城塞化したんだ、分かったから、黒斗?」
「フィルナ、説明はありがとう。しかしどうして何も言っていないのに説明してほしいと分かったんだ!?確かに思ってたよ!!どうして城塞都市って言うんだろうって。
もしかして心を読んだのか!?」
と俺がフィルナに対して恐怖を抱いているとフィルナが
「それは私と黒斗が繋がっているからだよ?だから黒斗が考えていることが分かるの!!」
と言うかキャラ変わってますよ、フィルナ。
そしてコイツもか。実は穂香や紬も俺の心を読むことができる。読まれると俺が大変なんだが。だっていろいろなことが出来ないじゃないか!!裏でコソコソ動くことが!!
「黒斗が裏でコソコソ動く必要無いよ?だって黒斗に危害を加えるゴミは私たちが殺るから。ねぇ、ウールちゃん?」
「そうですわよね!!だからコクト様はなんの心配もいりませんわ!!」
とフィルナとウールが言ってきた。
「二人ともお願いだから俺の心の中を読まないで!!」
と俺は悲嘆の声をあげながらお願いをしてみた。二人の反応は
「ダメです、黒斗」
「そうです。ダメですよ、コクト様」
それでもダメならば
「………………………一度だけお願いを聞くから」
と俺が小声でそういった瞬間
「人の心を読むことはいけないよね!!ねぇ、ウールちゃん」
「そうですよね!!人の心を読むことはいけないことですよね、フィルナさん!!」
とものすごい速さで反応して即答してきた。
そしてそれを聞けたので俺は上機嫌で歩き出した。
そのあとに待っているであろう地獄の事を知らずに。
フィルナside
「……………どんなお願いします、ウールちゃん?」
と私はウールちゃんに問いかけた。するとウールちゃんは
「……………やっぱり、子種?」
私はその言葉を聞いて噴いてしまった。それも盛大に。そんな私に黒斗は
「フィルナ、大丈夫か?」
と聞かれたので慌てて、私は
「だ、大丈夫よ」
「そうか、ならいいんだ」
それを言い終わると黒斗は前を向いて歩き出した。
それを確認した私はウールちゃんに向かって
「…………………何を言ってるのよ!!」
と小声で怒った。するとウールちゃんは
「???」
自覚ないらしい。
「とにかく私たちで黒斗を落とすわよ、いい?」
「分かりましたわ」
とウールちゃんは言った。
待っていなさいよね、黒斗!!絶対私たちの事を好きになってもらうからね!!
黒斗side
「!?」
何だか今背中に寒気が走ったような?
とりあえずそんなこと(?)は置いといて、俺は
「アイツ元気かな?元気にやってるといいんだけどな。それに───と────も」
と俺は今何をやっているか分からない、大切な人たちの名前を空に呟いた。
空はとても青かった。何処までも澄んでいて。




