第11話 王国逃亡
俺がギルドに行って依頼を受けて帰ってきた日から4日経った。今の時間は真夜中。そして俺はこのサイマ王国を出ようとして居る。
もともと出ていくのを決めていたが、早めに出ていくことにした。
そして今俺はこの城の自分の部屋から出ようとして居る。
「何処行く気だ、黒斗?」
後ろから雷火に声をかけられた。その雷火の質問に俺は正直に答える。
「見た通り逃げようとしているだけだが、雷火。お前こそこんな時間にどうしたんだ?」
「どうせ、お前が逃げ出そうとするのが分かっていたから張ってたんだよ。」
「ご苦労なこった。」
「まぁ、本当はお前がフィルナさんと話しているのを聞いていたんだけどな。」
こいつ本当にスゴいな!?あの戦闘の中で俺の魔法をものともしないなんてな!!あの魔法を破って話とかを聞くには少なくてもそのとき俺が込めた魔力を上回らなくちゃないないんだがな‥‥‥‥‥。本当にこいつはスゴいよ。
と俺が雷火の事を化け物だなと自分の事を棚に上げて考えていると雷火が
「本当に出ていくんだな?」
「ああ。だから俺が出ていっても良いように任せられる奴を見つけて置いていくんだからな。
それに俺には勇者なんて似合わないよ。」
「そうか、分かった。でもアイツ等に何か言っておけよ?俺は嫌だからな。」
「その事なら大丈夫だ。置き手紙を置いておいたからな。
それじゃあなっ」
俺はそれだけ言い自分の部屋の窓から飛び降りた。飛び降りて俺が居なくなるまで雷火の視線を感じた。
雷火side
アイツは俺に向かって言って窓から飛び降りた。
アイツ絶対に分かっていないな。明日は大変だろうなと思いながら俺は自分の部屋へと戻って寝た。
「起きなさい!!雷火!!」
その声で俺は目を覚ました。俺を起こした人物は穂香だった。いつも整っている髪は何故だかボサボサだった。だから俺はとりあえず穂香に
「髪ボサボサだけど良いのか?黒斗に見られる前に直した方がいいぞ。それとまだ俺眠いから‥‥‥‥‥‥」
俺はそう言って眠ろうとした。だけど出来なかった。
「寝るな!!あんた、黒斗が何処に居るか知ってる!!居ないのよ!?心当たりない‥‥‥‥‥‥‥?」
その言葉で昨日の事を思いだし、俺は穂香に言おうとした。
「それな「雷火さん!!兄さん知れませんか!?‥‥‥‥‥それと私の部屋にこんな手紙が置いてあったんですけど?なにか知っていますか!!」とにかく落ち着いて、二人とも。いま「「落ち着いていられますか!!」」ちゃんと説明するから。」
そう言って俺は一度言葉を切った。そしてここには居ない黒斗に向かって思いっきり恨んだ。結局俺が説明する羽目になってしまったから。これぐらい許してくれるだろう?神様も。俺は説明しようと口を開いた。
「黒斗はこの城から昨日の深夜出ていったよ。」
その言葉を言った瞬間に俺の周りの空気が死んだ。比喩ではなく本当に。さらに追い討ちをかけるように
「誰か、フィルナ様を知りませんか?朝の稽古の時間になっても出て来なかったので部屋に行ってみたのですが、そこには誰も居なくて、机の上に置き手紙が置いてありまして、その手紙曰く『旅に出ます。探さないで下さい。』と書いてありまして誰か行きそうなところを知っていま‥‥‥‥‥‥‥す‥‥‥‥‥‥か?」
その兵士がそれを言った瞬間に二人の背後から黒いモノが見えた。心配になって紬ちゃんの目を覗いて見た。
「ひっ!!!」
その目はとてもとても病んでいる目でした。怖かったです。穂香はどうなのか見てみると此方も同じでした。
イヤー女の嫉妬って怖いですね。
と現実逃避してみたのですがダメでした。だって二人が壊れたように
「何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で兄さんは私の前から居なくなるの‥‥‥‥‥‥‥‥?」
「黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗黒斗。私を守ってくれるんじゃないの!?置いていかないでよ!!」
と物凄いことになっていました。このままだとずっとこのままじゃないか?それはなんてしても避けたい!!どうすれば!!
そんなとき二人の声がピタリと止まった。なんだろうと思っていると
「黒斗‥‥‥?黒斗なの!?今何処に居るの!!‥‥‥‥‥‥えっ、言えない‥‥‥‥‥‥?どうして!!‥‥‥‥‥‥えっ私たちのために?‥‥‥‥‥うん‥‥‥‥うん‥‥‥‥‥分かった。‥‥‥‥‥‥‥‥それまで頑張るからね♪」
「‥‥‥‥兄さん‥‥‥?‥‥‥‥‥本当ですか!?‥‥‥わかりました!!‥‥‥‥それでは♪」
多分黒斗から何か来たんだろ。それにしても言葉はあんなに嬉しそうなのに、何故あんなに目がヤバイのでしょうか‥‥‥‥?とにかく帰って来てくれ、黒斗おおおおおあ!!!!!
黒斗side
何故だろう?今寒気が?誰かが危ないと事を考えているのか?
まぁとりあえず、アイツ等に電話をしたから大丈夫だろ。うん!!
そう思いながら俺とウールとフィルナでサイマ王国を出ていった。