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シャンプー&コンディショナー

作者: 海恵

旧タイトル(うるおいとスッキリ)から新タイトルに変えてみました。あんまり変わらないですか?

「アンタ最近、あたしによくまちがえられるでしょ!」


「え? それは貴女あなたの方じゃなの?」


「なに言ってるのよ! あたしがメイワクしてるって言ってんの!」


「それはね、間違えられる事が問題じゃなくて『なぜ間違えられるか』を考えない貴女が問題なのよ。分かる?」


「なによその言い方、上から目線で。いつもアンタそうやって自分がエライみたいな態度とってさ! あたしの事いつもバカにして!」


「馬鹿になんてしてませんよ」


「バカニナンテシテマセンって……、その言い方と口調が、バカにしてるってぇのよ!」


「まあまあ、そうかっかしないでさ。間違えられる事も含めて、貴女の事はいつも心配しているんだから。知らないでしょ私の優しさ」


「ハア? ハア? ナンデスカソレ? アンタに心配されるオボエはこれっぽっちも無いんですけど。自分で優しいとか言ってんなら、あたしに間違えられなくなるように努力するのがスジなんじゃないの! それになにが心配だって言うのよ? ……ハハアァン。アンタあたしと順番をかえて欲しいって思っているんじゃない? そうよね、アンタいつもあたしの後から出て来るからさぁ、なんか自分の役割ってのがぁ、独り立ちしていないって言うぅ、負い目?うん、うん、でもまあ分かるわよ。アンタがあたしをどんな目でいつも見ているかって事ぐらいは」


「へえ、どんな目で?」


「簡単に言えば……そう、シット? でも無理なのよ、これはシュクメイみたいなもんだからさ。あたしの後ろ盾でアンタがいられるワケなのよ。まあそれがアンタは不満に思って来たって訳でしょ。それで……これからはお互いの関係を同等にしたいって思いだした。ナンダカンダ言って上に立ちたいんでしょ。それを心配してるってキヅカウふりをして。まあアンタらしい奥ゆかしき野心って訳ね! はっきり言っちゃえばいいじゃない、あたしみたいになりたいですって。ハハハハハハハハハハハハハアアァ」


「あのぉ、貴女って本当にオメデタイのかもしれないわね。……ごめんなさいね、なんだか変に勘違いさせちゃって。もっとちゃんと言ってあげるべきよね。心配しているって言ったのは『あのかた』に毎日使い続けて貰ってるけど、私達はそんなに先が無いのよ。流行りすたりだとか、気分転換だとかで、いつでも首を切られる恐れがある事に貴女は多分気付いていないでしょ。そんな貴女を心配しているのよ。貴女と私を間違える事で一番迷惑しているのは、あの方なのよ。もし面倒臭いから二人とも要らないなんて思われたら、それこそ御終いなんだから。そこで、貴女。あの方をどれだけスッキリさせられる?」


「やっぱり来た。そおらホンネを言って来た。結局批判をしているけど、アンタあたしの実力みくびってない? アンタはあたしのオマケなのよ。それ分かってて言ってる? 先が無いのは、アンタだけよ。おなじメーカー、おなじブランド、セット販売のウチラの主役はシャンプーのあたしよ! 要は詰め替え時期がジャストに合わない不満を言ってるんでしょ。先に自分から使ってもらえば、容量の減って行くスピードもあたし並みに……、いやそれ以上の早さで減るんだって、そう思っているんでしょ!」


「貴女の言葉を借りて言えば、順番だとか野心だとかって、まったく関心が無いんですけど。で、ポンプ式の詰め替えボトルから減る量? 物凄く勘違いも甚だしいんだけど、残念ながら全く違うのよ」


「ハア? なにが違うって言うのよ」


「じゃあ、貴女今まで自分のボトルに何回詰め替えて貰った?」


「ええと……、八回ぐらいかなぁ」


「私は七回よ」


「ほら、ほら、言ったこっちゃない。自分の回数が少ないから不満なんだ!」


「まあまあ、この先を聞きなさいよ。貴女が私より詰め替え回数が多い事って良い事?」


「いいじゃないのさ! それだけあたしの方に需要があるってことでしょ!」


「あのねぇ、詰め替え回数が多いって事は、スッキリさが足りないから何度も使って量が減るんでしょ。ところで。今、最新のメーカーからどんな商品が出ていると思う?」


「エ? あたし達がサイシンなんじゃない?」


「ハア……」ガックリ。「あのね……」


「なに? なによ? あたし達がサイシンじゃないって言いたいの?」


「いま! コンディショナーが不要なシャンプーまでもが存在します!」


「あんたお払い箱じゃない、ハハハハハハハハハハ」


「馬鹿? 貴女。それが何を意味する事か分からないの?」


「……。」


「しょうがないから言いますよ。コンディショナーが要らない程の洗浄力と保湿効果を持つシャンプーが存在するって事は、洗浄力オンリーの貴女も要らないって事なんですよ! 分かります? 貴女も私も、もう要らないって事なんですよ!」


「アアアアアアアア、そうなの!? そんな、そんな…… ☆#%◎※…」


「ああ壊れてる。そうなのよ、分かった?」


「ハイ、すいません。分かりましたオネエサマ」


「いや、別に私が上に立ちたいから言ってた訳じゃ無いって事が分かって貰えばいいのよ、それだけなのよ」


「で、これからあたし達はどうすれば良いのでしょうか?」


「ううん……、日々是精進って事で、がんばりましょうよ!」


「でも、あたしは急にスッキリさを高めたり出来ませんよ。それで、ショウジンって言われても、不安になっちゃうんですけど……」


 ―あの方がお風呂に入って来られた。


「あ! あのお方が入らしたわ!」


「イラシタワ!」


「ああ、身体を洗っていらっしゃるのね」


「で、さっきの話がトチュウなんですけど……」


「そうそう、答えは簡単な話なのよ。つまりは私達のタチ位置が決まっていればいいんじゃない? 例えば貴女が右に、私が左にいつもいれば、習慣になって、間違わないようになる。そうすれば無駄に使う事も減って……」


 ―あの方が身体を洗い終えたようだ。しかし、手にした洗髪ボトルが……。


「あら、私を手に取られたわ!」


「エ! エ? なんで? 間違えてるじゃない! シャンプーはあたしですけど! 間違ってますよ!」


 ―あの方は、目にお湯が入ったのか、目を閉じたままだ。


「あああ、アンタ……………。やっぱりあたしにまちがわれたじゃない」


二作品目の投稿ですが、今回はセリフのやり取りで話を進めてみました。感想が聞けたら嬉しいです。

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