表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母の日のプレゼント代が国家予算なんだが、僕には母親が50人いる  作者: 狐白


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/15

第6話

「みんな、落ち着いて! まだ結界がある!」


「これは百年前、あの伝説級魔法使いの配下が張った結界だ! 禁呪だって防げる!」


「神焔巨竜だろうと関係ない……少しでも持ちこたえれば、帝国の聖女が助けに来てくれる!」


「うわああああ! なんであいつ、鍵を持ってるの!??」


 次の瞬間だった。


 何の抵抗もなく、巨竜は指先で軽く一点を突いたかと思うと、

 ――その一瞬後には、すでに結界の内側に立っていた。


 人間に恐怖を味わう猶予すら与えない。


 巨体が、轟音とともに地面へと叩きつけられる。


 凄まじい衝撃波が発生し、津波のような砂煙が巻き上がり、瞬く間にサンクルス全域を飲み込んだ。


「くそ……なんて奴だ……」


「見えない! 竜はどこに行った!?」


 ◇


 ミラコ魔法学院。


 寮の建物から校庭へ向かって、ひとつの小さな影が全力で駆けていた。


 年の頃は七、八歳ほどの少女。


 小柄な体に、燃えるような赤い長髪。

 走るたびに髪が舞い、顔には隠しようのない焦りが浮かんでいる。


「もう……だから今日は嫌な予感がしたのよ……」


 彼女は大きく息を吸い、さらに速度を上げた。


「ボクちゃん! どこなの!? ママが来たわよ! いじめられてない!? 大丈夫!?」


 叫びながら、きょろきょろと周囲を見回す。


 やがて――人混みの中で必死に身を隠している、小さな影を見つけた。


「ボクちゃん~~♡ こんなところに隠れてたのね~~♡」


 ……終わった。


 抗えない怪力で人混みから引きずり出され、


 次の瞬間――


 鋼鉄のように硬い二本の腕が、僕をぎゅうううっと抱きしめた。


 骨が悲鳴を上げる音が、確かに聞こえた気がする。


「マ、ママ……やめて……魂が……押し出される……」


「ボクちゃん、誰かにいじめられたの!? じゃなきゃ、どうして今日は早く下校なの?」


「ち、違う……から……は、離して……」


 芋虫みたいにもぞもぞと必死に暴れ、

 粉砕骨折する寸前で、ようやくママの腕から脱出した。


 巨竜ママは、いつも自分の力加減を把握できていない。

 一応、かなり抑えてくれているらしいけど、六歳児には致命的だ。


 でも、今は休んでいる場合じゃない。


 僕は巨竜ママの手を引き、人目につかない場所へと急いだ。


「ママ、今日はどうして迎えに来たの?」


「午後にちょうど家に戻っててね、学校から電話があったの。寮で事故があったって聞いて、すぐに駆けつけたのよ……シャアちゃん、ほら、ママに見せて。どこか怪我してない? ……えっ、腕が折れてる!? 誰がこんなことを!?」


 その瞬間――


 恐るべき竜威が、サンクルスの街に降り注いだ。


 圧倒的な上位存在の威圧。

 街中の魔法使いたちは一斉に動けなくなり、まるで巨大な山を頭上に乗せられたかのように、その場に膝をつく。


「……大丈夫。さっき、ちょっと転んだだけ。もう治った」


 僕は慣れた手つきで折れた腕を元に戻し、クラーケンの自己再生能力を発動させる。


 みるみるうちに、腕は元通りになった。


 それと同時に、周囲を覆っていた竜の威圧も消えていく。


「シャアちゃん、ママと一緒にいるところ、見られたくないみたいね……」


 赤髪の少女は、しょんぼりと俯いた。


「いつもそう。会うたびに、誰も見てないところに連れていく……ママ、嫌われてるの?」


「そんなわけない!」


 僕は絶望的なため息をつき、真剣にママの目を見た。


「ママ……お、お、おぼえてる? ま、前の学校のこと……あのときも、ママが迎えに来たよね……」


「もちろん覚えてるわ! ママが初めてシャアを迎えに行った日だもの! 一生忘れない大切な日よ!」


「……その次の日、パパがロリコン罪で逮捕されたんだ。」


「…………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ