表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金地獄で過労死した元闇カジノ狂い、異世界で確率を支配する最強になる  作者: RIN
幕間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/30

25話

エルは、

運ばれていった。


担架ごと、

紅晶固定具に縛られ。


声もなく。

抵抗もなく。


まるで――

最初から“そうなる運命”だったかのように。


【被験体E-07】

【国家管理区画へ移送】


表示が、

淡々と切り替わる。


リィナは、

動けなかった。


「……待って」


その声は、

誰にも届かない。


扉が閉まる。


完全遮断。


音すら、

残らない。


「……これで」


リィナの声が、

かすれる。


「エルは……」


言葉にできない。


できないから、

黙る。


沈黙だけが、

そこにあった。


「……次の卓だ」


俺が言った。


自分でも、

驚くほど平坦な声。


「国家が主導する」


「拒否権はない」


カイルが、

俺を見る。


「……お前、

 おかしくないか」


……そうか。


外から見れば、

そう見えるのか。


「おかしい?」


俺は、

首を傾げた。


「何が」


その瞬間。


【感情欠落:86%】


ああ。


また、

進んだ。


「……分かった」


カイルは、

それ以上言わなかった。


言っても、

無駄だと理解した顔。


リゼだけが、

静かに言う。


「削れてる」


「思ったより、

 早いわ」


「紅晶と深く繋がりすぎた」


俺は、

返事をしなかった。


返す意味を、

感じなかった。


その時。


床の紋章が、

光る。


赤。


嫌になるほど、

見慣れた色。


【卓の招集】

【強制参加】

【対象:紅晶適合者】


文字が、

順に並ぶ。


そして――

最後。


【賭けるもの:感情】


……なるほど。


そう来たか。


「感情が、

 チップ扱いね」


リゼが、

皮肉なく言う。


「失うほど、

 有利になる」


「勝てば、

 何かを取り戻せるかも」


リィナが、

俺を見る。


縋るように。


「……エルも?」


……分からない。


分からないから、

答えない。


答えない理由すら、

もうどうでもよかった。


【卓:開始まで30秒】


カイルが、

拳を握る。


「俺は――」


「来なくていい」


俺は、

即座に言った。


「今回は、

 俺だけでいい」


「……は?」


「感情がない方が、

 有利だから」


それが、

事実だった。


【感情欠落:89%】


数字が、

証明している。


俺は、

卓へ歩く。


迷いはない。


恐怖もない。


ただ。


胸の奥に、

“空白”が広がっていく。


その空白が、

俺を前に進ませる。


……皮肉な話だ。


エルを失って。


怒れなくなって。


悲しめなくなって。


――だからこそ、

勝てる。


【卓、展開】


赤い光に、

世界が塗り潰される。


その直前。


ほんの一瞬だけ。


エルの、

感情のない赤い目が――

脳裏に浮かんだ。


……次の卓。


確かに、

まだ続いている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ