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借金地獄で過労死した元闇カジノ狂い、異世界で確率を支配する最強になる  作者: RIN
幕間

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15/30

第15話

ギルドの空気が、

明らかに変わったのは昼過ぎだった。


普段は騒がしい受付前が、

不自然なほど静まる。


【異常来訪イベント発生】

【規模:国家級】


……来たな。


革靴の音。

揃った足並み。


入ってきたのは、

冒険者でも商人でもない。


紋章入りの外套。

背筋の伸びた動き。


王国使節団。


周囲の冒険者たちが、

一斉に息を呑む。


「ギルド長殿」


使節の男が、低く名乗る。


「王国直轄依頼を持ってきた」


【依頼難度:極】

【報酬:規格外】

【拒否可能性:ほぼなし】


ギルド長が、

俺たちを見る。


「……指名だ」


ざわめき。


俺か。

それとも――

俺たち、か。


「詳しい話は、

 個室で」


通された部屋には、

すでに二人、先客がいた。


同じ顔。

同じ銀髪。

だが、雰囲気は正反対。


片方は腕を組み、

冷たい視線。


もう片方は、

にこやかな笑み。


【個体識別】

【双子:確認】


「はじめまして」


笑っている方が、

軽く手を振る。


「私はエル。

 こっちは妹の――」


「リゼ」


遮るように、

冷たい声。


【好意:低】

【警戒度:高】


……なるほど。


「王国魔導庁所属、

 特別観測官です」


エルが言う。


「今回の国家依頼、

 あなたたちにも

 関わってもらうことになります」


リィナが、

わずかに身構えた。


【彼女たちの正体を察している確率:高】


「依頼内容は?」


俺が聞く。


エルは、

一枚の地図を広げた。


「未踏領域に出現した、

 因果異常地帯」


……因果。


嫌な単語だ。


「通常の冒険者では、

 近づくだけで事故が起きる」


リゼが淡々と言う。


「死亡、失踪、

 記録の欠落」


【成功率:算出不能】


「だから――

 あなた」


リゼの視線が、

俺を射抜く。


「“数字の外側”を動ける存在が、

 必要なの」


【核心に近づいた発言】

【彼女たちが転生者の存在を知っている可能性:高】


……読まれてるな。


カイルが、

小さく笑った。


「国家ってのは、

 隠す気ないんだな」


エルは肩をすくめる。


「隠すのは、

 “まだ早い真実”だけ」


「私たちは、

 観測役」


リゼが続ける。


「あなたたちが、

 “何者なのか”を」


空気が、

張りつめる。


だが――

俺は、息を吐いた。


「報酬は?」


エルは、

迷わず答える。


「金。

 地位。

 そして――」


一拍置いて。


「王国が把握している、

 “紅晶関連情報”」


リィナが、

はっきりと反応した。


【心拍数:上昇】

【動揺:抑制中】


……十分だ。


「受ける」


即答だった。


【この選択が物語を大きく動かす確率:100%】


エルが、

楽しそうに笑う。


「決まりね」


リゼは、

じっと俺を見る。


「忠告しておくわ」


「何だ?」


「この依頼、

 国家が管理できない賭けよ」


……最高だ。


俺は立ち上がる。


「なら、

 ちょうどいい」


確率も、

因果も、

国家ですら制御できない。


そんな卓の方が――

勝ち取りがいがある。


リィナが、

静かに頷く。


カイルは、

肩を鳴らした。


双子は、

同時に微笑む。


片方は好意的に。

片方は値踏みするように。


こうして、

俺たちの賭けは――

国家規模に跳ね上がった。

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