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第1話
俺の人生は、最初から詰んでいた。
消費者金融、カードローン、個人間融資。
気づけば借金は三百万円を超え、
返済日の通知だけが、毎日のようにスマホを震わせていた。
逃げるように足を踏み入れたのが、闇カジノだった。
勝てば一気に返せる。
負ければ、終わる。
そんな世界で、俺はなぜか生き残ってきた。
運が良かった?
いや、違う。
「今日は来る」「今日はやめとけ」
根拠はない。
でも、確率の“気配”だけは、なぜか分かった。
——もっと早く気づいていれば。
最後は、借金返済のための無茶な労働だった。
三日連続の夜勤、休憩なし、仮眠二十分。
視界が暗くなり、
耳鳴りがして、
膝から力が抜ける。
「ああ……これ、ヤバいやつだな」
そう思った瞬間、
俺の意識は完全に途切れた。
——次に目を開けた時。
そこは、見知らぬ天井だった。
木造の梁、石の壁、
鼻をつく薬草の匂い。
そして、頭の中に直接響く声。
《個体認識完了》
《スキル解析中》
《固有スキル【確率可視】を付与します》
……は?
混乱する俺の視界に、
半透明の文字が浮かび上がる。
【成功率:98%】
【死亡率:0.1%】
その瞬間、
俺は直感した。
——この世界、
闇カジノより甘い。




