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戦国太平記 〜大きな楠の木の下で〜  作者: 流星群
伊勢国統一編

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12/27

第12話 運命の出会い

◎伊勢国・楠城 楠木正顕

 1554年 12月中旬


 この時代に転生してきて9年を超え、10年目になる年をもう直ぐ迎える。


 ここ数年で一番大きな出来事といえば烏帽子親である、神戸の爺様こと神戸具盛殿が天文20年(1551年)に亡くなった事だ。神戸の家督は孫の利盛殿の代になっており、この事で楠木家への影響は限定的であり、両家の関係に大きな変化は起きていない。


 またこれまでに楠木を巻き込む様な目立った戦は起こっておらず、領内は米などの産物や量産体制を確立した清酒、石鹸、椎茸などの売上の資金を背景に、富国強兵の道を順調に進んでいた。領内の総石高は勿論のこと、道の整備や港の整備、各町の新たな区割りによる再開発事業、兵農分離、軍備拡充、楽市楽座、衛生管理事業、産業振興など急ピッチで推し進めた。


 最初は多少の抵抗もあったが、実績を示し信頼を勝ち得る事で抵抗は皆無となった。今ではお伊勢様の神子として領民にも認識されおり、年寄り連中には拝まれる始末だ。


 流石に「ありがたや〜、ありがたや〜」と手を合わせられるのには慣れないが、まぁ皆が安らかに暮らして行けるのなら、この程度の事は我慢はしてやろうと思う。


 俺としてはそれよりも重要な事がある。この歳で身長が140センチを超えたのだ。この時代の成人男性の平均身長が150センチにも満たない事からもその優秀さが分かると言うものである。その上、近頃は麗しさの度合いが天元突破して来ている事もあり、男女問わず熱の籠った視線を感じる。贅沢な悩みである事は重々承知ではあるが、個人的には少しでも凛々しさが出て来て欲しい所ではある。


 取り敢えず、そう言った近況はさておき、本日の俺は領内の視察の為に一益を連れて馬で移動中だ。最近では新設した[警ら隊]を各所に配置し、その彼らが領内を見回る事での治安の向上が顕著となって来ており、領民から感謝されている。そんな屈強な警ら隊に所属する若い男性隊員は、特に若い女子から人気らしい。因みに警ら隊の隊長は正輝が馬廻衆と兼務している。


 そう言った治安の向上が領民の安心安全を担保し、他の地域からの領民の流入を呼んでいる。という訳で、現在の基準石高は15万石、PPは13,500(純金鉱山まで約7年)、GDPは石高換算で62万石となっていた。豊穣の大地の恩恵は当然あるが、急激な伸び率だ。その為、伊勢国を制している訳でも無いのに常備兵は2万、警ら隊も合わせると2万5000に達している。そして鉄砲も2000丁を有し、一益が鉄砲隊の隊長と馬廻衆との兼務となっている。


 そして歴代最大人口が20万人を超えた事で、設置可能施設が増えた。人口増加の要因は大きく分けて3つあり、楠木領以外の他領からの流入が一番多く、次いで領民の経済的余裕と治安良化による妊娠の増加、そして購入奴隷によるものだ。


 因みに増えた施設は次の通りだ。


〓〓〓〓〓特殊施設リスト〓〓〓〓〓

 ⚪︎反射炉(近世):250,000P[近世の溶鉱炉、金属を溶かしたり、耐火煉瓦などを作れる]

 ⚪︎城(日本、大坂城):50,000[大坂城を基本に改良し、コンクリートを使用して作った城]

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 その他にも様々に発展して変化した事もあるのだが、今は目の前で起きている騒ぎに集中する事にしよう。目の前では警ら隊の隊員…というか、隊長の正輝と所謂いわゆる歌舞伎者かぶきものと言った格好の男が殴り合いの喧嘩となっていた。周りの者ははやし立て、中にはあおっている者さえいる。


(此処は喧嘩を止めねばなるまい。あぁ、思考の中での言葉使いも段々と戦国の者に近づいておるな…っと、それよりもさっさと止めるぞ!)


 喧嘩を止めようと前に出ようとすると肩を掴んで止められた。止めた相手を横目で見ると肩に鉄砲を担いだヤンチャそうな雰囲気の大学生位の年齢の男だった。


「止めておけ…こう言った喧嘩は、お互いに納得の行くまでやらせた方が良い。」


 改めて状況をつぶさに確認する。まず喧嘩をしている男、歌舞伎者は仲間と思われる物たちからは犬千代と呼ばれているようだ。そして先ほど俺のことを止めた横にいる鉄砲を肩に担で麻の服を着崩して着た美丈夫びじょうぶ


(ハァ…マジか…何でこんな所にノッブがいるんだよ…で、喧嘩をしてるのが犬千代こと前田利家で、横に居るのが織田信長、だったら何処かに万千代(丹羽長秀)もいるのか?…ったく、驚いて折角それらしくなって来た言葉使いが元に戻ったじゃねぇかよ…)


「ハァァァァァ…ったく…俺は立場上、この喧嘩を止める義務があるんですよ?大体、正輝…喧嘩の相手をしてるのは俺の家臣ですしね。とまぁ今はそんな事より、貴方は一体ここで何をしているんですか…織田信長殿?」


 俺の指摘に一瞬驚いた表情を浮かべたが、直ぐに口の端を上げて挑発的な笑みを浮かべた。


「いやなに、伊勢の国の楠の城に自らをお伊勢様の神子だと名乗るわっぱがいると聞いてな、面白そうだと見に来たわけよ。お前は何か知ってるか?」


「まったく…知ってて聞いてますよね?俺の事ですよ、その童は…まぁ信じる信じないは別にして、そのお伊勢様の神子だと言う話は全部事実ですよ。実際にお伊勢様に日ノ本の統一と海外進出を依頼されてもいますし…、事実それに必要な力や知識も授けられてますし、最後までやり切る以外に選択肢は無いんですよ…ハハ…」


 信長は俺の言葉に嘘が無いか懸命に探っている様だったが、嘘をついている様子が見つからない事で早々に白旗を上げていた。


「成る程なぁ…お前の言葉には嘘を感じんなぁ。この歳でお前が天性の詐欺師か頭のおかしい童でも無い限り、お前の口から出た言葉は全て事実だという事になる。」


「だから言ってるでしょう?俺はこれまで生きて来て、口にしていない事はあっても、嘘を吐いた事は無いんですよ。なので、授けられた知識も力も天命も全て事実です。天命については今直ぐ証明出来ないですが、それ以外の事はある程度は証明出来ますよ?」


 これには信長もノリノリで、実際に証明して見せる流れになってしまった。俺としても能力を使用する事は見せ物では無いので、条件を出す事にした。


「では見事証明する事が出来たら、織田と楠木両家で同盟関係を結びませんか?両家で背中を預け合って日ノ本を東西で統一するなんて如何です?織田は尾張、美濃、越前より東を楠木は伊勢、近江、若狭より西を攻め取る…面白くありませんか?」


「くははははは!その提案、凄くいいな!見事証明出来ればその話に乗ってやる。証としてお前と年の近い妹の市を嫁にやろう。それで婚姻同盟の成立、お前は俺の義弟になる。」


 信長は嬉しそうに肩を組んでくる。まだ証明をして無いんだが、それでいいのかノッブ。そんな調子ではノッブの将来に不安を感じるぞ。


 若干の不安を感じつつも、信長一行を目的の場所に案内した。その場所は楠の湊町の中心に位置する場所で区画整理の終わった場所になる。因みに楠湊も湊町も大々的に再開発を行なった事で、様相が一変していた。町は碁盤の目の様に区画整理され、城に向かって伸びる直線の道は道幅も20尺と広く取られている。


 そんな大通りに面した場所に、二階建ての大きな建屋が鎮座していた。大きな建屋には看板が掲げてあり、大衆浴場と書かれてあった。ここは衛生管理の一環として建設した領民の為の湯屋であった。俺は一行を湯屋の中に案内すると巨大な桶の前にまで連れて来た。


「此処は浴場で使用する湯を貯める場所です。所謂、この施設の肝となる場所ですね。まだ湯の生産はされてませんが、俺の力の証明の為にこの場所に温泉の源泉を設置します。」


「んん?源泉を…設置?何を言っているんだ?」


 信長を含め俺の関係者以外は、俺の言葉の意味を理解していない様だった。俺は論より証拠という事で、目の前の桶の底に温泉の源泉を設置して、湯の湧き出る様を見せてやった。俺の側近らには見せた事もあるのである程度見慣れた光景だが、信長一行は驚きの余り固まり、中には拝んでいる者さえいた。


「いやはや…正直言うとここまでの物とは思っていなかった。桶の底から温泉を沸かさせるなど…何処の誰にも出来ん。正に神の御技、お伊勢様の神子という事の証明だな。故に約束通り妹の市を嫁にやる。正式には国に帰ってから使者を送るが、まだ7歳の女童じょどう故、輿入れの時期は数年は先になろう。」


 それから信長とはまたの再会を約束し、湯屋を出た後に別れた。父上と母上、お爺様にはこの度の事を報告し、勝手に婚姻同盟の約束をした事を詫びた。父上とお爺様は信長の奇行の噂をご存知だった様で、大層心配していたが、噂は事実ではあるが、信長の本性では無い旨の説明をすると納得してくれた。


 まぁ事実として、朝敵としての楠木という名を名乗り始めた我らと、同盟を結ぼうとする勢力は皆無だと言って良い。故にこの婚姻同盟は、楠木にとって重要事項と言える出来事になるのだった。




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