分かれ道 初投稿です!短いので、見てってください!ぬん!
都立北高等学校、通称北高。一年前に受験して、そして僕を落とした高校。仲の良かった友達は全員受かって、僕だけ一人私立の滑り止めに入学した。そんな因縁の高校の校門を人生で2回目に通った。1回目は受験で、今回は受かったみんなに会いに来た。今日は北高の文化祭の一般公開日。校門すぐの受付で名前を書き、一般来校欄にチェックをつける。
久しぶりの再会。おもかげはあれどほとんど新しい顔とピッチの違う声。数年間、ほとんど毎日顔を合わせていたのに、ほんのわずかの間離れただけでこれほど変わってしまった。
「変わったね、大人っぽくなった。」そうぽつりといえば、お互いの顔をそろってのぞきこみ、そんなことないけどなぁと君たちは言った。分かってる、僕の見比べた一つ前の顔は、君たちにとってはいくつか前の顔。そのわずかな差は時折顔を見せ、通り雨のように短時間ながら、僕の心をしっとりと濡らしていく。
「かいは変わんないよな」
「160cm、70kg。高校生になっても変わんないや」
「そっか、止まっちゃったのかな。それはそうとこれ!」渡されたパンフレットには同じ中学だったみんなの企画に丸がつけられていた。ほら行くよと呼ばれ、一回り大きな背中を追いかける。それからガラス作りにプラネタリウム、クイズだったりいろんなことをした。どれも楽しかった。久しぶりの感覚。僕が間違えて、みんなが笑って教えてくれる。僕がちょっかいをかけて、めんどくさそうに、それでも返事を返してくれる。そんな日々を思い出した。
目を覚ますともう月曜の朝になっていた。服を着替え、歯を磨いて靴を履く。駅の人混みに体を滑り込ませて電車に乗り込む。汗を拭って顔を上げると、北高の制服を着た見覚えのある男子がスマホに視線を落としていた。昨日舞と話していた人。もし僕も北高ならあいさつをする仲なのかもしれない。そうこうしているうちにドアが開き、その人は人混みに消えた。外から風が優しく体を撫でた。若い男女が行き交い、話し声空を駆け巡る。幾つもの建物を超えた先に北高はある。みんなそこにいるのかな、もしかしたら昨日の片付けをやっているのかもしれない。みんな頑張っている。僕もたとえ身長は変わらなくても痩せることはできるよな。チャイムが鳴り響き、低い音を立ててドアが閉まる。発車します、ご注意下さい。