神秘の泉に斧を落としたら泉の女神様がアイテムを授けてくれて木こりは森伐採を無双する
昼下がり、泉の女神は静かな昼寝を楽しんでいた。日差しが柔らかく、鳥のさえずりが心地よい――そんな平和なひとときが突然の騒ぎで打ち砕かれた。
「うるさいのう!」
泉の前で、木こりがしゃがみ込んで嘆いている。
「どうしたのじゃ、わらわの貴重な昼寝タイムを邪魔しおって」
木こりは泣き顔で女神に訴えた。
「女神様、私の唯一の斧が泉に落ちてしまいました。明日から木が伐れません!」
「ふむ、仕方ないのう」
女神は不機嫌そうに泉の中に潜り、鉄の斧を引き上げた。
「お前の斧はこれか?」
「あっ、これです! ありがとうございます!」
「よいよい、わらわは寛大な神じゃ。二度となくすでないぞ」
そう言い残し、女神は再び泉に潜って昼寝を再開した。
しかし翌日、また斧が泉に放り込まれた。昼寝を中断された女神は眉をひそめながら斧を拾い、木こりに返した。
「次は気をつけろよ」
ところが、その翌日もまた斧が泉に落ちてきた。そしてその次の日も、そのまた次の日も……。
ついに女神の堪忍袋の緒が切れた。
「なんで毎日毎日斧が泉に投げ込まれるのじゃ!」
女神の怒声に木こりは震え上がり、土下座をしながら弁解を始めた。
「申し訳ございません! 木を伐るためには思いっきり斧を振らなければならないのです。時には、すっぽ抜けて泉に落ちてしまうことも……」
「ならば、斧を振らんで木を伐れ!」
「そ、それでは木が伐れません!」
女神は怒りを抑えつつ、再び泉の中に潜った。
「これを使え。最新型じゃ。これなら振らんでも木が伐れる」
木こりは興味津々でそれを見つめる。
「こ、これは……?」
「チェーンソーじゃ。エンジンをかけて、この刃を木に当てれば楽に伐れるぞ」
木こりが恐る恐るエンジンをかけると、けたたましい音が森中に響いた。
「おお、すごい! 本当に切れる!」
しかし、斧の代わりにチェーンソーを持った木こりは、今度は別の問題を引き起こした。
「女神様、木を伐るのが楽しすぎて止まりません!」
森の木々が次々と倒れ、騒音でおちおち昼寝も出来なくなった。
女神は頭を抱えた。
「わらわの平和な昼寝はいつ戻ってくるのじゃ……」
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