洗礼
僧侶の日記の一部
彼とはもう長い間まともに口を聞いていない。
仲良くしたくない訳ではない。
彼のことは好きだったし、今でも格好いいとは思う。口では嫌いだと言っても、彼のことはどこか完全に嫌いにはなりきれない。
どんなに素敵な男の人に告白されても、どんなに
彼以外を好きになろうとしても、「幸せにするから」「君が欲しい」そんな言葉を言われても、彼のことが頭から離れない。あの頃の思い出が頭から離れない。
今日は特に、彼以外のことが考えられない。
※ここからR-18版になります。
「敵だ!」
兵士の1人が叫ぶ。鎧を着た人型の魔物が数体
俺らの前に立ちはだかる。
「喰らえ!」
勇者「おい!焦るな!」
1人の兵士が放った突きが、鎧と鎧を繋ぐ隙間に
放たれる。人間であれば即死するであろう箇所に
剣が突き刺さる。
「どうだ化け物!」
勝ちを確信し、鎧から剣を抜く。
「ブシャッ」
鮮血が舞い、魔物の鎧に返り血として降りかかる。
その姿はまるで呪われた騎士。
「ゴフッ」
心臓をピンポイントで突かれた兵士は、その場に倒れる。おそらく即死だろう。今更回復しても間に合わない。
「うわあああ!」
何人かの兵士がパニックになり、剣を振り回す。
「おい落ち着け!・・・うぎゃあああっ!」
振り回した剣が、別の兵士の腕を切り落とす。
そんな姿を見て、自害をする者まで現れる。
騎士たちはお構いなしに、パニックになった兵士達を
切り刻み、俺らの目の前は完全に地獄絵図だ。
勇者「やるしかねえぞ!」
俺と勇者は魔法使いと僧侶を庇いつつ、奴らと交戦する。
勇「喰らえ!」
素早い2連撃で、2体の騎士の剣を持つ方の手を切り落とす。
「ザクっ」
そして、騎士達の腹部分に剣を突き刺す・・・が、
やはり奴らの動きは止まらない!
勇「クソっ!」
「ドゴっ」
俺のパンチが、もろに顔面を捕える。
かなりの手応えと共に、騎士の顔面は吹き飛び、
その場に倒れ、灰となる。
リ「みんな聞け!奴らは顔面が弱点だ!」
俺の声を聞き、勇者が騎士の顔面を切り落とす。
魔法使いが、弾状の炎で顔を吹き飛ばす。
5分ほどで、全ての敵が片付いた。
俺ら4人は無事だが、重症を負った者を含めて、
兵士たちは半分以上戦闘不能となった。
とんだ洗礼だ。俺らの前に訪れた兵士たちが全滅した理由が分かる。先が思いやられるな。
そんな洗礼を受けつつ、やっとの思いで城内に
入ることができた。




