チョークスリーパーされてるけど首がめっちゃ強いのでなかなか死ねない
ジョンは引退を決意した。
今の血なまぐさい職業から足を洗い真っ当な職に就くつもりだった。
「ジョン!父の仇め!死ねぇ!」
突然少女がジョンの首を後ろからチョークスリーパーで締めた。
少女とは思えない怪力だ。
「ぐあぁぁっ!」
(このままじゃ……し……ぬ)
「だ……れ……か」
眼球はは飛び出し、顔は真っ赤になりながらスマートフォンで助けを呼ぼうとするが少女はさらに力を込めて首を絞めた。
「父の仇ぃ!死んでいった者達に詫びながら苦しんで死ね!」
「ぐ……」
(いしき……が)
「おれも……ここまで……か」
ジョンはそれから少女に首を締められながら50年生きた。
首を締められながら働き、首を締められながら寝て食べて少女の学費を払い大学まで出させた。
少女は一流大学を出ると家を出て就職した。
就職先で今の夫と出会い結婚し子供も出来た。
ジョンは首が締まっていないと落ち着かないようになっていたが、盆や正月には少女は帰省し、子供と一緒にジョンの首を絞めた。
ジョンは擬似的ではあるが人生初めての家族を手に入れ幸せだった。
「……なにか言いなさいよ!」
病室で最期の瞬間を迎えようとしているジョンの首を少女が泣きながら締めていた。
出会った頃と変わらない容姿と怪力だとジョンは笑った。
「何笑ってんのよ!」
「おじいちゃん!」
娘……と思っていた少女とその婿と子供に看取られる自分は幸せだと思った。
血で汚れた人生を歩んだ自分に相応しくない最期だろう。
(俺が……おじいちゃんかぁ)
「何か言えぇ!」
「ごめん……な。苦しんで……死んであげられなくて……ごめんなぁ……」
ジョンはそう言って息を引き取った。
「お父さぁぁん!」
・
『ヴァンパイアニュースです。伝説のヴァンパイアハンター・ジョンが亡くなって今日で5周忌です。コメンテーターの皆様どう思います?』
『英雄ジョンが吸血鬼の少女を養子にした時は世間が荒れましたねぇ……』
『彼女の父は怪力で人類を何十人と殺したヴァンパイアでしたからね』
『会見でもジョンの首絞めてましたしね。父親譲りのすごいパワーでしたよ』
『ヴァンパイアと人間との戦争を終わらせ世界を救った英雄であるジョンが責任を持って保護すると言われたら我々は反対できませんでしたよ』
『今じゃ人間とヴァンパイアは……おっと。次のニュースの時間です。ジョンの命日である今日に相応しい心温まるニュースです。ジョンの娘。アネッサ氏が理事長を務める人間とヴァンパイアの共学校ジョンズ・スクールで今年も……』