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 なんでこんな重要なことを忘れていたのか。

 飲む・打つ・買う、喰う・寝る・遊ぶ(抱く)

 萎びた爺婆しかいねえド田舎で、喰いモンにばっかり気を取られてすっかり忘れ去っていたらしい。

 

 (エロ)が足りてねえんだよ!


 こう腹が満たされたらそりゃあ腹の下ァ満たさねえと、ってか出さねえとスッキリしねえわな。

 全くもって何のために股にこんなもんブラ下げて生まれてきたと思ってんだ。


 ヤるために決まってんだろ!


 カァーッ、全く俺としたことがどうりで何か落ち着かねえと思ったんだよ最近。

 まあ、ヤるだの何だのは今は無理だとしても出すもんは出さねえとなあ、オイ!

 とりあえず、手に取った一冊の(エロ)本をガン見、まさに穴が空かんほどに、その穴に色んな物をぶち込まんばかりにガン見した後に一度棚に戻し、用を足した。


 用を、足しただけだからな、勘ぐるなよ?


 そして、キリッとした顔でトイレから出てきた俺は、そのまま雄々しくエロ本を物色し、レジへと持っていき、


 「あの、僕?こういうのは大人にならないと買えないからね?」


 なんとも言い難い微妙に絶妙な表情をした店員に普通に売るのを断られた。

 そして一緒に来ていた爺さんに爆笑された挙句、その爺さんに代わりに買ってもらおうと思ったが断られた。

 俺は普通に泣いた。



 ■■■■■

 


 泣く泣く村へ帰る羽目になり、帰ってからふて寝した翌日。

 

 俺は町に来ていた。


 買い出し?軽トラ?知らんなあ。

 どうやって来たのかって?


 徒歩だよ。


 魔力使った身体強化舐めんなやオラァ!

 曲がりくねった山道使わず真っ直ぐに山とか森とか突っ切ってたどり着いてやったわボケが!

 エロ本が俺を待ってんだよ!

 前世にはなかったあの素晴らしいブツを目にして泣き寝入りなど出来る訳ねえだろ!!

 TVとかカメラとかの存在はどういうもんかも見知っちゃいたが、まさかこういう方面で活用してるとは全く想像もしてなかったぜ。

 前世じゃそう言ったもんねえし裸婦画っつーのすら殆ど日陰の存在で、在ったとしてもご高尚な芸術がどーたらとかでちっともエロくなかったりでそう言うのが見たけりゃ娼館やらで女を買えって感じだったからなあ。

 それが、まさか、あんな形で、しかも大して値段も高くなく、堂々と店に並んでやがるとか。


 頭おかしいんじゃねえか異世界、最高じゃねえか。


 つーか、TVとかで見てたがよく考えたら服も全般的にこうなんつーの、『そそる』服が多いじゃあねえのよなんで気が付かなかったのかね俺ァよ。

 それにあのエロ本に載ってたネーチャンたちの下着やらも素晴らしい。

 何をどう考えたらあんなエロい方向に、全く異世界は最高だなこの野郎!

 メシは不味いがそれも自分で解決したし、釣りがくるぜ馬鹿野郎め!

 昨日はガキだからって売ってもらえなかったが、何が18歳未満には売れないだ馬鹿が。

 前世だったら発行時点で邏卒がすっ飛んできてしょっ引かれるようなもん陳列しといて何が年齢制限だよ笑わせんなボケが!

 あのコンビニは駄目だったがどうせどこか普通に誰にでも売ってるような店があるに決まってんだ、今日はそれを見つけてエロ本を手に入れて帰るぜ。

 そうして俺は意気を揚げてエロ本を探して歩きだした。


 結果、どこでも売ってもらえませんでした。


 何故だああああああああ!!

 いいだろ別に売ってくれてもよぉ!

 本屋が見当たらなかったから数件のコンビニしかなかったが何処も駄目って、あと貸本屋を見つけたがそこもエロ本どころか普通の本でも子供じゃ貸してくれねえし、チクショウ、チクショォォォォォ!!

 戻りの時間とか考えると別の町に行くにも、ってか他の町がどっちにあるか知らねえし。

 流石に日帰りで更に遠くへ行くのは歩きじゃ無理というか、人目に付くとこで身体強化なんぞ使ったらどうなるかもわかんねーし・・・。

 そんな事を考えながら諦めきれずに町を彷徨い、結局エロ本を売ってくれる店を見つけられずそろそろ村へ戻らないと不味い時間になった。

 売ってもらえなければこうなったら盗むか?そんな考えが頭を過る。

 別に俺には難しい事じゃあないが、いやでもなあ、前世と比べて見つかったら下手すりゃ袋叩きにされ、それを返り討ちに出来ても邏卒に追い回されて檻の中とか言うような危険はないが。

 だが、逃げ切っちまえば基本なんとかなるような世界じゃねえしなこっちは。

 一度手配されりゃ下手すりゃ何処でも誰でも俺が前科持ちだとバレて一生付きまとう。

 写真なんぞで手配でもされたらシラを切り様もねえし、監視カメラなんつーもんも在りやがる。

 人の目は誤魔化せてもアレが誤魔化せなけりゃ身体強化で高速移動しようが、気配を消そうが、姿を隠そうが意味があるかもわかんねーし。

 そんなもんが設置してない店や、そもそも映らなきゃ問題ねえとかいう話かもしらんが・・・いや、いやいや、そう言う問題じゃねえだろ馬鹿らしい。

 エロ本は欲しい、滅茶苦茶欲しいが、それと盗みに手を染めるのとは釣り合いが取れねえだろうが。

 あっちの世界だったらさっくり盗んだ気がするが、そもそもこっちではガキでも買える値段でそこら辺に有り触れてる代物だぞ。

 流石に将来に渡って尾を引くような危険を冒してまで手に入れるようなもんじゃ流石にねえわ。

 というか、あっちの世界でも盗みなんてしたことねえぞ、絡んできた阿呆を殴り倒して金をふんだくった事はあるが。

 もう戻らねえと不味い時間だと分かっていてもそんな事をつらつらと考えてしまい足が進まない。

 そんな時、ふと目に入った光景に遅々として進まない足が完全に止まった。

 それは村では見かけない形の柵で囲われた、恐らくゴミ捨て場であろうと思われる場所、その一角に積まれた荷紐で縛られた雑誌らしき一束。

 気が付いたら駆け寄っていた。

 その表紙は服の体を成してんのか意味不明な着崩しというかなんかよくわからん感じの半裸の女が『描いて』あった。

 写真じゃなくて絵だったが、表紙から恐らくエロ本、コンビニでも写真の方にばかり目が行っていてスルーしてたが間違いなくこれもエロ本。

 村では見かけなかった本の種類、絵本とも違う絵と台詞だけで読ませる『漫画』っつー物らしいが。

 一瞬で周りを見渡し、誰も居ないし見てない事を確認し、写真じゃねえけど背に腹は、いやいやコレはコレでありなんじゃねえかよく考えると、等と考えている間に既に括っている荷紐を千切って持ってきたリュックの中にそれを詰め込んでその場を走り去っていた。

 あ、あっれえ・・・とか自分自身の行動に疑問を覚えつつ走る足を止めずにそのまま町から走り去った。

 

 なんとか日が暮れる前に家に帰り着き、飯と風呂をそそくさと済ませて自分の部屋に戻りそわそわとリックの中身を確認し、俺は驚愕した。


 エロ本じゃねーのかよ!!


 いや、あの、えっ?これどう見ても半裸の女の絵だよね表紙。

 これが、服?いやいやご冗談を。

 こんな布面積の低い不自然な部分に肌の露出がある服があるわけねーだろふざけんな!

 あっちの踊り子でもこんなもん着てねえぞ頭おかしいんじゃねえか異世界。

 何をどう頭を穿り返したらこんな意味のわかんねー服とか想像できるんだいい加減にしろ!

 それ以前になんかどの絵も目が以上にデカくて気持ち悪ぃしなんか顔がデカいやら辺に小さいやら口デカッ、鼻小さっ、というか鼻?鼻なのかコレ、尖ってるし無かったりすっし穴がねえとかもうこれ意味わからねえな・・・。

 



 ・・・結局、何冊かはエロ本ではあったが大半はそうじゃない普通なのかはよく知らんがエロではない漫画だった。

 まあ、全部きっちり読んだが、最初はなんか読み方っつーか見方?がよくわからずに何度も読み返す羽目になったが。

 あと、大半が唐突に話の途中で始まって途中で終わってるんで何の話なのかさっぱりだったが。

 いや、エロ本の方はそうでもなかったのが多かったが。

 アレか、TVのドラマっつーのと同じで続き物って奴なのか。

 一冊に色んな話を乗っけて続きは次の~ってか、そう言えば俺が今まで読んだ字ばっかりの本の中にもそういう風になっていたのを一つの話で丸々一冊にまとめたのがあったのかね。

 しかし、やはり写真のエロ本が欲しかった。

 いや、まあ、これはこれで、よく見ればアリ、か・・・?

 

 とりあえず、部屋に便所紙を・・・いや、鼻紙でいいか、というか鼻紙のがいいのか。



 

 



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