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 「お前らは、こう、他にやる事はねえのかよホントに!!」


 今日も今日とて森居のセンパイが喧しい、ってかなんだかんだ言いつつ他の連中同様に毎日来て、毎日同じ事言ってて虚しくねえのかね。

 

 「本当にパイセン氏はいつもいつも懲りないで御座るなあ、拙僧はこの経典を読み上げるのに忙しいで御座るから、他の事がしたければ他所に行くといいかと愚考する次第。インドアな某達に我慢ならないのならそこの窓から自由に羽ばたくで御座るよー。 そして涅槃へ直行とかお勧めで御座るよーデュフフ」


 オイ馬鹿止めろ、そういうのは他所で勧めやがれ、そうだな学校の屋上とかどうだ騒ぎになって休校とか素敵だろ。


 「何が経典だただのラノベだろうが、しかもそれクソつまんねえ絵だけが取り柄のもえるゴミだろうがボケが!ってか、この高さからダイブとか何処のヤク中だっつんだよクソがぁ! オイコラ稲生、テメエも何乗っかってんだ、飛び降り自殺前提で話を進めんじゃねえよ!」


 「・・・全校、集会、と、かで、めんど、うな、事に、なる」


 「アンタの言い成りにはなら―――クッ、にら、睨んでも俺は、って俺を無視するな!」


 「ヒロ氏ーどっちにしても我々が事情聴取とかされるオチで御座らんかそれ。 何と言っても原因不明の長期入院のあとにハブられてボッチを拗らせてそれを苦に自殺とかいうアレな感じで御座ろうから。 全くパイセン氏は本当に疫病神で御座るなー、我々を巻き込まずに自然死してくださらんか?」


 あーあー、それぞれ好き勝手に口にしてんじゃねえよキャッチボールしろや言葉のよぉ、お陰で今いい場面だったのにヒロインの台詞聞き逃しただろうが、処理が追い付かん。

 

 「テメエはいい加減にこっち見て喋れっつーんだよ! 何がキャッチボールだこのダンベルお手玉の変態が!! あとその右端のアニメは既に見るの三回目だろうが見飽きたんだよ!」


 「うっわ、パイセン氏文句言いながらあの複数画面での同時視聴のアニメバッチリ視聴対応できてるとか立派な変態では御座らんか、拙者も音声だけで既に場面が頭に浮かぶくらい聞き飽きた感があるで御座るが」


 「馬鹿な、あのごちゃごちゃした画面で見ているのに対応出来ているだと、ハ、ハッタリに決まってる・・・!!」


 「・・・森、パイ、セン、が、ここ、に、来てか、ら、の視、聴、は確か、に三回、目・・・でも、そ、れ以前、も、アレ、は、何度、も、見て、る、お気、に入り、侮、辱は、危険・・・」


 クソうっせーな、どいつもこいつも、良いんだよ名作は何回見ても良いもんだろうが、この良さがわからんとはやはりゴミだなというかバッチリ見てんじゃねえかセンパイ、混ざりあって聞き取りが難しいのに音も全部ではないが目的のもんは拾えてるみてーだし、目的のもん『だけ』拾えてると言うべきかね。

 ソレガシ、お前もラノベ読みながらバッチリ音だけは拾ってやがんだな、ラジオドラマとかで場面の想像とかが余裕なタイプかお前、無駄に順応してやがる。

 あと、なんでパソに向かいながらエロゲやっててこっちまで視界に収めらられてんだ村尾、ほんとに複眼でもついてんのか音声は拾いきってねえようだが、ほんとに昆虫か何かの改造人間なんじゃねえのお前。

 千畳敷(ハ ム)は・・・いつまでも処理能力が低いよなコイツ、他の連中はラノベだのエロゲだのアニメだのをサクサク消費してんのにこいつだけ他より消費が遅くて、俺が読み終わったら数日でカラスに持ち帰られる漫画をやっとかっと消費する程度だし。

 そのくせ汚染度は他より酷いっていうのがな、こないだリアルに年下の頭を撫でていてキモかったとかソレガシに諫められてんのか煽られてんのか毎度のよくわからん嘲笑を受けていたが。

 何時の間にかほんの少しだけギャルゲーやって、ヒロイン一人だけしかエンディング辿り着いてねえ癖にその属性に染まるとか、コイツが一番しょうもねえ気がするなオイ。

 

 「があああ、離せこの似非オタがあ、嫌味癖えんだよ何もかもが!!」


 「プークスクス、本気出した某にパイセン氏がかなうわけないで御座ろうー」

 

 「離せセイジぃ!お、俺は、今日こそコイツを乗り越えて・・・あだだだだだだ!!」


 まーたなんかやってんなあ、ソレガシ、あとがめんどくせえから折るなよ、絶対折るなよ。


 「振りで御座ろうか?」


 「「ちげーよ!!」」


 マジで畳んでもいいから折るなよ、極めてもいいから外すなよ、殺ってもいいからバレんなよ、捕まるのはいいが巻き込むなよ?


 「うはあ、ヒロ氏ってば相変わらず畜生すぎてビックリで御座るわー・・・」


 「畜生なのはテメエもだろうが――ががががぃぎぁ!」


 「この―――いだ、まだ何も言っででででで!!」


 ほんと、このセンパイとハムは懲りねえなあ、何だかんだで似た者同士なんじゃねえのかコイツら。

 毎日毎日こうしてきっとドヤ顔決めてるだろうソレガシに腕を極められて汚ねえ悲鳴なんざ上げてよお、野郎の悲鳴なんざ萎えるだけだっつの。

 そういや萎えない奴も居たなあ。


 「・・・ここ、から、は、くりむ、ぞん、たいむ、だ、うほ、っ」


 「ひぎぃ!?む、ムラムラ氏何時の間に某の背後をひぃ!? 拙者そんな趣味は、野郎の同人的リョナ展開とかでは違うでござ・・・ぎゃ、やめ、これ以上俺に近寄るなああああああ!!」


 ソレガシも含めて学習しねえ奴らだこと、つーか素が出てっぞソレガシー、ただでさえブレッブレの一人称が崩壊してんじゃねえか。

 全く騒がしいったらありゃしねえぜ、俺の至福の時間を邪魔すんなタコどもが。

 DVD一時停止っと、お手玉したダンベルを置いて、首と肩を解しながら一息。

 誰も俺の至福の時間(絶 頂)を邪魔するものは許さねえ、とか言ってみながらギャースカやっている馬鹿共を放置して風呂へ向かう。

 俺が風呂から上がる前に何も言わずに片づけて撤収するまでが何時ものパターンだ。

 と言うより、居なくなってなかったら叩き出す、飯の邪魔だしな。




 ■■■■■




 TVを見ながら飯を喰う。 今見ているのはアニメじゃなく各局のニュースだ。

 それを見ながらふと考えるんだが、ここ数年俺の今居る街の近郊で謎の昏倒事件が相次いでいると全国ニュースでも騒がれ始めてやがる。

 ローカルニュースだともっと前から地味に報道されていたらしいが、原因不明で色々と憶測が飛び交っているらしいって・・・これってやっぱり俺のせいか?

 新種の菌やら化学物質による食中毒なり公害だのから始まり、変なとこだと祟りだの何だのとオカルトな説まで、俺がやってた諸々・・・魔力だの魔素だのが原因だとするならあながち的外れじゃねえのが笑える。

 いや、笑い事じゃねえんだろうが、別に今んとこ爺様の住んでる村やら山奥の方に目は向いてねーっぽいから別に取り立てて焦りとかもねえんだよなあ。

 俺が原因で昏倒しただろうと思えるあのバカ四人衆ほどの長期入院した奴もいねえし、もしかしたら原因は別かもしんねーし。

 まあ俺が喰ってる山の喰いモンに含まれてる魔素の接種でぶっ倒れたであろうアイツらと、この原因不明の昏倒が同じ原因ってんならあれか、俺の生活排水やらに魔力やら魔素が混じってて水やらを汚染してそれのせいで軽度の昏倒や体調不良を起こしたってか?

 俺の生活排水とかじゃなくてもあの山奥から魔素を含んだ水やらの流入やら植物の花粉の飛来や動物の移動やらで汚染と言うか感染が広がったとかなのか?

 わっかんねーなあ、どのくらいの濃度で魔素を摂取すると魔力持ちになんのかもはっきりしねーというかちゃんと調べたわけでもねえし、まああの阿呆四人は現状バッチリ魔力持っちまってるが。

 現状で俺が感知できるほどの魔力がある奴なんて山奥の動植物とアイツらぐらいしかいねえんだが。

 少しでも魔素を含んだもんを摂取したら魔力持ちになるんなら、俺の吐く息を吸った奴もそうなっていてもおかしくねえ筈だし、体調不良だの軽度の昏倒する奴らが大量に出てるんならアイツら以外で何人か魔力がある奴が俺の周りに出てきても不思議じゃあねえ筈なんだがなあ。

 ある程度の濃度がないと霧散するとかそういうオチなのかね、幾ら考えてもわっかんねーな。


 まあ、俺自身が昔から特に深刻に考えてねー時点でわかる訳ねえというか解ろうとかしてねえんだが。


 これで死人だの重症なのが出りゃちっとは考えるが、全くそんな気配がねえし、これが村の爺様達に何かあったってんなら深刻に捉えるが・・・ってか、爺様達こそ一番影響がありそうなのに全くそんな素振りがねえよな。

 ・・・いや、ちょっと待てよ、全く意識してなかったがそう言えば爺様が最近は以前よりも元気な気がせんでもないが。

 やっべ、なんかちと冷や汗が、ちょっと明日から数日サボって村に戻ろう。

 

 








 

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