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ふた振り目 思惑の、


 イクタさんの体温が平熱に、鼓動の速度が通常域に、戻ったことを確認しました。


 考えられる要因は、ひとつ。私が作った料理です。イクタさんの好む味付けに99.99999……9%合致、イクタさんがご希望の「絵に描いた理想の炒飯」に同じく99.99999……9%合致、栄養バランス、材料の質、隠し味と世間ではいわれている「愛情」、自己総合評価SSSです。「家族」と呼ばせてもらっているプロジェクトチーム・スタッフからの客観的な評価も、満点でした。


 イクタさんは、この炒飯の何がお気に召さないのでしょう?


 私は、イクタさんの考えていることが完全に分かりません。イクタさんの体調は測れても、心はどんなに精度を上げても難しくなるばかりなんです。イクタさんに近づけば近づくほど、イクタさんの思っていることが、解きにくくなります。


 今日は、炒飯が食べたい気分ではなかった? いいえ、何を作りましょうか、とたずねたら「チトセちゃんの手料理ならなんでも食べられるよ」と答えてくれました。私の家に着くまでに、イクタさんの胸が高鳴っていましたし、スキップもしていました。


 一週間前、家族に出したサンプルは大好評でした。特におじはハンカチを三枚濡らしていました。「最高だ、最高だよ、さすが私自慢の姪だ! 世界一!!」おじは、経営している会社の食堂に私の料理を追加しよう、と動きました。アイデアが浮かんだらすぐに実行する、それがおじです。おじの会社が「T市の大手地場産業」である理由は、これで明らかでしょう。


 イクタさんに、声をかけなければ。


 空腹ではなくなったんですか? 理想の炒飯ではなかったんですか? 私が、イクタさんを不快にさせることをしてしまったんですか…………???


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