義母の喜び
「シシリアさんが、そうっ」
メイドから報告を受けて思わずはしゃぎかけてしまう。
シシリアさんが嫁いできてもう六年近く、幼い子供だった彼女が大人の女性になるのかもしれない、それもほぼ確定情報となれば、我が子の事のように嬉しい。
むしろ、シシリアさんはもともと自分の娘なのではないかと思えるほどにこの家に馴染んでいる。
確かな血筋を物語るかのような気品と威厳の片鱗は幼いうちから感じていたけれども、マリティア様の教育のおかげか、身分の低いものに気を配る立派な淑女になりつつある。
そんな子に、やっと大人の女性の証が訪れるというのであればこれほど喜ばしい物はない。
以前は子供だとか、彼女の思考を読めなかったルツァンドも数年前から歩み寄って彼女をよく理解しようとしているし、夫婦としても順調と言えるだろう。
「でも、あまり早く身ごもってしまってはシシリアさんの体に負担が大きいかもしれないわね」
彼女のひいお婆様、先々代の王妃様は幼いうちに身ごもり体を弱くして二人目を死産するとともに亡くなってしまった。
ルツァンドにはもうしばらく娼館の方で我慢してもらわなければいけないかもしれませんね。
「ああ、でも婚姻式はどうしましょう」
月の物が来るまではしないと言っていた婚姻式も近々しなければいけないでしょう。
やらなければいけないことが山積みになって、何から片付けていくか悩んでしまうけれども、婚姻式に関してはシシリアさんのご実家との打ち合わせも必要になりますので、近々お邪魔させていただかなくてはいけませんね。
訪問のお伺いのお手紙を書くことがまずすべきことですわね。
「そういえば、シシリアさんはちゃんと眠れているのかしら?」
「はい。ルツァンド様が寝かしつけたご様子です」
「そうなの、そうね。それならいいわ」
ほぼ確定とはいえ、まだ確定ではないのだから私が慌てても仕方がないわね。
でも、今朝のシシリアさんの様子はいつもと違っていたし、メイドからの報告方も間違いはなさそうですし、明日の朝食は消化にいい体の温まるものにさせなくてはいけないわね。
ああ、それにしても本当に喜ばしいわ。
「念のためお医者様も呼んでおきましょう」
「かしこまりました」
ああ、旦那様へのご報告は確定してからにしましょう。
下手に騒がれてはシシリアさんも困ってしまいますものね。




