目を逸らす
二人は沈黙していた。
片方は隠キャでぼっちだと自覚しながらも、学校一の美少女に密かに想いを寄せている成瀬くん。
もう片方は学校一の美少女でありながら実はコミュ症で人との関わりが苦手なため、密かにぼっちである成瀬くんに想いを寄せている姫乃さん。
(あー、今日も姫乃さん可愛いな。でも、あんな美少女なんだし彼氏とかもういるんだろうな。ましてや、俺みたいなぼっちを相手にしてくれるわけでもないし。今の俺は遠くで憧れの姫乃さんをみてるくらいが丁度いいよ)
(え、あの成瀬くんが私のこと見てる!? それにしても、今日も成瀬くんカッコいいな。趣味とかはなんだろう。聞いてみたいけど、恥ずかしくて絶対に無理。って、いつの間にか成瀬くんのことじっと見ちゃってた)
姫乃さんは目を逸らす。
(今姫乃さん、俺のこと見て目を逸らした? なんかショックだ……。姫乃さんとはまだ一回も話したことないのに……)
(でも、やっぱりかっこいいからもう一回見ちゃう。あれ、今目があったのに、成瀬くん私のこと見て目逸らした? そうよね、成瀬くんにとって私は眼中にもないもんね……)
((嫌われたかも……))
二人のちょっとずれた妄想はこれからも続く。
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