男子の習性
みなさん投稿時間からお察しの通り・・・また予約投稿失敗してました!すみませぇぇぇんんん!!
カンナの告白から4日経った火曜日。昨日は学校の創立記念日だったので休校だったので学校に来るのはなんだか久しぶりな気がする。
四限目の授業が終わり、昼休みに入った瞬間にカンナから俺、田中、香織の4人のグループチャットに一件のチャットが入った。
『昼休み、屋上にて待つ』
このチャットを見た瞬間に俺たちが思ったことは同じだった。
(((果たし状・・・?)))
「なんで俺ら呼び出されたん?」
「んー・・・田中君が何かしたとか?」
「いやいや。俺だけじゃなくて、誰かが何かしたらその瞬間に親衛隊に葬られるだろ」
屋上へ向かう道すがら田中と香織の会話を右から左に聞き流し、カンナが俺たちを屋上に呼び出した理由を考えていた。
俺、だよな。多分。このタイミングでの呼び出し。無関係と捉える方が難しい。カンナからの告白を断ったことで、俺と関わることが気まずくなってこのグループを出て行く、とか?いや、この場合俺がグループを出るべきなのか・・・?んー・・・
「もしかしなくとも、呼ばれた原因しばちゃんじゃね」
「顔真っ青だもんね」
「いったい何したんだよアイツ。まさか告白とか?」
「えー?告白?まっさかー」
「だよなぁ」
「「あはははは」」
「単刀直入に言うわ。私、智夏に告白して自分から振られたわ。しばらく気まずい感じかもしれないけど気にしないで」
「「えええ!?」」
「!!!」
屋上に着くなり、仁王立ちして待ち構えていたカンナにカウンターを入れられた。田中と香織はカンナが俺に告白したことか、自分から振られたこと、もしくはその両方に驚いていた。一方で俺はというと、カンナが告白したことを伝えたことに驚いていた。そして、このグループをカンナが出るつもりがないことにも安心していた。
「はーい、質問!」
「なにかしら?」
挙手をする田中に教師然として応えるカンナ。
「「自分から振られた」の意味がよくわかりませーん」
「告白した後に私から「振って」と言ったということよ。よろしいかしら?」
「おぉう」
「・・・カンナちゃんは、それでいいの?」
まっすぐにカンナの目を見て香織が聞いた。香織の「それ」が、このまま何も無かったかのように以前の関係に戻ることを指しているのか、一度振られて諦めることを指しているのかは俺にはわからなかったが、カンナには伝わったようだ。
「えぇ、いいの。もう片思いは疲れたの。今は友情を大切にしたいと思ってる」
「わかった。カンナちゃんがそう決めたのなら、もう何も言わない。でも、話したくなったらいつでも相談してね」
ぎゅっと香織がカンナを抱きしめ、カンナもそれに応えるように抱きしめ返す。
「わかったわ」
女の子って抱き着くの好きなのかな?カンナや香織もそうだけど、冬瑚もよく女の子に抱き着いている。
「なぁ、しばちゃん」
「なに?」
「なんで振ったんだ?」
耳元でカンナたちに聞こえないようこっそりと聞いてくる田中に内心呆れながら逆に聞き返す。
「聞いてどうすんだよ?」
「えー?そりゃ後学のためにだな」
「本音は?」
「好奇心」
わかってはいたが、なんとも脱力する理由である。ため息をついていると、田中がおもむろに腕を俺の首に回し、肩を組んできた。
「で?どうなんだよ?」
聞いて面白いことは何もないだろうが、諦めて白状することにする。田中が小声で内緒話をするように聞いてきたので同じく小声で返す。
「、、、、が、、から」
「え?」
どうやら小声過ぎて聞こえなかったようだ。いや、それだけじゃない。自分の気持ちを言葉にするのが思ってた以上に勇気がいることだったので、声に力が入らなかったのだ。カンナはきっと、これよりもっと勇気が必要だっただろう。それに比べたら田中にカミングアウトするくらいどうってことない!
「好きな人がいるから!」
「・・・・・・はぁ!?」
大きな声で田中が驚いたのでカンナと香織がこちらを見る。
「男子ってよく肩組んでるよね」
「男子の習性なのかしら?」
え、そこ?
女子の、のほほんとした会話に気を取られていると、横から大きな声で抗議される。
「しばちゃんなんで黙ってたんだよ!!」
「おい!声でかいよ馬鹿!」
わり、と田中が謝り、小声で話を続ける。
「いつ?どこで?相手はだれ?」
わぁ、When、Where、Whoであと二つWが出たら5Wになるね~ははは~。
「おーいしばちゃん、無視すんなー。俺とコイバナしよーぜー」
「やだよ」
「まじ拒否やめれ」
田中の口からコイバナとか鳥肌立ったわ。
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「御子柴~。うちぃ、あんたのこと~」
カンナとも徐々に話をするようになってきた今日この頃。俺は大して仲良くもないクラスの女子から中庭に呼び出され、ドリボに向かうはずの予定を繰り下げてここにいる。こいつ名前なんだっけ・・・?それにしてもこの話し方はどうにかならないのか?語尾のイントネーションを上げないと話せないのだろうか?それはもう病気では?
「好きなんだよねぇ~」
しかもずっとニヤニヤしてるし。髪の毛ずっといじってるし。あ、話の内容何も聞いてなかった。えっとなんだっけ・・・てか、そもそも聞いてないから思い出せるわけないか。
「うちとぉ、付き合うよねぇ?あんた絶対モテなさそうだもんね~?かわいそ~」
うちといえば、最近冬瑚が田中の家、正確には田中の妹で、出会った初日に親友になった津麦ちゃんに会いに遊びに行っているのだ。そろそろ津麦ちゃんを家に呼びたいって言ってたなぁ。今まで遊びに行ってばかりだったのは、田中の家が小学校から近いということもあるが、冬瑚が俺たちに遠慮していたところもある。それを見抜いた香苗ちゃんが「遊びにおいで」と言っていた。さすが香苗ちゃんである。
そういえばまた目の前の・・・えっと・・・ポニーテールが全然似合わないポニーさんが何か言っていたような。と思っていると、二階の校舎の窓から田中の声が降ってきた。
「あ!いた!しばちゃんちょっとこれ見て!!」
「ちょっと、なにぃ?」
手元のスマホの画面を俺に見せてくる田中。
「この距離で見えるわけないだろ!」
二階の窓からスマホの画面、辛うじて写真が写っていることしかわからない。
「さっき小鳥遊から写真送られてきて!とりあえずスクショして送るから見ろ!」
「はぁ~?わけわかんないしぃ~。田中がなんで出しゃばってくんのぉ?」
小鳥遊といえば、修学旅行の時にバレた重度の子供好き。というか変態。言われた通りにスマホを起動させ、田中から送られてきた画像を見る。そこには、
『幼女がお手手繋いで泣いてたお(^O^)』
という文字と共に津麦ちゃんと冬瑚が手を繋ぎながら泣いている写真が添付されていた。
「ごめん!ポニーさん話はまた今度で!」
全速力で校門を目指す。あの変態、ぜってぇ絞める!
ポニーテールが全然似合っていないポニーさんこと、鹿野は春にピアノ演奏で智夏にぎゃふんされた村上の取り巻きの一人であり、智夏に仕返しのつもりで告白のふりをした。しかし、実際は相手にもされず、名前すら覚えられておらず(ポニーって誰だよ)、散々な結果だった。そのことに中心メンバーである村上を含む数人が、智夏に恨みを募らせていくのだった。
「陰キャのくせに調子乗りやがって!!くそっ!!」
お察しの通りBGM紹介はお休みです。