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スノードロップ

何度も何度も投稿時間が遅れてすみましぇん。。。


今回は遂に奴の正体が・・・!




バスに揺られながら冬瑚の綺麗な髪を撫でていると、膝の上にぴょんと飛び乗ってきた冬瑚が嬉しそうな声音で言った。


「秋人兄さんは冬瑚の大好きなお兄さんに似てるね」

「大好きなお兄さん?」

「うん!」


一応バレないようにという配慮なのか小声で嬉しそうに『大好きなお兄さん』について教えてくれる。


「冬瑚がとっても寂しかった時にね、ぎゅってしてくれたの!それにね、秋人兄さんみたいに優しい手で冬瑚を撫でてくれるの」

「そのお兄さんのこと好きなんだな」

「うん、大好き!」


無邪気な声が耳に届くが、僕の耳には『大好きなお兄さん』の呻き声にほぼ占領されていた。


『うっ!妹が、妹がぁぁああ!ヵヮィィ』

『兄貴うるせぇ』

『智夏君、秋人君。これ私たちも聞いてるからね。家じゃないんだから。妹自慢は後でいくらでもやってください。さぁ、もうそろそろだと思われます。緊張感持って挑んでください』

「『はい』」

「兄貴のせいで怒られた」

『秋人が冬瑚自慢してくるから』

『御子柴兄弟』


さっきみたいに注意されたわけでなく、ただ苗字で呼ばれただけなのにこれ以上喋ったらヤバいと本能でわかった。恐るべし、黒服部隊。


「『すみません』」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「御子柴君、そろそろこちらの世界に戻ってきたまえ」

「別に異世界に行っていたわけでは」

「突然、(くう)に向かって喚いたり悶えていたり、まるで不審者のような動きだった」


この変態女に不審者と言われると心に刺さるものがある。確かに、傍から見たら不審者かもしれない。気を付けよ。冬瑚に「気持ち悪い」とか言われたら嫌だし。


バスが止まったので目的地に着いたのだろう。カーテンで窓からの情報が一切遮られているのであくまで予測だが。


「会場に到着致しました。案内の者に従ってお進みください」


次から次へとスタッフらしき人が出てくる。俺が見ただけでも10人はいる。この闇オークションがかなり大規模なものだと窺える。


「さて、バスを降りようか」

「そうですね。行きましょう」


バスから降りると太陽の眩しさに一瞬視界が真っ白になる。徐々に目が光りに慣れてきて、最初に目に飛び込んできたのは緑、緑、緑。


そしてその緑の中には物語の中に出てきそうな、かなり大きな洋風の城のような建物がそびえたっていた。日本にこんな場所あるんだなー・・・え、ここ日本だよね?たしか、2時間くらいバスの中だったけどその間に船に乗せられて海外なんてことないよな?と不安が募っていたとき、


『智夏君のGPSの居場所を特定したので30分以内にそちらに向かいます』

「ちなみに日本ですか?」

『日本です』


よかったー。海外だったらパスポート持ってないしどうしようかと思ったー。(ツッコミ不在)


案内に従って神田さんと会場に入る。ロビーで受付を済ませているとき、イヤホンから秋人の焦った声が聞こえてきた。


『冬瑚!待て!どこに、』

『、、に探し物、、に来たの!だから、行くね!ばいばーい!』

『冬瑚ー!?って足速すぎだろ!』


イヤホンから聞こえた会話を推察するに、秋人の乗っていたバスに忍び込んでいた冬瑚を保護しようとしたら、冬瑚が探し物探しに来たからと勝手に走りだしてしまったということだろうか。


まぁ、ね、ほら、女の子は走り出したら止まらないって言うし。もうどうにも止まらないって感じだし。仕方ない、しかたな、、くない!一体誰に似たらこんなお転婆さんになるんだ!元気はいいことだけど!


「秋人、冬瑚を!」

『もう追いかけてる!』

『作戦にハプニングは付きものです。秋人君、行ってください』

『はい!』


黒服の人が心強すぎる。これが終わったらお礼を言わなければ。


内心では冬瑚と秋人が心配で堪らないが表情には出さないように冷静を保つ。広い講堂みたいな場所に入るとそこには椅子が並べられており、壇上にはマイクと落札の時に使うであろうハンマーが置いてあった。会場にはスタッフが忙しなく出入りしており、かなりの人数が動いている気配がする。




およそ30分後、並べられた椅子がほぼ満席になったところで、オークション開始の声が高らかに響いた。


「紳士淑女の皆々様、大変長らくお待たせいたしました」


宣言をしているのはこのオークションのオーナーであり、冬瑚の父である男。沸々と静かに、だが確実に怒りが湧いてくる。


忸怩たる思いであの男を睨んでいると、イヤホンに黒服部隊の人から連絡が入る。


『お待たせしました。こちらは現地到着し、すでに周囲を囲んでおります』

「了解です。会場の見取り図は手に入りましたか?」


あの男が大きな声で話しているので、こちらも周囲に怪しまれずにコンタクトを取れている。にしてもあの男喋りすぎでは?


GPSで居場所が分かり次第、会場の見取り図を手配し、黒服部隊がそれをもとに俺をナビゲートする予定なのだ。見取り図を入手することが一番厄介と聞いていたが、うまくいったのだろうか。


『それが、極秘任務のこの作戦が外部に漏れていたのか、『スノードロップ』と名乗る者から見取り図の情報が送られてきまして。この情報が嘘のものか判断がまだついていないので、』

「大丈夫ですよ」

『え?』


極秘のはずの作戦を知っている謎の人物『スノードロップ』からもたらされた情報。黒服部隊がまだ掴んでいない情報をあっさりと提示してみせた人物。確かに怪しい。怪しいのだが、大丈夫だと確信している。


「『スノードロップ』は信用に足る人物です。その見取り図も本物で間違いありませんよ」

『・・・わかった。そこまで言うなら信じるよ』


神田さんのメアドをすべて把握していたり、なんの利益もないのに『闇オークションぶっ潰し作戦』に協力してくれたり。見取り図の情報を入手することも、その情報を黒服部隊に送ることも容易ではなかったはずだ。それなのに協力してくれるなんて、その『スノードロップ』はどこのお人好しな田中さんだろうな。





~執筆中BGM紹介~

マクロスΔより「いけないボーダーライン」歌手:ワルキューレ様 作詞:西直紀様 作曲:コモリタミノル様


こういうことには察しが良い智夏なのでした。

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