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負けたくない!

前回は投稿できずに申し訳ありませんでしたぁあああああああ!



学校祭から遡ること1か月ほど前。


ゆっくりと、しかし確実にデビューに向けて『ヒストグラマー』は歩みを進めていた。


後輩君が書き下ろしてくれた新曲を練習した日のこと。


「お先に失礼します!」

「「「頑張ってね〜」」」


後輩君が早めに練習を切り上げて走って出ていく。どうやら大きなライブのバックミュージシャンの仕事が来たらしく、その打ち合わせがこの後に入っているらしい。


天馬が寂しそうな悔しそうな表情で後輩君が出て行った扉を見ながら言った。


「なーんか、わかってたことだけどよ、すごい奴なんだな」


何事もポジティブに考えるのが信条の私ではあるけれど、たまに本当にたまーにネガティブになったときに思う。


後輩君を『ヒストグラマー』に入れて良かったのだろうか、と。


これからも後輩君が音楽に携わっていくのなら、きっと世界が彼を放っておかない。今よりもっと忙しくなる。そうしたら――


「虎子たちは足を引っ張ってるのかな~?」

「おま、怖くて誰も声に出せなかったことを言いやがって」

「でも実際みんな思ってるんじゃないの?陽菜乃はそこんとこどうなの?」


虎子も天馬もすみれも。みんな同じことを考えていたらしい。


後輩君がどんどん有名になったとき、私たちの存在が彼の重荷になってしまうんじゃないかって。


でも……、でもね。


「私は後輩君をメンバーに誘ったこと、後悔してない。そしてそれはこれからも変わらない」


あの日、後輩君を誘ったことを私は一生誇りに思う。断られても諦めずに誘い続けた私、よくやったって全力で褒めてあげたい。


――ピコン


スマホに入ったばかりの通知を見ると、それは後輩君からだった。


『もし都合が合えば、学校祭でもう一度演奏しませんか?』


ヒストグラマーの5人で作ったグループチャットに、後輩君からのメッセージ。


「それに、後輩君本人がヒストグラマーに入ったことを後悔してない」


入ったときは、私に強制されて嫌々だったかもしれない。でも、今は自分から提案してくれるほどにヒストグラマーを愛してくれている。


「だな。智夏が後悔してねぇなら俺たちがウダウダ言ってもしゃーねーな」

「智夏パイセンはほんっとに虎子たちのことが好きだよね~」

「ヒストグラマーのために曲を書いてくれるような子だもん。私たちのことを重荷に思うはずがないよね」


私たちが勝手に不安がってようが、劣等感を感じていようが知ったこっちゃない。後輩君はただ私たちを信頼しているだけ。これくらいできるだろうと。実力のその先へいけるだろうと。


「だぁからこんな難易度激ムズの曲を平気で作るんだろうな」

「ほんとに容赦なさすぎ~」

「こんなの指もげちゃうわよ」


文句をたれつつも、練習を続ける3人。後輩君の期待に応えたいっていう思いもある。信頼に見合う成果を出したいって思いも。でもやっぱり一番は……。


「後輩君に負けていられないわね!」


仲間でありライバルでもある彼に負けたくない!






――――――――――――――――――――




「みたいな感じで今に至るわ」

「全っ然わかんないですけど!?さっきの話のどこに学校祭でライブをするって話があったんですか!?」


俺の言葉が聞こえていないのかと思うほどに唐突に過去語りが始まり、てっきり俺にだけ演奏することが知らされていなかった理由を聞けるとばかり思っていた。が、最後まで聞いてもそれはわからず。


「あら?言ってなかったかしら」

「言ってないですよ」


こてん、と首を傾げる陽菜乃先輩。アレ絶対わざとだ。わざと言わなかったんだ。


「そうねぇ。言わなかったのは……その方が面白そうだったから」

「そうだと思ったよコンチクショー!」


あまりにも予想通りの答えで思わず叫んでしまった。


「……ちなみに、何を演奏するんですか?」

「そりゃ新曲に決まってるじゃない」

「うそん」


新曲を学校祭で発表するなんて前代未聞じゃないか?


~執筆中BGM紹介~

「君の神様になりたい。」歌手:カンザキイオリ feat.初音ミク様 作詞・作曲:カンザキイオリ様

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