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周りは敵だらけ

誤字報告ありがとうございます!



月曜の朝。


御子柴家では香苗ちゃんが仁王立ちをしながら、子供たちの名前を呼んでいた。


「夏くん、秋くん、冬ちゃん!」

「はーい」

「なに?」

「はい!」


三者三葉の返事を返しながら、香苗ちゃんを見る。さっきまで眠たそうにしていたのに、なんという切り替えの早さ。


「嫌なことを言われたら、きちんと言われた内容を記録して言った人の名前も覚えておくのよ。いい?」

「わかった!」


冬瑚の十八番(おはこ)、「わからなくてもとりあえずわかったって言う」が炸裂した。香苗ちゃんもそれはわかっているから、頭を撫でるだけで終わった。が、俺たち2人にはそうはいかなかった。


「夏くん、秋くん、返事は?」

「えっとぉ…」


学校でのことを家族に相談するのはちょっと気が引けるというか。学校でのことは学校でケリをつけたい。


「嫌なこと 言われる前に 口封じ」

「秋人!?なに怖いことをさらっと575で言ってるのかな!?」


しかも真顔で!より怖いわ!冗談なら冗談っぽい口調と顔をしないと……え、冗談だよな?


「ハァー。要するに、2人とも自力でどうにかしてみせるってことね。おっけー。でも、つらくなったらちゃんと言うこと。わかった?」

「「わかった(よ)」」


ドリボでの俺の処遇は現在”保留”になっている。とりあえずはファンの反応を見てから処遇を決めても遅くはない、という判断らしい。


崖っぷちなことに変わりはないが、なるようになるだろう。人間万事塞翁が馬、どっしりと構えることにしたのだ。


昨日の会議のときに俺が言い逃げしたあと、香苗ちゃんがお偉方相手に大立ち回りをしたと彩歌さんから聞いたが、具体的な内容は教えてくれなかった。


「香苗ちゃん、俺たちの心配もいいけど、息子としては自分の心配もきちんとしてほしいかなー」

「私は大丈夫!やられたら百倍返しでやり返してオーバーキルしてそれをおかずにご飯3杯食べるから!」


一番やべぇですわ。上には上がいた。


百倍返しでオーバーキルもヤバいけど、その後だ。ご飯3杯って、もうサイコパスの域に足を踏み入れてるんだよなぁ。まぁ、香苗ちゃんがそれでいいならいっか。


「それじゃあ出陣じゃー!!」

「出陣じゃー!」

「「行ってきまーす」」


女性陣が出陣する横で、登校する男性陣。それぞれの健闘を祈りながら、別れたのだった。





「よっす、しばちゃん」

「田中、おはよ。今日は珍しく早いね」


いつもは時間ぎりぎりで教室に滑り込んでくる田中が、今日は俺が校門に入る前に登校してきたではないか。


「そりゃ、昨日あんな話聞かされたら、誰だって心配するってーの」

「心配で来てくれたんだ?愛されてるなー俺」

「愛していますとも、我が親友?」


冗談に冗談で返しながら、田中と話す。いつも通りだなぁ。周りの視線以外は。


「朝からなにキモイ会話してんだよ、2人とも」

「相変わらず仲いいねぇ。おはよ、御子柴、田中」


後ろから鈴木と井村もやってきた。この2人にも昨夜、事情を話している。


「みんな見てるな」


鈴木が周囲の視線が俺に集まっているのに気づいて、剣呑な目つきになった。


「今朝、週刊誌が出たばっかりなのに、みんな耳が早いね」


今朝はまだ誰も気づかないくらいかと思っていたのに、こうも反応が早いとは。全員が週刊誌を買って読んでいるとは考えにくいし…。


「SNSでかなり拡散されてたからなぁ」

「SNSか~」


そういえばそれがあったんだった…。若者の情報伝達手段と言ったらSNSだったな。誰か一人が週刊誌を読んで、その内容をSNSにあげるだけで何十人、何百人と知ることができる世の中だ。学校中の皆が知っていると想定した方が良さそうだな。


「御子柴せんぱーい!」


男子4人で校舎に入ると、だいたいの生徒たちが遠巻きに俺を見る中で、名前を呼んで走ってくる生徒がいた。


「先週は相談に乗ってくれてありがとうございました!先輩のおかげで衣装の件、どうにか予算内に収まりそうです!」

「そっか、よかったね」

「はい!本当にありがとうございました!」


やってきたのは先週、学校祭の運営委員の庶務として相談に乗った1年生の男子だった。クラスでやりたいことが予算内で収まりきらない、と相談しに来たので経費を削れそうなところを一緒に探したり、低価格で衣装をレンタルしてくれるお店を紹介したりしたのだ。


「学校祭、楽しくなるといいね」

「~っ!はい!御子柴先輩、僕たちは味方ですからね!では、失礼します!」


目をキラッキラに輝かせながら後輩君は去って行った。


味方、か。周りは敵だらけって思ってたけど、そうじゃないのかもな。


「しばちゃーん、なにやってんのー?」

「なんでもない!今行く!」


友達じゃなくても味方になってくれる人がいる。それだけで十分だ。


……って思ってたけど。


「御子柴先輩、負けないでくださいね!」

「私は応援してるから、御子柴君!」

「頑張れよ、御子柴!」


おやぁ?味方しかいないぞ~?

~執筆中BGM紹介~

Cより「マトリョーシカ」歌手:NICO Touches the Walls様 作詞:Tatsuya Mitsumura様 作曲:Shingo Sakakura様

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