バニーガール
誤字脱字報告ありがとうございます!
読者の皆様に感謝感謝です。
海で女子陣営からの一方的な攻撃、いや、蹂躙?を受けて屍になった俺たちは言うことを聞かない体を引きずりながら会長の別荘に戻ってきた。そして広い広い庭に連れ出され、会長が言い放った一言に首を傾げる。
「お昼はみんなでBBQよ!」
びーびーきゅー?ってなんだろう?雰囲気的に食べ物の名前なのはわかる。周囲の様子を窺うとどうやらびーびーきゅーとやらの正体をわかっていないのは俺だけの様子。びーびー、BBQか。アメリカンな食べ物だろうということは想像がつく。
「御子柴パイセンは何が好きー?」
為澤が何気なく聞いた一言に冷や汗が止まらない。この和やかな雰囲気で「BBQってなんですか?」なんて聞いたら「え?こいつそんなことも知らないの?これだから陰キャは」って引かれて雰囲気台無しにしてしまう……!
「そ、そうだな……。為澤は?」
「虎子は、うーん」
よっっし!ひとまずは乗り切った!為澤に質問で返し、出方を探ることにする。為澤の答えを聞けばBBQが何者であるかわかるはずだ。
「ウインナーかな。あとマシュマロもー!」
???
……え?ウインナーとマシュマロが並ぶ食べ物なんてあるんですか?えええ!?
俺の混乱を他所に高比良先輩と会長が会話に入ってくる。
「とうもろこしでしょ」
「牛タンね。こればっかりは譲れないわ」
ウインナー、マシュマロ、とうもろこし、牛タン・・・統一性がなさすぎるだろ。一体何なんだBBQ……!!!
ジュージューとおいしそうな音が空腹を刺激する。BBQの正体はバーベキューでした。俺の知るバーベキューは肉と野菜を焼くだけのもの(ちなみに知識だけ)だったのでBBQ=バーベキューという考えに至らなかった。
「バーベキューのことですよ」
と女子たちが好きな具材で盛り上がっている隙に背後からこそっとザキさんが耳打ちしてくれた。顔には出していないつもりだったのに、さすが長年従者をやっているというだけはある。思わずキュンとしてしまった。ザキさん男だけど。
肉はあらかじめ切られていたが、野菜はそのままだったので全員で下ごしらえすることになったのだが、玉ねぎに包丁を入れた瞬間にその場にいた全員から止められた。
「どう切ったら玉ねぎが爆散するんだ」
「自分でもわかりません」
ただ玉ねぎを切ろうとしただけなのに。ものの見事に玉ねぎが粉々の塵になった。思い返してみれば、秋人に台所に入れてもらえたことないな、と今更ながら思い出す。
「後輩君、食料に近づかないでね。爆散するから」
「ひどい言われよう」
でも実際に玉ねぎは空に散ってしまったわけで、文句は言えない。大人しく皿や飲み物の準備をすることにする。
なんやかんやで下ごしらえの終わった野菜と肉が出そろい、BBQパーティーが始まり、会長が音頭を取る。
「え~学校祭のバンド演奏成功に向けて一泊二日の『チキチキバンド合宿~とりま協調性を身に着けようぜ~』を企画し、今日という日をを迎えられたこととても嬉しく思い、」
「「「かんぱ~い!!!」」」
「おーい!君らのリーダーまだ喋ってるでしょうが!協調性を身に着けるという目的早速見失ってるよ!!」
「いやいや、一条以外の全員が息ぴったりだったろうが。協調性の塊だったろうが」
あ、肉うまい。これ絶対高い肉だ。ぐはぁ~高級肉が五臓六腑に染み渡る~。
「後輩くーん!」
「うおっ!?」
後ろからいきなり衝撃が。どうやら背中に会長が突撃してそのまま張り付いたようだ。
「お姉さんは傷ついたー!慰めてくれる?」
「会長、離れてください」
「後輩君が冷たいよー。こうなったら陽菜乃って名前で呼んでくれるまで放してあげない!」
会長の 双丘が背に あわわわわ
混乱しすぎて5・7・5になってしまったが、現状はその通りである。ぎゅうぎゅうと後ろから容赦なく抱き着いてくるため、当たっているのだ。なんだっけ、会長さっきなんて言ってたっけ?世界が平和になったら放してくれるって言ってたっけ?
思考がおかしくなりかけていたときに俺の目の前に救世主が現れた。
「お嬢様、何をなさっているのですか?」
ザキさんんっ!助けて!ヘルプミー!!
「掴むなら手は前に回して……そう!そうですお嬢様!シャツをキュッと掴む感じで!!」
「ちょっとザキさん!?会長もなんで馬鹿正直に手を前に回してるんですか!!」
手が前に回り、両腕で会長に抱きしめられる形になってしまった。ヤバいヤバい。さっきより密着面が多いっ!
「ひ・な・の!」
「陽菜乃先輩!離してください!後生ですから!」
「あらー?こんなところで来世を掛けちゃっていいの?」
ぱっと両手の拘束を外して俺の正面に来た会長、いや陽菜乃先輩が楽しそうに笑っている。
「来世の俺がきっとなんとかしてくれます」
「なんだそりゃー」
頑張れよ、来世の俺!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うん!だいぶ良くなってきたよ!」
合宿二日目の最後の音合わせで、ようやくある程度納得のいく演奏ができた。
「ちょっと時間余っちゃったねー」
高比良先輩がアンティークショップに売っていそうなオシャレな腕時計を見て言った一言に、陽菜乃先輩がそわそわしだす。
「あ、あの。みんなちょっといいかな?」
「あんだよー?」
西原先輩が近くに置いていたタオルを拾ってガシガシを頭を拭きながら言葉のキレの悪い会長に聞く。
「私、憧れのバンドの曲があってね。そのパルヒのバンドの曲を・・・」
「あーあれかーでもあれって確か」
「キーボードがいませんよね」
西原先輩の言葉に続く。俺がアニメにどっぷりとハマった原因であるパルヒ。その劇中歌にキーボードは非常に残念ながら含まれていない。
「大丈夫!後輩君ならいい感じに弾ける!でしょ?」
「そ、うですね」
あんなにキラキラした目で見られたら断れない。
「それに楽譜もないから各々記憶を頼りになんとなくでよろしく!」
「「「はーい」」」
どうやらこの場にいる全員、パルヒを嗜んでいるようで、知らないという声は聞こえてこなかった。さすがパルヒ。
演奏は無茶苦茶だったけど、めっちゃ楽しかった。勢いで陽菜乃先輩がバニーガールの衣装を着たくらいには盛り上がった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あーもしもし?満開アニメーションの佐藤だけど。明日10曲持ってきて。それじゃ」
ツーツーツー
9月までに10曲って言ってたよな?まだ2週間ありますけど?ていうか何故俺の電話番号を?は?はぁぁぁああああ!?
「あんの贅肉野郎がー!!!!」
~第11回執筆中BGM紹介~
Angel Beatsより「My Soul, Your Beats!」歌手:Lia様 作詞作曲:麻枝准様
今回は読者様からのおススメでした!作者も大好きKey作品!