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はは~ん



「なぁ、御子柴。俺はどうしたらいいと思う?」

「そうだなぁ…」


井村からの恋愛相談を受けて、真剣に考える。彼女のために彼女に内緒でバイトをしているけど、そのせいで彼女と喧嘩中。それなら――


「彼女にバイトをしていることを話したら?」

「バッカお前、それだと今までの努力が水の泡じゃんかよ。それにサプライズで渡す予定だってのに」

「でも、話さなかったらいつまでたっても仲直りできないぞ?」

「うっ…。それは困る。けど…」

「井村、一回彼女の気持ちになって考えてみなよ。付き合って3周年を目前にして急に付き合いが悪くなった彼氏がこそこそ何かしてるんだぞ?それも自分に内緒で。そりゃ浮気も疑うって」

「言われてみればたしかに…」


井村がようやく自分が彼女からどう見えていたのか気づいたらしく、ハッとした。


「それに、何も教えてくれないのは、不安だよ…」


彩歌さんも俺も、自分のことは聞かれないと話さないタイプだから、たまに不安になったり逆に不安にさせたり。そのたびに言葉の必要性を身に染みて感じるのだ。


「案外、他人の気持ちなんてわからないもんだよ」

「俺ら付き合って3年も経つのに?」


いや、年月は関係なくない?たかだが3年ぽっちで何がわかるというのか。


「そんなこと言ったら、俺は弟を生まれたときから見てるけど、何を考えてるかなんてよくわからんよ」

「それはそれでどうなんだ」

「何を考えてるかわからなくても、弟は可愛いから」

「うわっ、出たブラコン」

「虫みたく言うな」


今日は購買で買ったパンを頬張りながら、井村の恋愛相談をしている。ちなみに田中と玉谷ともとやんの3人は食堂に食べに行った。


黙々と昼食を食べていた鈴木が突然立ち上がった。


「ちょっとお花を摘みに行ってまいりますわ!」

「宣言しなくていいからさっさと行ってきなよ」

「御子柴が冷たい~」


いつも通り騒がしい鈴木を見送る。


井村は自販機で買った牛乳パックを飲み干すと、決心したようだった。


「ありがとな、御子柴。彼女にバイトしてるって話すことにした」

「そっか。早く仲直りできるといいな」

「あぁ。お前もな」

「いや、俺は喧嘩してないし」

「やっぱお前、彼女いるんだな」

「……ゑ。な、なななななんなのことだか、さっぱりわかかかかかんないな」


なんだいまの!?これが世に聞く誘導尋問ってやつか!くそっ、油断してた!


「誤魔化し方が致命的に下手くそだな、おい」

「hf&alu#e$nflas?!」

「まぁ落ち着けって。誰にも言いふらしたりしないからさ」

「……………助かる」


自分の軽率さに頭を抱えながら、礼を言う。そんな俺を見て、井村が良い笑顔で追及してきた。


「なんで秘密にしてたんだ?」

「ドリボの社長と向こうの社長さんのご意向というか、向こうに迷惑をかけないようにというか…」

「はは~ん。つまり、彼女さんも業界の人ってことだな?」

「ぬあぁぁぁぁああああ」


またやっちまった…。この口は羽のように軽いね!自分でもびっくりですわ!


「で、御子柴の彼女って誰よ?」

「い、言わないです…」

「聞いてくれよ鈴木~!もぎゃぅ」

「うわぁぁあああああ!」


言いふらす気120%の井村の口を咄嗟に塞いで、周囲に井村の声が聞こえないように自分の叫び声で覆い隠す。


井村の視線の先には鈴木が………いなかった。


教室で昼食を食べていた他の生徒たちが一瞬驚いたように俺たちを見たが、すぐに自分たちの会話に戻っていった。


「騙したな!」

「いや別に?」


抗議の視線を送ったが、どこ吹く風だ。いったん気持ちを落ち着かせようと、腰を下ろす。


「彼女が誰なのか教えてくれたっていいだろ?な?」

「なんでそんなに知りたがるんだよ?」

「興味本位」

「なおさら言いたくない」

「うそうそ、冗談だって。本当はダブルデートがしたいんだよ!」

「ダブル、デート…?」


ダブルデートって、あの、あれだろ?恋愛アニメでよく見る、2組のカップルが同時にデートするドキドキイベント…。


「あのダブルデート?」

「ダブルデートはダブルデートであってダブルデート以外の何物でもねぇよ」

「井村の彼女の許可は取ってんのかよ?」

「この前、ダブルデートがしてみたいって言ってたんだ。俺と彼女の仲直りのためにも頼むよ!」

「………わかった。聞いてはみるよ」

「よっしゃ!」


そんないきなり知らない人たちとダブルデートしませんかと聞かれて彩歌さんが来るわけ……



~執筆中BGM紹介~

最遊記RELOAD-ZEROIN-より「流転」歌手・作詞・作曲:仲村宗悟様

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