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壁ドンという文化

前回の前書きでもとやんだけ書くの忘れてました。もとやんごめん!

【シータ(Θ)】もとやん



雰囲気に流されて田中の後について行こうとして、ふと我に返った。


「次行くって、もしかして外だったり?」

「…そうだな」


つまり、顔だけ女の状態で街を徘徊しろと…?


「…」

「あぁっ!?」

「ぷぎゃぁ!」

「はぅあっ!」


金髪のカツラをむんずと掴んで思いっきり外した。田中と深凪ちゃんと玉谷の悲鳴が聞こえたが気にしない。


「なんで取っちゃったんだよ~。金髪似合ってたのによ」


なるほど。田中はそんなにコレが好きなのか。


「そんなに金髪が好きなら、ほら。あら~お似合いですよ」

「げぇっ!?しばちゃんの神クオリティの後に俺にカツラを被せんなよ!」


ふっ、これで少しは俺の気持ちがわかったか。超恥ずかしいんだぞ。


ちょっとした仕返しのつもりで田中にカツラを被せてみたが、本人は口では怒りつつも鏡に映る自身の新たな姿を見て楽しそうにしている。もしかして俺、友人の新たな旅立ちに一役買ってしまったかも…。


「ぶふっ!田中、意外と似合ってやんの!写真撮ってやろうか?」

「…そうかそうか。そんなに羨ましいか」


田中の即席女装に堪えきれなくなったように笑う玉谷に、田中の猫みたいな目が鋭く光った。その目はまさに、獲物に狙いを定めた猫そのもの。


「しばちゃん!」

「おうよ!」

「おい御子柴!?や、やめろ!!」


玉谷の背後に素早く移動し、羽交い絞めにする。その隙に田中が玉谷の頭に金髪を装着した。


「グハハッ。玉谷なんてただの金髪ゴリラじゃねぇか!」


田中が魔王のような笑い方をしながら玉谷の姿に笑ってたが、笑われた本人はふらふらと鏡の方に歩いて行き、右手を自分の頬に、左手を鏡についてうっとりと呟いた。


「これが、俺…?」

「「「…」」」


新しい扉が開くどころか、扉をタックルで粉々に粉砕して突き破って行ってしまったんだが。


「田中、お前責任取れよ」

「どう取れと!?」

「兄上殿、諦められよ」

「なにを諦めろと!?」


平穏無事な人生、とか?








結局、俺にカツラを被せメイクを施したのは手の込んだイタズラだったようで、深凪ちゃんがきちんと髪をセットしてくれた。


「この髪型ってなんていうんだ?」

「…?……センター分け?」


まぁうんとりあえず、複雑すぎず、かといって自分ではやりそうにない絶妙な髪形にしてくれた。メイクは勿論落としました。







「ねぇねぇねぇ!あの人超カッコイイんですけど!」

「モデルさんかな?」

「キャー!こっち見た!」

「あたしと目が合ったわ!」

「違う、私と目が合ったのよ!」


女性特有の甲高い声が嫌でも耳に入ってくる。


「田中、俺はどこを見て歩けばいい…?」

「知らね」

「御子柴に視線が集まりすぎて俺らは風景みたいに扱われてるな」


隣を歩く田中と後ろを歩く玉谷にとっては所詮他人事のため、暢気なものである。


「後ろのノッポ邪魔なんだけど!」

「壁かっつーの!」

「縮め!」


…こういう容赦ない人ってどこにでもいるよな。聞こえていないとでも思ってるんだろうか。


「壁は人間の文化には欠かせないものでありますから、そう落ち込まないでくだされ。玉谷殿」

「そうそう。古来より日本には壁ドンという文化があってだな」

「それ古来からの文化じゃなくね?」


次の行き先とやらに向かっている間、注目を集めつつも友人らとの他愛ない会話で楽しい時間を過ごした。


10分ほど歩き、着いた先は聞いたことのない店名のお店だった。外から店内は見えないようになっているようで、何のお店なのかもわからない。


「さっきの作戦が花束作戦なら、これは何作戦なんだ?」

「「「友達2号のために衣装を用意したのよ作戦」」」

「おけ。誰が作戦名を考えたかはわかった」


姫だな?姫だろ。俺のことを友達2号なんてへんてこな呼び方をするのはあいつしかいない。


「先に入ってくれ」

「へ?」

「俺たちはしばちゃんの後に入るから」

「え、怖いんだけど。入った瞬間に水をぶっかけられるとかないよな?」

「せっかく髪形をセットしたのにそれはないでありまする」

「そんなイジメみたいなことはないから安心して入れって」


玉谷に背中を押されて渋々扉を開けて店内に足を踏み入れる。入った瞬間に落とし穴があったらどうし、


「「「いらっしゃいませ、ご主人様」」」


ふりふりのメイド服を着た穂希と姫、そして執事服を着たもとやんが綺麗なお辞儀をして出迎えてくれた。


「まさか、この挨拶の為に俺を先に行かせたのか?」


俺の後ろからぞろぞろと入って来た3人に聞いてみると、揃って首を縦に振った。


水をかけられるとか落とし穴とか最初から危ない方向に疑ってかかってた俺がバカみたいじゃん。恥ずかし!疑ってごめ、


「師匠、さっき田中から師匠が金髪の女性になった写真が送られてきたのですが…」

「もとやん、しーっ!」

「……田中?ちょっと、おもて出よっか」

「ごめんて。だから、そんな指バキバキ鳴らさないで?ね?そんな怖い笑顔向けないでー!ごめんってば!」


許さぬ…!


「この恨み、晴らさでおくべきか!」

「いぎゃぁー!!」


~執筆中BGM紹介~

BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-より「OVER」歌手:Little Glee Monster様 作詞:KOUDAI IWATSUBO様 作曲:KEN for 2SOUL MUSIC Inc.・Philip Woo・kyte様

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