甘やかしたくもなる
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アニメのタイトルには確かに”戦争”の文字が入っているけれども、現実世界でも戦争勃発しようとしてるよ。
「一体どうしたん、」
バチバチに火花を散らしている大人たちに事情を聞こうとして、
「では、解散!」
またしても遮られた。これは俺の発言するタイミングが悪いのか?
考え込んでいると、さっきの険しい表情から一変、いつもの朗らかな笑みを浮かべた香苗ちゃんがやって来た。
「夏くん?なにをそんなに落ち込んでるの~?」
「タイミングについて悩んでました」
「うんうん。タイミングって難しいよね。ツッコミのタイミングとは、ボケの間合いとかさ」
ボケの間合い、とは…?俺はいま、ボケの達人に話を聞いているのか?
「みみみ、みこしゅば、にゃん!」
「「はい」」
みこしゅばにゃん…。
名前らしきものを呼ばれた気がしたので返事をすると、同じ「御子柴さん」が隣で反応した。
「ひょー!!ごめんなっっっさい!女性の御子柴さん、です!」
ひょー、って。そんなムンクの叫びみたいな顔で。それに俺はお呼びじゃないようだし、氷雨さんたちに挨拶してこっと。
「氷雨さん!」
「もう終わり…?早いのね」
まだ眠たそうにしている氷雨さんにすかさず佐久間さんがツッコむ。
「氷雨はほとんど寝てたやん!」
「寝ながら聞いてたわ」
「嘘おっしゃい!」
「嘘じゃない。さっきの話だってちゃんと聞いてた…。そうだ、ドリボの御子柴さんってご家族なの?」
ドリボに御子柴は俺と香苗ちゃんの2人だけ。つまりは香苗ちゃんのことを聞いているのだろう。
「はい。家族です」
「そう。どおりで似ていると思った」
「へぇ!家族やったん!」
「我は知っていたでありますぞ!」
AFLOさんに話したことあったっけ。覚えてないけど、AFLOさんは元はドリボのメンバーだったし、知っていても不思議じゃない、のか?
ていうか香苗ちゃんと俺って似て……る?
「かな…御子柴さんと俺、似てますか?」
「顔はあんまり似てない。2人とも綺麗な顔立ちなのは間違いないけど。でも、似てる」
「?」
似てないけど、似てる?
俺がずっと不思議そうな顔をしているのを見て、氷雨さんが寝惚けた目をこすりながら教えてくれた。
「2人とも、頼りたくなるような、甘えたくなるような雰囲気を醸し出してる」
あまりにも優しい表情で氷雨さんが言うもんだから、照れくさくなってしまった。居心地が悪くなって、視線を少し逸らしていると、氷雨さんから不穏な言葉が出てきた。
「でも、ベタベタに甘やかしたくもなる」
「あ~それわかるわ!」
「我もそう思うときがありますな」
「え」
なにそれ怖い。俺は甘やかされるより甘やかしたいんだ!秋人だって冬瑚だってそれはもうドロドロに甘やかしたいし、彩歌さんに至ってはもう、甘やかし倒したい………何言ってんだろ、俺。
「それじゃ、次のミーティングのときにでも会おうでござる!」
「なんでAFLOが仕切んねん…。ほな、また会おな」
「寂しかったら電話してもいいのよ……出るかはわからないけど」
「わからないんですね。寂しくて電話することはないので安心してください」
「「「え~」」」
いや、そんなに残念がられても…。うっ、謎の罪悪感が襲ってきた…!
「作曲で行き詰まったら、電話するかも……です」
「ばっちこいよ」
「じゃんじゃか電話しい!」
「3コール以内に出るであります!」
いやいや。みなさんお忙しいのに何言ってんだか。
「いえ。忙しかったら出なくても全然いいです」
「末っ子がドライ」
誰が末っ子じゃい。
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4チーム合同の初顔合わせから数日…。
「みなさんお久しぶりですー。今日は初めて主要声優、スタッフ全員揃っての魔人族チームのミーティングを始めますよー」
『四界戦争』において、ドリボ内でのミーティングは数回行われていたのだが、声優さんたちも含めて魔人族チームの制作陣が揃うのは初めてのこと。香苗ちゃんの自己紹介が終わり、作画監督たちの自己紹介が終わり、ついでに俺に自己紹介も終わって、最後に声優陣の自己紹介の番になった。
「どうもー!横浜真澄です!みんな俺に惚れちゃ、ダ・メ・だ・ぞ」
「「「…」」」
「御子柴くーん助けて!!」
「俺に振らないでください」
ここでようやくドッと笑いが起きたのだが、俺を巻き込まないで欲しい。切実に。だって横浜さんの俺を見る目が、なんかこう………縄張りに入って来たライバルを威嚇する肉食獣みたいな。力量を図られているかのような…。
「これからよろしくお願いします!」
俺を見ながらこれを言うのも含めて、全部が得体が知れない。
~執筆中BGM紹介~
15周年 コードギアス反逆のルルーシュより「DICE」歌手:FLOW様 作詞・作曲:蔦谷好位置様




