訂正してお詫び申し上げます
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日も落ちて周囲が薄暗くなってきた土曜。
ドリボの第2スタジオの休憩スペースでじろぴょんこと赤川さんと声優の多田さんと茂木さんに話を切り出す。両手で苦すぎるブッラクコーヒーの缶を持って、話を切り出す。
「その知り合いにはとっても可愛い彼女さんがいて、仲の良いか…カップルだったんですけど」
普通なら仲の良いカップルって自分で言うのは照れるを通り越して恥ずか死するレベルの羞恥心なのだが、今は知り合いの話として3人に話しているので大丈夫だろう。……バレてたら確実に恥ずか死するけどな!
「俺の知り合いが女子に囲まれてるのをその可愛い彼女さんが見てしまって、えと……怒ってしまって」
怒った彩歌さんを思い出して腹の奥がズーンを重くなるような感じがした。
「嫉妬だな」
「嫉妬!?」
「嫉妬ですね」
嫉妬だと確信しているじろぴょんと茂木さん、そして「嫉妬って現実に実在する感情だったんですね」と言っている多田さん。うん、相談できそうなのはじろぴょんと茂木さんの2人かな。多田さんは俺が言うのもなんだけど、鈍感属性を持っているよね。
「知り合いとその彼女が仲直りする方法を、お2人にアドバイスしてもらえたら、と思いまして…」
「2人?御子柴さん?なぜ自分の方を見ないんですか?自分は戦力外ですか!?」
「すみません言い間違えました3人です。訂正してお詫び申し上げますので離れてくださいぃぃいいやぁぁぁああああ!!!」
鼻チューはしたんじゃないかと思うくらいの距離だった。反射的にブラックコーヒーをぶん投げなかった俺の理性を褒めてほしい。
「御子柴君の知り合いのカップルは付き合って1年たつ?」
「いえ、まだです」
付き合ったのが12月1日だから…今が4か月目だ。付き合っていることを隠しているせいで思うようにデートもできていない。けど、普通とは違う形でも、彩歌さんと一緒に過ごせるなら今のままでも良いと思っている。
茂木さんがまずは俺に付き合っている期間を聞いて、次にじろぴょんに話を振った。茂木さんこそ頼れる兄貴肌なんだよなー、としみじみと思う。
「赤川さんは奥さんに嫉妬されたらどうしてました?」
「そんな昔の話は覚えていない、と言いたいところだが、そうだな…。花を贈っていたな」
(((花!?)))
まさかじろぴょんの口から花なんて言葉が出るなんて!ブッラクコーヒー3人衆の心が一つになった瞬間だった。
「妻の名前が花の名前でな。あいつは花が好きなんだ。後はなるべく時間を作って一緒に過ごしたり、だな」
「素敵ですね」
「世辞はやめろ」
「本心ですよ」
じろぴょんが花を持って奥さんに会いに行ってたとか、想像しただけでギャップ萌え。それに、一緒にいる時間を増やした、という経験談は為になる。
次に多田さん……はいいか。茂木さんに話を聞こう。
「茂木さんはどうですか?」
「俺の奥さんはすんごいクールな人でね。普段は全然甘えてくれないんだ」
そもそも茂木さんが結婚していたこと自体初耳だったので内心驚いたが、それよりもいきなり惚気られたことに面食らってしまった。
「でも、不安になったりすると自分から甘えてくれるんだよね。それがもう可愛いのなんの」
「へー」
茂木さんの話はあんまり参考にならないな。
……まぁ、最後に一応この人にも聞いてみるか。
「多田さんは…?」
「自分は女性と付き合ったことがないです!」
「正直にありがとうございました」
ということで3人に話を聞いてみたが、まとめると彼女との時間を設ける、が一番いいのかもしれない。
こういうのは放置するのは良くない。だから早く、早く彩歌さんに…
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彩歌さんに会わないと、と思って数日が経ってしまった。
「ハァ―ーーーーーーーーーーーーーーー」
「しばちゃんの本日38回目のため息頂きました~」
全部数えてんのかよ、とツッコむ気力もない。ドリボでじろぴょん達にアドバイスをもらった後、すぐに彩歌さんに電話をかけていつ会えるか聞いてみたのだが、全然予定が合わなかったのだ。この時の電話だってどこか他所他所しいというか。気まずかったし。
「ハァ―ーーーーーーーーーーーーーーー」
「39、」
ピーンポーンパーンポーン
『3年A組、井村、鈴木、田中、玉谷、御子柴。1年A組、田中、真壁、御手洗。至急職員室に来るように』
ピーンポーンパーンポーン
「俺、職員室に呼び出されたのって初めてなんだけど」
「嬉しそうにすんなよ!どう考えても怒られるやつじゃんこれ!」
怒られる?はて?なんかしたっけな…?
~執筆中BGM紹介~
無彩限のファントム・ワールドより「純真Always」歌手:田所あずさ様 作詞:結城アイラ様 作曲:堀江晶太様




