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太陽、青空、そして

ブックマーク登録ならびに評価、ありがとうございます!




夏休みに相応しい太陽、青空、そして白いワンピースの美少女・・・ってそんなわけあるかーい。


「あ、間に合ってますので」


そう言って玄関の扉を素早く閉める。すると男物の靴が扉の間に挟まれた。そして手が滑り込み無理やり開かれた。いや怖すぎだろ、どこの取り立て屋だよ。


「御子柴様、おはようございます。本日はご機嫌麗しく、」

「ないわ!たった今ご機嫌が急降下しましたよ!」

「朝から元気だね御子柴智夏君。そんな君はやっぱりバンドでキーボードをすべきだよ」

「お断りします」


そもそも陰キャの俺はバンドのメンバーポジションではなく、体育館の隅でバンドの演奏を見てリズムに合わせて少し体を揺らしたら「何あの陰キャ、キモッ」って言われるポジションである。なんか、言ってて悲しくなってきた。


「夏くんどうしたの?お客さん・・・って女の子連れ込んでる!どうしましょう、私の夏くんがいつのまにか大人の階段をフルスロットルで駆け上がってる!?」


なんていうタイミングで登場するんだ香苗ちゃん。しかも一人で想像の羽を伸ばしに伸ばしている。説明が非常に面倒くさいことこの上ない。もともと俺はツッコミ担当ではないし。いっつも田中がやってくれてたし。あぁ空が綺麗だなぁ。


「兄貴どーした・・・なにこれ。どういう状況?」


たまたま廊下を通りかかった秋人が困惑している。それもそうだろう。遠い目をして空を見上げる俺と、ニコニコ笑う生徒会長、どこからか取り出した一眼レフで会長の写真を取り出す執事男子、そして「もしかしてずぶずぶの三角関係なの!?きゃー」と叫んでいる香苗ちゃん。脳が目の前の状況を処理しきれなくても無理はない。


「兄貴は現実を見て!そこのワンピースの人と変な人はお客さんならうちに入って!香苗さんは一回口閉じて!!」


鶴の一声な秋人のツッコミ。ノンブレスでツッコんでみせた。プロの仕事である。







玄関からリビングに移動し、腰を落として話をする。


「学校祭でバンド演奏をしたいのです。そのために、彼には力を貸してもらいたいのです」

「へぇ~バンドかぁ。私も昔やったなー。青春だね」

「えぇ今でも桜宮高校では語り継がれています。伝説の生徒会長、御子柴香苗さん。お会いできて光栄です」

「やーだ伝説だなんて恥ずかしい」


とか言いつつ満更でもなさそうだ。


「香苗ちゃんとヨシムーが昔やったっていうバンドのこと?」

「そうです。当時生徒会長だった御子柴さんが披露したバンド演奏。全校生徒が体育館に押しかけ、それはもう凄まじい盛り上がりだったと」

「全校生徒は言いすぎだよー多分」


去年も生徒同士でバンドを組んで演奏はしていたが、集まっていた生徒は精々50人くらいである。


「私は御子柴さんのような、いいえ。御子柴さんを超えるような演奏をしたいんです。そのためにも力を貸してほしいの。お願いします」

「い~よ~」

「え、香苗ちゃん?」


頭を下げる会長に軽く答える香苗ちゃん。


「だってこーんな可愛い女の子に頼まれたら、男の子は断れないよね?夏くん」


何度も断ってるんですが。


「それに、夏くんにも青春してほしいしね!」

「ありがとう!御子柴智夏君!では明日から学校の音楽室で君を待っているよ!」


そう言い残して風のごとく二人は去っていった。え、俺の意思は?


「香苗ちゃん、社長に聞かずに決めて良かったの?」

「いーのいーの。それより、勝手に決めてごめんね?」


急にしおらしくなった香苗ちゃんの姿を見ると、何故か罪悪感が。


「俺もちょっと意地になってたし、香苗ちゃんが決めてくれて良かったのかも。それに、」

「それに?」

「パルヒからアニメにハマった身としては、一度は学校祭でバンド演奏してみたいよね」

「夏くーん!!」


ハグの体勢に入った香苗ちゃんを見て、ひょいっと避ける。


「なんで避けるの、夏くん」

「夏だから?」


暑いよね、夏。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「学校祭でバンド演奏することになった!?」

「そんなに驚かなくても」


会長たちが家に来たその日にドリボに香苗ちゃんと向かい、社長に学校祭でバンドをすると言ったら驚かれた。


「それってつまり、夏休みの間はバンドの練習で学校に行くということだろう?なんということだ・・・」

「どうしたんですか?」

「今日、満開アニメーションの監督がうちに来て」


満開アニメーションとは、ドリボのようなアニメ制作会社の名前である。


「『春彦』を貸してほしいと言われたんだ」

「もしかして」

「私はそれを受けた」


どいつもこいつもなんで人の意見を聞く前に決めるんだ。だが引き受けてしまったものはしょうがない。


「何月スタートのアニメですか?」

「10月スタートの全12話の1クール」


残り3か月か・・・。


「タイトルは?」

「『最後の恋を、君と。』高校生が主人公の恋愛アニメだ」


RENAI、れんあい・・・恋愛!?


「ええええええっ!?」

「うるさい。人気小説のアニメ化だ。期待値もかなり高い」


驚きはしたけど、挑戦してみたい気持ちもある。けど、バンド練習と同時進行できるかどうか。いや違う。できるかどうかじゃない、やるんだ。大丈夫、俺ならできる。一週間で曲を作ったこともあるくらいだ。大丈夫。


「やります。やらせてください。学校と仕事、両立してみせます」

「よく言った!それでこそ春彦だ!」


社長にバシバシ肩を叩かれた。衝撃がすごい。そしてこのときいつもなら率先してはしゃぐ香苗ちゃんが妙に静かだった。




~本日の執筆中BGM紹介~

進撃の巨人より「Call of Silence」歌手:Gemie様 作詞:cAnON.様 作曲:澤野弘之様


みなさんのおススメの曲もぜひ感想欄にて教えてください!ドラマのBGMでもなんでも大歓迎です!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 社長に叩かれて痛いとあるけど 無痛症治ったんだっけ 見逃してたかな それとも気分的に痛い的な?
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