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\(^o^)/

球技大会編終了!次回からはお仕事とバレンタインがやって来ます。




顔面キャッチや乱闘騒ぎなど色々あった2日間の球技大会だが、終わってみればあっという間だった。そして今、球技大会の結果発表が始まる。


「ソフトボール男子1位、A組。同じく女子一位、A組。代表者は前へ」


チームの代表である玉谷と、女子の代表であるエレナが賞状を受け取りに行く。そのままエレナは賞状を持って俺たちに見せてくれたが、玉谷はB組の気になる子に目が吸い寄せられている。あぁ!賞状がくしゃってなってる…!


まずは球技大会一日目の表彰が終わり、次いで今日のドッヂボールの表彰に入る。


「1位、C組。2位、E組。3位、A組、B組。代表者は前へ」


乱闘騒ぎでどっちも失格になってもおかしくなかったが、当事者のカンナとエレナが審判の先生に必死に頼み込んだらしく、乱闘騒ぎ直前に内野に残っていた人数で勝負したところ、同数だっため両クラス3位という結果になった。ちなみにあの腕相撲も決着はついてないらしい。


A組代表として出たのは井村。エレナの陰に隠れていたが、井村も割と活躍していたのだ。というか大抵の人は俺より活躍している。結局まともにボールを取れたのなんて3回ほどだし…。体鍛えようかな。


「それでは球技大会の総合優勝の発表に入る。見事1位の座を勝ち取ったのは……」


勝ち取ったのは…?








「と、いうことで~A組総合優勝を祝して!かんぱーい!!」

「「「かんぱ~い!!!」」」


カキン、カキンと近くの人とグラスを鳴らす。


「まさかお前らほんとに優勝するとはな~おかげで財布が空っぽだぞ」

「でもさ、ヨシムーがお金を使う人っていないわけじゃん?ならこうして俺たち可愛い生徒にお金を使った方が良いと思うんだ」

「はぁああ?俺に彼女がいないって言いたいのか?」

「いないでしょ」

「いないとも。まだ」

「まだ~?」


肉を焼きながら先生と生徒の会話を聞く。吉村先生の「まだ」って言ったあたりに本気を感じたというかなんというか。


それにしてもこいつら、と周囲に座る男性陣を恨みがましく見る。


「お前ら自分で肉を焼けよ」


俺が焼いた肉を片っ端から食べて行ってしまうのだ。おかげで箸を握る暇もなくトングで肉をせかせか動かしている。


「え~?俺食べる専門だからさ」


とたった今焼けたばかりの肉をさらって頬張る鈴木。


「肉焼くのへたくそなんだー。ごめんな」


と謝るわりには肉を口に詰め込んでいる井村。


「傷心中なんだから許してくれよ」


お前は傷心中じゃなくてあの子に胸キュン中だろ玉谷。


「しょうがねぇ。次は俺が焼くからしばちゃん食べな」

「田中…」


お前って実はいいやつだよな。


「さすが長男なだけある」

「御子柴もたしか長男だろ?やっぱ弟妹がいるとしっかりすんのかねぇ?」

「いや、俺は次男だけど」

「へーまじか。てことは男3兄弟?」

「いや、妹もいるから4兄弟だけど」

「「「4兄弟!?」」」


そんなに驚くことだろうか。でも確かに周りで4兄弟っていないけど。でももっと多い人が隣にいますけど?


「田中は6人兄弟だよ」

「「「6人兄弟!?」」」

「俺、妹、弟、妹、弟、弟」

「妹居るのは知ってたけど、まじか」

「まじです。だから田中の背中の言葉は”シスコンとブラコン”にすべきだったんだよ」

「うわぁ~。完全にミスったわ、ごめん田中!」

「俺はしばちゃんと違ってシスコンでもなければブラコンでもねぇよ」


ジュージューと腹を刺激する音を立てながら焼けた肉を俺の取り皿に入れてくれる田中。こういうところがお兄ちゃんなんだよな~。


「へぇ?じゃあ妹ちゃんが彼氏連れてきたらどうするんだ?」

「彼氏なんてまだ早い!」

津麦(つむぎ)ちゃんまだ小2だもんな」


田中の妹の津麦ちゃんは冬瑚と同じ小2だ。冬瑚がもし彼氏を連れてきたら…連れて、きたら……


「冬瑚に彼氏はまだ早い!」

「御子柴までどうしたんだよ」

「小2の津麦ちゃん?だっけ。その子は下の妹ちゃんだろ?上の妹ちゃんはいくつなんだよ?」

「あぁ?中3だけど」

「中3なら彼氏の1人や2人いたっておかしくないだろ」

「2人はおかしいだろ」

深凪(みなぎ)に彼氏はまだ早い!」


そうだそうだ!中3で彼氏は早いぞ!


「田中、お前は立派なシスコンだよ」

「なぁなぁ。深凪ちゃんって…」

「おい鈴木。俺の妹に手を出してみろ。そのときはお前の***(ピー)###(ピー)して\(^o^)/(ピー)するぞ」

「こわっ!」


なるほど、人を脅すときはこうすればいいのか。それなら……


「田中」

「なんだよ?」

「クリスマス前に、うちの可愛い冬瑚と駅前に行ってたよね?あれなんで?ねぇなんで?」

「うぇっ!?クリスマス前だろ……えっと、そうだ!サンタさんへのお礼のクッキーを買いに行ってたんだよ。津麦と征義(せいぎ)も一緒に!」

「なんだ、そういうことだったのか。それなら礼を言わないとな。ありがと」

「お、おうよ」


それから兄弟について男5人で語り合っていると、酔っ払いみたいなやつに絡まれた。


「なぁに男5人で固まってんのよぉ~。女の子に絡みなさいよぉ」

「エレナ。まさかジュースで酔ってんのか?」


真っ白な肌がほんのり火照(ほて)って、まるで本当にお酒に酔っているみたいだ。


「酔ってないもん」

「それ酔っ払いのセリフだぞ」

「ん~っ!チーちゃんが冷たいわ!」

「うわぁ!」


後ろから突進されたと思ったら眼鏡を取られてしまった。小さな子供の相手をしているみたいだ。


「エレナ、それ返して」

「やだ!」


相手をするのも面倒くさくなってきたので座り直して、田中が焼いてくれた肉を食べていると、エレナが俺の前髪をいじってきた。


「チーちゃん動かないでね」

「俺で遊ぶなよ」

「動いたらチーちゃんの恥ずかしい話バラすから」

「……はい」


石の如く動かずに固まっていると、面白がった女子たちが周りにやってくる。


「ねぇこれ付けてみてよ」

「私シュシュ持ってるよ~」

「編み込みもいいんじゃない?」


シュシュ…?編み込み…?俺の髪は一体どうなってるんだ。







「ただいま~」

「夏兄おかえ…り……」

「冬瑚?」

「夏兄が夏姉になった」


結局、女の子みたいな髪形にされてしまった。焼肉屋を出るときに髪を解こうとしたのだが、複雑怪奇な髪形過ぎて自分ではどうすることもできなかった。女子は「可愛い」しか言わないし男子は「…これで男?うそだろ?男ってなんだっけ?」なんてわけのわからないことを言っているし。


「冬瑚、これ解ける?」

「えぇ~解けるけど、その前に香苗ちゃんに見せに行こう!」

「絶対からかわれるやつだコレ」


案の定、その日の御子柴家は香苗ちゃんの笑い声が響いていた。



~執筆中BGM紹介~

言の葉の庭より「Rain」歌手:秦基博様 作詞・作曲:大江千里様

雨の時期ですね~。

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