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自分から取りに行け

今回男子祭り。女子が一人もでません。次回は女子も出ます。多分。



球技大会1日目当日。憎らしいくらいに快晴だ。


桜宮高校の球技大会1日目は男女別に屋外でソフトボール、そして屋内でバスケットボール、バレーボールがクラス関係なしにトーナメント戦で優勝チームが決まる。今日・明日は2年生が球技大会。ちなみに1年生は先週が球技大会で、3年生は受験期と被らないように5月にやってしまう。ので、3年生に上がるとわりとすぐに球技大会はやってくる。


「それではA組のポジションを発表する~」

「「「うぇ~い」」」


試合前にポジションを発表するというのもおかしな話だが、主要なポジションの人はほぼ決まっていたので問題はないのだろう、多分。


ピッチャー(投手)は元野球部の玉谷(たまや)

「おうよ」


中学時代に野球部のピッチャーだった玉谷がここでもその腕前を発揮する。…はずだ。放課後に練習したときは「下投げ初めてで新鮮」とか言っていたが、玉谷以外まともに投げられる人がいないので奴に託すほかない。


キャッチャー(捕手)はグラウンド全体を見渡す司令塔、だから俺な」


井村がドヤ顔で言ってきたのが妙に腹が立ったが、玉谷のボールをキャッチできるのも全体に指示を出せるのも井村しかいないので仕方ない。


ファースト(一塁手)は意外とキャッチがうまい田中」

「意外と、は余計ですぞー」


そうなのだ。田中は意外とボールをキャッチするのがうまい。意外と。


セカンド(二塁手)は消去法で御子柴」

「尻ぬぐいは頼んだ」

「尻ぬぐいって言うなよ、やる気無くすだろ~。カバーって言えよ~」

「お尻カバー頼んだ」

「おむつみたいに聞こえる」


できるならファーストでランナー全員止めてくれないかなぁと思ってるのは言わないでおくことにした。ダブルプレー?なにそれおいしいの?


サード(三塁手)は鈴木」

「俺だけ選ばれた理由なしかよ!それなら御子柴みたいに消去法って言われた方がマシだよコンチクショウっ」

「朝からうるせぇ」


朝から元気に叫んでいる鈴木に朝に弱い田中がツッコむ。ツッコむというか、ただの文句か。


こうしてショート、ライト、センター、レフトのメンツを発表し終えたところで集合の合図がかかったのだった。


「それでは今からA組vs()D組の試合を始めまーす」

「「「おなっしゃっっす!!!」」」


こういう挨拶って変に省略されるよね、わかる。この前コンビニに行ったら店員さんに「せ~」って言われたから。「いらっしゃいませ~」から「らっしゃっせ~」になって「せ~」になったのだろう。


「俺たちA組は後攻になったぞ」

「D組のチーム見たけどよ、あれ全員現役運動部だよなー」

「ほぼサッカー部だな」

「D組の野球部はほぼバスケを選んだらしいぞ」

「なんだそりゃ」


たまには違う競技をしてみたいという思いなのかそれとも…


「舐めてんな、これはもう完全に」

「畑違いの競技でも周りがザコばっかだから勝てるって舐めてんだよ」

「舐めまくってんな」

「ペロペロだよ」

「ペロペロ通り越してベロッベロだよ」


言いたい放題のチームメイトたちに思ったことをそのまま伝える。


「文化部か部活に入ってないメンツで構成されたこのチームは舐めてるってことになるのか?」

「……だって仕方ないじゃん。優勝できそうなのがバスケかバレーだったんだもん。残りカスみたいな人間しかもう残ってなかったんだもん!」

「残りカスに残りカスって言われたくねぇよ!この残りカスが!」

「おい鈴木、それは残りカスに失礼だぞ」


普通こういう時間で作戦を立てたり円陣を組んだりするんだろうが、残りカス同士の言い争いで終わってしまった。


溜息を吐きながら守備位置に着く。意外とバッターと距離あるな、と内心でホッとしながらグローブを構えて立つ。


「あ、適当に始めちゃって~」


審判のゆるーい合図のもとでA組vsD組の試合が始まった。


玉谷がボールを投げて、井村がキャッチする。ストライク・ストライク・スト…ひぃ!


3投目もストライクかと思いきや、バッターが打ってボールがこっちに飛んできた。


「おわわわわわ!」


変な声を上げていることにも気付かずにバウンドしてこっちに来たボールを慣れないグローブでキャッチしてファーストの田中に投げる。少し脇に逸れてしまったが、田中はなんとかキャッチしてくれた。


「しばちゃん投げるの遅いぞー」

「ボールを待ってるんじゃなくて自分から取りに行けー御子柴」

「御子柴どんまーい」


え…なにこの恥ずかしさ。昔出たピアノコンクールでステージ上ですっ転んだときぐらいに恥ずかしい。さっきボール打った人、出塁しちゃったし。


D組の2人目のバッターがバッターボックスに入る。今度こそはキャッチしようと構えた瞬間、ずしんとグローブに振動が伝わってきた。まさかと思ってグローブを見る。


「うそだろ?」


そこには玉屋が投げてバッターが打ったボールがすっぽりと収まっていた。


「ワンアウト」

「ナイス御子柴!」

「やればできる子だって俺は信じてたぞ~」

「しばちゃ~ん愛してるぅ~」

「うるさーい!!」


失敗しても成功しても恥ずかしいとかなんだこれ。


この後、玉谷と田中の活躍によりすぐにスリーアウトを取り、俺たちA組の攻撃が始まる…!



~執筆中BGM紹介~

タッチより「タッチ」歌手:岩崎良美様 作詞:康珍化様 作曲:芹澤廣明様


―わかりづらいかもなのでここでA組のポジション紹介―

【ピッチャー】玉谷(中学校の卒業式の日に付き合った彼女と遠距離恋愛していたが、彼女の浮気が判明して別れた)

【キャッチャー】井村(初登場時に名前に悩んでいた作者があんこを食べていたからこの名前が付けられたとか)

【ファースト】田中(出会った頃に比べて智夏の感情が出やすくなったのが嬉しくて最近よくちょっかいをかけている)

【セカンド】御子柴(主人公だけど運動神経よくない。仕事で手を使うのにソフトボールなんて大丈夫かってツッコミを入れたくなるが、本人的には仕事も大事だが学校行事も大切にしたいという理由で体育とかもバンバンやる。そして顔面キャッチする)

【サード】鈴木(井村の名前を考えた作者が疲れて適当に付けたかもしれない。明言はしない)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] セカンドって結構大事なポジションなので、運動神経ない人を消去法で決めるならサードか外野じゃないですかね
[一言] 見事に野郎ばかりで色気がねぇ、可愛くねぇ、おまけに強くもねぇ。 このネタがわかるのは、かなりコアならんまファン。
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