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我がバイブル

おかしいな。予約投稿したはず。。。何はともあれ遅れてごめんなさい!




本田さんは左目に病気を患っていて、片方の視力がかなり低い。普段の生活では眼鏡を使ってしのいでいるらしいが、アイドル活動をしていたときは眼鏡を外して頑張っていたらしい。コンタクトは目の病気によくないから付けられないのだとか。


眼鏡をかけながら昨日作ったばかりの楽譜とにらめっこしている本田さんに、猫平さんが唐突に言った言葉は俺も思っていたものだった。


「つ、月子ちゃんは眼鏡っ子キャラで行くべき」

「いきなりなぁに?」

「俺も猫平さんに賛成です」


無理して裸眼でいようとする必要はないと思う。危ないし。それに、眼鏡をかけている本田さんの方が普段に比べると幼く見えるのだ。眼鏡のお姉さん、って響きもまた良し。


「眼鏡の方が可愛いですよ」

「私、智夏ちゃんって年上キラーだと思うの」

「?」

「かか、確チャン年上キラー」

「??」


年上キラー?そういうのは秋人みたいな子のことを言うんじゃないのか?女子の言葉選びは難しいな。それになんでしたっけ…かくちゃん?なにそれ人の名前ですか。ワンチャンがもしかしたら、という意味なら確チャンは確実に、って意味ですか?暗号かよ!!


「年下の男の子から可愛いなんて言われてしまったら眼鏡をかけないわけにはいかないわね。それじゃあ今からLuna×Runaの本田月子は眼鏡っ子キャラでいきます!」

「おぉ~」

「め、眼鏡っ子爆誕」


自分で賛成しといてなんだが、こんなにゆるっと今後のキャラが決まっていいものなのか。まぁ本人が花を飛ばしそうなほどに嬉しそうな顔をしているから良しとしよう。一人で納得していると、いつの間にか2人が俺を見ていた。


「期間限定とはいえ智夏ちゃんを私たちが独占してることに少し罪悪感がありますね」

「かか、彼女さんに申し訳ない」

「あ、ご心配なく。彼女にはきちんと許可を取っているので」

「それなら安心……え、ん、うん?」


なんぞその目は。その本当に彼女いたの?みたいな意外なものを見る目は一体なんぞ。


「だ、抱き枕?」

「いいえ、俺の彼女は人間です」

「もしかして2次元の人?」

「いいえ、俺の彼女は3次元です」

「も、妄想?」

「あんたら人のことをなんだと思ってるんですか!」


抱き枕とか妄想とか俺のことを一体なんだと思っているのかこの人たちは。そんなに彼女いないように見えるかな?人は見かけによらないんですよ。陰キャでもお付き合いしている人はいっぱい…いっぱい?いるし、陽キャでも付き合ってない人もいる、はず。きっと、多分、絶対。


「最初に電話してた相手ってもしかして彼女さん?」

「はい」


この2人に付くと決めてすぐに彩歌さんに連絡を取り、許可をもらったのだ。


「それと、彼女がいることは秘密なので言いふらしたりしないでくださいね」

「「はーい」」


良いお返事をもらったけど大丈夫かな?


「こ、ここれから用事があるって言ってたのはもしかして、はは初詣デート?」

「鋭いですね」

「少女漫画は我がバイブル!」

「そこはすらすら言えるんですね」


と言ったら猫平さんが猫パンチをしてきたので避けていると、本田さんがマップアプリを見せてきた。


「もしも初詣の場所が決まってなかったらこの神社がおススメですよ」

「……?こんなところに神社なんてありましたっけ?」

「建物の奥にあるからあんまり人が来ないところですよ。あと、とっても心が安らぐ場所です」

「そんな素敵な場所を俺に教えちゃって良かったんですか?」

「もちろんです。智夏ちゃんは私の中ではもう家族も同然ですから」

「ありがとうございます」


大切な場所を教えてくれたことに、俺のことを家族のように思ってくれたことに感謝を伝え、レコーディングを始めるのだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





本田さんが教えてくれた穴場の神社近くに待ち合わせ場所を変更し、待つこと5分。


「遅れてごめんなさいっス!」

「全然大丈夫ですよ」


大丈夫と聞いても心配なのか、俺の手をギュッと彩歌さんが握る。


「こんなに冷たくなって!ピアニストなのに…」

「それじゃあ暖めてもらいましょうかね」


体温を測るために握ってきた彩歌さんの手を握り直し、体温が高めの手のぬくもりを感じる。


「そ、それもいいっスけど…」


と言って彩歌さんから手を離されてしまった。……やっぱり強引だったかな。うぅっ、拒否されるとこんなに恥ずかしいものなのか。あぁぁぁ地面に埋まりたいぃぃぃいい!


「智夏クン、遅くなったけどこれ、クリスマスプレゼントっス」

「開けてもいい?」

「どうぞ~」


彩歌さんからもらった袋を開けると、そこには黒色のカッコいい手袋が入っていた。早速それを取り出して手にはめる。手袋を渡したくて彩歌さんは手を離したのか。良かった、うざがられたわけじゃなくて。


「実はね、その手袋……私とお揃いなのでござる!」


ござる?彩歌さんの顔を見ると寒さで赤くなっている鼻とは別に頬が赤くなっている。ははーん、さてはお揃いの手袋に恥ずかしがっているな?自分で用意してきていざお揃いの手袋をしている姿を見途端恥ずかしくなったのかな。なにこの可愛い生き物。


「あ、そうだ。昨日は結局言えなかったので。今年もよろしくお願いします、彩歌さん」

「昨日はドタバタしてて言いそびれてたっスね。こちらこそよろしくお願いします」


1月1日に会っていながら新年の挨拶は翌日の2日にするなんて、と笑いあう。


「智夏クン。手袋、片方だけ外そうか」


彩歌さんが右手の手袋を外すと、手を差し出してきた。あ、これはそういうことですよね?


もらったばかりの手袋を左手だけ外し、差し出された手を握る。


「冬はあったかくていいですね」

「そうっスね~」



BGM紹介はお休みです。

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