第二話 変な少女
「58526...58527...」
魔神との戦いの後、自室で俺は剣を振り続けていた。
自室を用意したと言う魔神に連れていかれた部屋は広く、いちゃもんもつけれないような造りになっていた。くそが。
「このままじゃ奴を倒すことはおろか、触れることすら出来ない。」
全力で今出来ることを考える。どうすれば勝てるのか。
しかし、元々不器用だったことも相まってか具体的な訓練を思い付くことが出来ない。ちくしょう。
「そうだねぇ。君の場合、振り方が大雑把だと思うよ」
突然、後ろから声が聞こえる。
振り返ってみると、そこには金髪の少女がいた。
「ビックリした?フフン。気配を隠すのは得意なんだ!それを使って、ここまで普通にドアを開けて普通に侵入してきたんだぁ!それににしても君があの方に気に入られた魔物かぁ。フムフム。面白いなぁ!」
なんなんだ。この少女は。突然来たかに思えば一人で喋りだして。
「おおっと!その顔…何て言いたいのか分かる、分かるぞ!私に惚れたんだな!」
「黙れ」
「えぇ…」
俺の放った辛辣すぎる一言に、少女は思わずたじろいだ。
まぁ、当たり前だ。いきなり出てきて意味不明なことを長々と喋るのだ。鬱陶しいったらありゃしない。
「あーと。私はミア。魔王目指して全速力で頑張ってまーす」
何だその挨拶。変なんてレベルじゃないぞ。て言うかいちいち言葉を伸ばすなよ鬱陶しい。
「んで、君は?」
「あ?」
「名前」
「ライト」
「ライト?あの最強の勇者と同じ名前じゃん!ヤバ!親不謹慎過ぎでしょ!でもまぁ君は最強の勇者ほどおっかなくないね。頑張って最低なチンピラレベル」
「刺すぞ?」
「そーいうとこだよー」
そう言うとミアは口に手を当てて笑った。
ミアは肌ご白く透き通っており、綺麗だけどどこか子供らしさが残る可愛いらしい女の子だった。
性格は難ありだが。
「君って面白いね!ねぇ、ギルド組まない?」
「断る」
「おぉ!即決!流石の私でも傷付くなぁ。良いじゃない、減るもんじゃないし」
「断る」
「君、出会ってから辛辣過ぎない?会話文一単語だけって頭おかしくない?」
それを面白いといったお前の頭がおかしいだろ。と思ったが話すだけ無駄なので止めた。
「ねぇねぇ。じゃあさ、街にでも行かない?君、見た感じじゃあスランプそうだし、気分転換になるんじゃない?」
街か…。ミアと行くのは嫌だけど、確かに行ってみるべきだ。
しばらくはここで過ごすだろうし。それに、ただ剣を振るだけでは勝てる算段も無い。
「分かった」
「だよねぇ。…嘘ーん!マジで!?ヤッターーー!」
ミアは子供のように喜びを声にあげた。
こうもまで喜んでくれると悪い気はしない。
でもまぁ、流石にちょっと
「うるさい」
「酷い!君と一緒にいれることをこんなに喜んでいるのに!君はボッチが良いの?」
「別にどっちでも良いけど」
「おおおお!君、ついにちゃんと文で話してくれたね!」
「うるさい。長い。行くんならはやく行くぞ」
「あぁー!待ってってばよー!」
ミアの叫びを他所に俺は進んでいった。