555来々軒の豚まん!お客様相談センター
トゥルルル〜 トゥルルル〜 トゥルルル〜
「お電話ありがとうございます。こちらは555来々軒の豚まん!お客様相談センターの吉川恋太郎です!」
「こらぁ〜!お宅の豚まんを持ち帰って箱を開けたら、どえらいモノ入っとるで!」
「はぃ…?落ち着いていただけますか?申し訳ありませんが、お名前と年齢お聞かせくださいませ…」
「はぁ〜?俺は山岸宗一や!歳は44や!」
「ありがとうございました!山岸様。で、どんなモノが入っていたんでしょうか…?」
「聞いて驚けよ!豚まんがやで、まん豚になってんねん!どないなってんねん!?俺の家族な!来々軒の豚まん大好きで、かれこれ曾爺さんの時代から喰い続けてるお得意さんや!どない落とし前つけるねん!」
「そうでしたか山岸様…!大変失礼いたしました。で、豚まんではなく…!まん豚だったんですね!?間違いないですね!」
「そや!豚まんがやで…ひっくり返って…まん豚なっとるねん!」
「おめでとうございます!山岸様」
「なんで…!?意味わからん?なにが、おめでとうございますや…?」
「この吉川が!ご説明いたします。山岸様」
「おぉ〜!聞かしてくれ!」
「はい!喜んで!そのまん豚はですね、我社の創業者王珍健の秘伝中の秘伝でございます。そして、王一族の晩餐会や会食などでしか食べるのことが出来ないのですよ!」
「えぇ〜…!?本当ですか?」
「幻のレシピでして、王一族にしか作れませんよ!そのまん豚…!」
「なぜ…!?私の持ち帰りに入っていたんでしょうか?」
「それはですね…山岸様!当社来々軒は、10年に一度だけ持ち帰りの豚まんを6個だけまん豚にしているのです!」
「それが私だったのですか…?」
「さよでございます!山岸様…!この吉川も食べたことがございません。大変羨ましい限りです!あぁ〜喰いてぇ〜…!」
「そんな貴重なまん豚が…今私の手元に!?」
「山岸様!ひとつだけ注意事項がございます!」
「ななななんですか…!?」
「よく聞いてくださいませ。普通の豚まんは餡を皮で包みますよね…!」
「それが普通ですね…」
「王一族のまん豚は、皮を餡で包んでいますよね…山岸様!」
「はい…!眼の前にあります」
「つまりですね…!逆さまですよね…!豚まんが、まん豚ですから!」
「えぇ…そうですね…」
「ここからが肝心です!そのまん豚を食べていただく時に、山岸様も逆さまになってもらいます…!」
「おっしゃっている意味が分かりません…?」
「つまりですね!人が逆さまになるって、どのような状態でしょうか?」
「それは…?逆立ちってことですか…?」
「素晴らしいです…!山岸様」
「家族全員ですか…?」
「もちろんですとも!王一族もまん豚は、逆立ちして食べていたと社史にも書いてありましたよ!」
「本当なんですね…?」
「えぇ!この吉川!嘘は申しません」
「そこまでおっしゃるなら…」
「ご理解いただき感謝いたします!本当に幸運です…山岸様は!」
「いえ…対応して貰ってありがとうございました」
「それでは、555来々軒!門外不出秘伝のまん豚を、ご堪能くださいませ!」
ふぅ〜…!
なんとか乗り切ったで…。
ここ最近、まん豚のクレーム毎日来るもんな!製造ラインどうかしてるぜ…!
しゃ〜けど…!?今頃、山岸家では家族全員が逆立ちしてまん豚食べてんやろな…!
「よう吉川…!久しぶりやな…」
「おぉ〜!同期の今別府やないか?どないしたんや…?」
「今日な…!また製造ラインでミスあってな!豚まんが、まん豚になってしまった!」
「今、クレーム処理したとこやで!」
「勿体ないから、持ってきてる!一度喰ってみよか…!?」
「おぉ〜!喰いたい!喰いたい!僕らも逆立ちして喰おか!」
「なんでやねん…」
「クレーム処理で、豚まんがまん豚やから…逆立ちして食べって処理したで!」
「ええ加減な…!でもやってみよか!」
こうして…!
吉川と今別府の二人は、逆立ちしてまん豚を食べたのであった。
「めっちゃ!美味いがなぁ〜!今別府!」
「吉川…!堪らんなぁ〜!」
「なぁ〜!今別府!このまん豚レシピと逆立ち食いで、一緒に独立しよ!売れるで!」
「間違いないな!バカ売れするわ!」
こうして二人は店舗を立ち上げる。
その店名は…?
666逆さま軒のまん豚!
これが…!なんと?なんと?大当たり!
トゥルルル〜 トゥルルル〜 トゥルルル〜
「お電話ありがとうございます。こちらは666逆さま軒のまん豚!お客様相談センターの吉川恋太郎です!」
「こらぁ〜!お宅のまん豚を持ち帰って箱を開けたら、普通の豚まんなっとるやないか!」
「マママママジでぇ〜…?」