お仕事がんばります
「名読みの妖女よ。此度の子はruby-laser。如何であろう?」
すごくキラキラな服をお召しなのはコランダム王家の現王様。
周りの人もめちゃくちゃ期待した目で見つめてくる。
見んな。こっち見んな。
内心は騒がしく振舞いは美しくをモットーに日々頑張る私だが、何度来ても謁見の間は緊張する。
「もう一度、ゆるりとお願い致します」
”るびーれーざー”っぽく聞こえたが念のためもう一回聞いてみる。
「ruby-laser。可愛い女の子よ」
王妃様が重ねて仰る。うん、どう聞いても”るびーれーざー”だ。確定。
たしかルビーを使ったマジもんのレーザーあったよね。
安堵とともに御名を伝える。今回は簡単でよかったー。
「その御方はルビーレーザー様にございます。見事な炎の魔法使いとなられましょう」
おおっというざわめきが広がる。
まじでお願いね、ルビーレーザーちゃん。多分レーザーっぽいのが得意だと思うからそっちの才能伸ばしてね。
心の中でルビーレーザー王女ちゃまに激励を送りつつ、そそと退出して行く。
今回は簡単だったけど、いつ他の偉い人に名前判定を奉られるかわからないので、全力で撤退する。
「名読みの妖女様! またいつでもお越し下さい!!」
門番の大声と最敬礼に引き攣り笑顔で王城門を出る。
どうしてこうなったと現状を嘆きつつ王都の外れに帰る私は、名読みの妖女と呼ばれる只の一般人だ。
決して妖術の使える女ではない。