確率
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
どうやら地球が生まれる確率は、小学校にある二十五メートル程のプールにバラバラに分解した時計の部品をプールに投げ込み、プールの水の流れだけで時計が組み立てられる確率に過ぎないと、理科の先生が言っていたことをふと思い出した。
そんなのありえない、だけどこうして私が生きているのは地球が生まれたおかげだろう。
奇跡というのはこういうことだ。
確か希汐も同じ様なこと言っていたな。
希汐はよく男子グループの中心に居て陽気な男子だ、ここの学校では珍しいような、肩まである焦茶の髪がよく靡いている。
よく透る、明るい声がしたらそれはだいたい希汐の声だろう。
私は希汐が好きだった。
好きと言っても、まだ幼い、いや二年前の話しだ。
中一のとき、新しい友達ができるか不安で、自己紹介で失敗して落ち込んでいた私に向かって
「俺、希汐つーんだ、俺と会えたことも奇跡だな!!なーんつって!」
そう明るく話しかけてくれた、向こうはなにげなかったことだろう、でも私はそれでも嬉しかったのだ。
私は恋をした、だけどそれは儚いものでまじり合うことも無く、クラス替えが始まった。
私は廊下ですれ違うたび、どれだけめで追いかけたことか、でもそれは合うことはなく三年生になった。
それと同時に彼への想いは消え去った。
また、それと同時に私達は仲良くなった。
あの頃は想像がつかないぐらいにも。
希汐もそう思っているだろう。
まじり合う筈の無かった私達はがまじり合ったのは、地球が生まれるぐらいの確率と等しいと私は思っている。
私の前に座っている希汐は太陽に照されてまるで向日葵みたいだ。
希汐には彼女がいる。
私の知らない人だった、知っているのはその人の長く黒い綺麗な髪が夕日の光に照らされて輝いていたのを鮮明に覚えている。お互いに微笑みあって二人は夕日を眺めていたらしい。
二人の出会いはきっと、必然だったのだろう。
仲良くなったからと言って、また想いが戻ることなんてない。
きっと、そうだ。
そんな確率あるはずがないのだから―
「なにぼーっとしてんの」
と声が聞こえ、我に返った私は顔を上げた。
そこには揚々とした、邉がいた。口角を上げると良く見える八重歯に目がいった。ニヤリとこちらを見下ろしながら邉は言いたそうに目を泳がせた。
「別に…なんでもない」
私はふてくされたかのように、無愛想に答えた。そんな態度をとる私に対しても、何も気に止めず邉は口を開けた。
「なんかあったのか?」
邉は優しい奴だ、その優しさが人を傷つけていることになっていることなんて、知りもしないだろう。
淡白で、気づけと言っても気付こうとしない、いや、気づけないのだろう。
整った容姿に、茶色の瞳が私を映して見えた。何もかもが透き通っているかのような。
「本当に大丈夫だから、ありがとう」
私はふっと微笑むと、邉は安心したのかまたニヤリと口角を上げた。
それは、妖艶に笑うかのようにとても美しかった、邉が女なら、きっと百合という花があってただろう。
邉は希汐に呼ばれ、去っていった。
その後を追いかけるかのように、麗々が邉に話かける姿が見えた。
麗々はクラスメイトの中で一番中のいい友達だ、麗々は明るい茶色の髪に毛先がくるりと巻かれていて、大きな黄金色の瞳に、明るい愛嬌、百人の人が一目惚れしてもおかしくない容姿をもっていると私は思う。
麗々は邉が好きだ。
おそらく、クラスメイトの皆は知っているだろう。
人はどうやら、好意を持っている相手に対してかっこよくいたかったり、可愛くいたかったりするものだ。
麗々はわかりやすい行動をしている。
邉と話しているときも、好きという言葉が出ている様に見える。
私は麗々の恋が実って欲しいと思っている、いや思っていたいのだろう。
邉は誰に構わず優しいのだ、でもそれは一つ間違えると相手を勘違いさせやすい優しいさで、私は邉の鎖に四肢を掴まれている。それはまるで呪いのような。それでも私は鎖を外し呪いを解こうと抗う。
私は邉を好きになってはいけないのだから。
そういえば、やけに騒がしい、男子の声が他方から次々と聞こえた。
おい、はなせよ、やめろって、と男子のじゃれあいがいつにも増している。
私が移動しようと、席を立った瞬間頭に鈍い音が酷く鳴り響いた。
「いっ」
何が起きたのか分からない、ただ分かるのはまるで鈍器に頭を殴られた様な痛みだ。視界が揺ぎ、その視界に写ったのは眉を曲げ鳩に豆鉄砲をくらったような顔をした邉と希汐だった。
私はそれを最後に気を失ってしまった。
読んでくださりありがとうございました。




